水城 議員の議案質疑と答弁

◯41番(水城四郎)登壇 おはようございます。質問の前に、既に報道で皆様御存じのとおり、天皇陛下におかれましては心臓バイパス手術が無事成功され、順調に回復されておられますことに心からお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い御快癒を心からお祈り申し上げます。
 私は、みらい福岡市議団を代表して、今議会に上程されました議案第17号、福岡市特定非営利活動促進法施行条例案について質問いたします。当局の明快な答弁を期待しております。
 特定非営利活動団体、いわゆるNPOについてですが、実は我が国におけるNPOの歴史は意外に古く、1970年代、高度成長期が終えんに近づき、行政による公共サービスの限界が顕著にあらわれたころから市民のみずからの生活環境を維持するため、また、改善するための自発的な公共活動が行われるようになりました。
 もともと日本では、古くから高齢者の見守りであるとか、子どもたちの健全な成長を見守るといった活動は地域社会において行われておりましたが、それをもっと組織化して専門家の視点も交えながら高度な社会貢献活動として広域に活動を行う民間の非営利活動団体が生まれてきたものです。そして、平成7年、阪神・淡路大震災を契機として国民のボランティア意識の高揚とともに、公益的活動を行う団体も増加をしていき、そうした社会ニーズに押されるように、国は平成10年に特定非営利活動促進法を制定し、市民による公益活動団体に法人格を与える制度を設けてきました。ここにNPO法人という言葉が生まれたのであります。
 さらに、昨年3月11日、日本はもとより全世界にも衝撃を与えた東日本大震災が発生しました。現在もまさに国民一丸となってその復興に取り組みを進めております。この中で、復興の大きな担い手の一つにボランティア活動があります。ことし1月末までの復興支援ボランティアの総数は東北3県で90万人を超えております。私も会派の仲間と一緒に参加してまいりましたが、いろいろな地域や職業の方々が活動しておられました。また、この活動を契機に多数のNPO団体が日本じゅうに設立されたと聞き及んでおります。このように市民、国民が一つとなって取り組んできたこの年を新たなボランティア元年と呼んでも過言ではないと思います。
 そうした市民の発意により公益的な活動に取り組むNPO法人が現在全国で4万を超え、福岡市内では約600の法人があるとお聞きしておりますが、これらNPO法人の活動環境を整えるために、国は昨年、特定非営利活動促進法を改正し、福岡市は今議会においてその条例案を提出されております。
 そこでお尋ねしますが、特定非営利活動促進法の改正の背景とその主な内容、また、福岡市が上程されている条例の内容についてお伺いいたします。
 以上で1問目の質問を終わり、2問目以降は自席にて質問いたします。

◯市民局長(阿部 亨) 福岡市特定非営利活動促進法施行条例案に関する御質問にお答えをいたします。
 まず、特定非営利活動促進法改正の背景と内容についてのお尋ねでございますが、NPOの活動は新しい公共の担い手として、今後ますます社会的な重要性を増していくと予想されますが、その財政基盤は脆弱であり、税の優遇措置を受けられる認定NPO法人の数は全国的に0.5%にすぎない状況にございます。このため、今回の法改正では認定要件を拡大するとともに、設立後間もない法人のために認定基準の一部を免除した仮認定制度を設け、市民からの支援を受けやすい環境づくりを行うこととされております。あわせて、これまで内閣府、都道府県が行ってまいりました認証事務、国税庁が行ってまいりました認定事務を政令指定都市及び都道府県に移譲することが主な内容でございます。
 次に、特定非営利活動促進法施行条例案の内容についてでございますが、福岡市が所轄庁として事務を行うに当たり、NPO法人の認証、認定及び仮認定に係る申請手続、また、必要な添付書類及び事業報告書の提出に関する事項について定めるものでございます。以上でございます。

