笠 議員の質問と答弁 | ||
◯47番(笠 康雄)登壇 私は、みらい福岡市議団を代表して、今議会に上程されました議案第228号、福岡市職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例案について質問をさせていただきます。 本条例案の中に、職員の持ち家に係る住居手当を8,500円から8,000円に改定する内容がありますが、特にこの手当についてお尋ねをいたします。 この持ち家に係る住居手当は、自分が住んでいる住居を所有している職員や、扶養親族が所有している住居に住んでいる職員に支給されており、金額は現在月額8,500円となっています。この制度は、国においては、人事院勧告に基づき、主に自宅の維持管理の費用を補填する趣旨の手当として昭和49年に設けられ、本市では、人事委員会勧告に基づき、国に1年先立ち、昭和48年に創設されています。しかし、国においては、平成21年の人事院勧告において廃止の勧告がなされ、その年の12月には廃止されています。人事院勧告を受けて総務省からは、地方自治体に対し地方公務員の給与制度は国家公務員の給与制度を基本として決定すべきものであるから、地方公共団体においても廃止を基本とした見直しを行うよう通知が出されています。資産として保有している自宅に対して手当を支給するなど、公務員優遇の制度、仕組みがあるということは断じて許されないと考えております。 そこで、持ち家に係る住居手当の他都市及び民間の状況について、どのように把握されているのか、また、そもそも、月額8,500円という金額の根拠は何なのか、人事委員会にお