◯41番(水城四郎) 2問目に入ります。
 これから福岡市が国、県にかわってNPO法人の認証と認定を行っていくということでしたが、私は、このことは福岡市は大変重い責任を課せられたものだと思います。
 そこでまずお尋ねしますが、これから福岡市で処理を予定している件数は年間でどのくらいの見込みになるのか、認証と認定それぞれについてお答えください。
 NPOの活動は市民の自由な発意によるものですから、その活動は市民生活のほとんどの分野を占めるほど多岐にわたり、独自のアイデアで活躍されておられます。そうした社会的に高い評価を得ているNPOがある一方、法人格をとっても実際的な活動をしていない休眠状態の団体であるとか、NPOという信用性を逆手にとった不適切、悪質な団体もあることがニュースでも報じられているところであります。まさに玉石混交の社会であります。
 福岡市はこれからNPO法人の認証、認定という市民に対する信頼の裏づけをする業務を行うからには、そうした怪しげな団体を確実にチェックし排除する仕組みを持たなければならないのです。すなわち、善良な活動を推進しているNPOを守ってやらなければならない責任が生まれてくるからです。特に震災を契機として市民のボランティア意識、寄附意識は近年さらに高まっておりますし、市民が社会貢献をしたいという崇高な意識を逆手にとってこの制度を悪用している団体もあります。そのときに所轄庁として福岡市はその責任を持ち、きちんと果たせる制度を持つことが必ず必要なのです。
 制度設計をする初めからそうした危機を予測し、排除できる仕組みを考えておくべきですが、市はNPOの認証、認定に当たりどのような判断基準で臨もうとしているのか、お伺いいたします。
 また、認証、認定を受けた団体についても、その活動が将来にわたり不変のものとは限りません。その活動が反社会的なものではなく、真に市民生活の改善、向上に寄与しているものであるかどうかを確認していく必要があります。
 NPO法人が悪質商法や犯罪の隠れみのになるといった事例も数多く報道されておりますし、インターネットなどにも社会性が高くなってきたNPOの名前をかさに相手を信用させ、詐欺などを行う団体が摘発されたという情報が掲載されております。その例を申し上げますと、ダイレクトメールの内職をあっせんするといって紹介料を搾取した事例や架空の請求によりお金をだまし取ろうとした事例、震災被災者や障がい者支援に名前をかりた偽りの街頭募金活動などの詐欺行為であります。そして、このような団体は市民が公益団体と間違えやすい名前、例えば、全国生活管理センターや国民消費相談センターといった名前をつけ、あたかも公共団体と思わせるような文字のトリックで、善良で疑うことを知らない人間の美徳を逆手にとった実に悪質な手口を用いているのです。また、福岡県でも昨年、宗像市で指定暴力団の統制下にあるNPOの情報が県警に寄せられ、県は法人の認証を取り消す措置を行いました。
 数多くのNPOが健全に活動し、社会的なニーズも高まっているだけに、こうした不当な組織や行為はNPO全体の信用失墜にもつながるゆゆしき問題であります。特に暴力団関係者の隠れみのとなったり、資金源になることは厳正に正していかなければならないことです。
 福岡市は、平成22年7月に暴力団排除条例を制定し、市民の安全で平穏な生活と社会経済活動の健全な発展のために市民と一丸となって取り組んでいるところでありますが、このたび特定非営利活動促進法施行条例においても、その理念を十分に生かし運用されるべきであります。
 これに対してお尋ねですが、市は認証、認定を受けようとする団体の事前調査はもちろん、受けた法人に対しては継続して調査を行うべきだと思いますし、警察関係機関とも十分に連携をとって不適切な団体を排除すべきと考えますが、当局の所見をお伺いしまして、2問目の質問を終わります。

◯市民局長(阿部 亨) まず、福岡市のNPO法人の年間処理予定件数についてのお尋ねでございますが、福岡市は所轄庁として、福岡市内にのみ事務所を要するNPO法人の認定、認証業務を行うものでございます。認証につきましては、現在事務を行っている県の実績から毎年50件程度の新たな申請を見込んでおります。NPO法人に対して毎年義務づけられている実績報告につきましては、現在既に認証を受けているおよそ600法人に加え、毎年の新たな申請が見込まれる50法人ずつ累積的に増加していくものと見込んでおります。認定及び仮認定につきましては、国の試算によれば毎年20法人程度の新たな申請が見込まれます。認証事務と同様に20法人ずつが毎年増加していくものと見込んでおります。
 次に、認証、認定業務における判断基準でございますが、法人の認証に当たりましては、定款や事業計画書、活動予算書等を参考に、特定非営利活動を行うことを主たる目的としているか、組織の運営体制が適切であるかどうかを判断いたします。認定におきましては、市民からどのくらい支持を受けているかを示す指標でございますパブリックサポートテストによる基準に加え、運営や経理処理が適切に行われているかを総勘定元帳や仕訳帳などの会計書類などによって検査を行い、判断をいたします。また、いずれの場合におきましても暴力団関係の団体や法令に違反した団体があれば排除することとなっております。
 次に、認証、認定後の実態調査についてでございますが、認証、認定を受けたNPO法人につきましては、毎年報告書を所轄庁に提出する必要があり、報告書の提出を怠りますと、認証、認定の取り消しの対象となります。また、著しく適正を欠いた運営を行っている疑いのある認定NPO法人につきましては立入検査を実施し、状況によっては勧告、命令、取り消しといった監督権限を行使することとなっております。組織の運営の適格性を判断するに当たっては警察や税務署など関係機関と連携をとりながら行ってまいりますが、特に暴力団関係者の排除につきましては、本市は福岡市暴力団排除条例を制定しておりますので、県警の協力を得ながらしっかり取り組んでまいります。以上でございます。

◯41番(水城四郎) 関係機関ともしっかり連携をしていきながら適切な運営をされていくということで期待をしておりますが、暴力団排除条例の中でそれに類しない、いわゆるグレーゾーンと言われる新興社、なかなかこれは見つけにくい。そういったものも今後しっかり条例など対応していく準備をされておくことを要望しておきたいというふうに思います。
 3問目に入りますが、全体を通して申し上げましたように、これから福岡市が所轄庁として行うNPO法人の認証、認定の業務は市民に対しても社会に対しても、大変重い責任を伴うものであります。これからの制度の運用については細心かつ緊張感を持って取り組んでいただきたい。そのためにも窓口業務が停滞しないように適切に人材を配置し、不適切な団体を淘汰できるようなセーフティー機能の強化が図られる体制を整えられることを強く要望しておきます。
 また、NPOやボランティアの活動は自発的、主体的なものであり、広く市民のために行うものでなければなりません。しかしながら、東京でNPOサポート活動を行うNPOサポートセンターの理事長の言葉をかりれば、NPOはすべて善良というイメージは幻想にすぎないと指摘されておられます。したがって、市民はそうした団体を見きわめ、支援を行うのですから、所轄庁である市は、市民が判断を誤らないよう設立者の人格から財務状況まで確認できるような、より多くの情報を公開していただき、わかりやすくお示ししていく責任があります。市民が誤りなく健全なNPOを支援できるために、福岡市の市民公益活動の促進について、所轄庁の長として市長の意気込みをお伺いして、私の質問を終わります。

◯市長(高島宗一郎) これからの市民社会の発展のためには、市民公益活動を自主的、自発的に担っていくNPOの役割というものは、大変これは重要になってまいりますし、新しい公共の担い手として大変期待が高まっているものというふうに認識をいたしております。ただ、水城議員も御指摘されたとおり、一部の不適格なNPOの存在というのがNPO全体の信頼を損なっているということがあるのも事実だというふうに受け取っております。これから認証や認定業務を福岡市が行うに当たっては、こうした反社会的な団体を排除するなど厳格に対処していかなければいけないというふうに考えております。NPOが真に市民から支持を受けて信頼をされるためにはできる限りの情報の公開を行って、そして、透明性を確保することが大事でございまして、市民がNPOの活動を正確に理解して支援できるような環境づくりに努めていきたいと、進めていきたいというふうに考えております。
 法改正によって認証や認定という権限が市民に最も身近な自治体である市にこれは移譲されるということでございますので、一貫した指導を行うことによって健全なNPOを育成して、そしてまた、支援をしていきたいというふうに考えております。以上です。




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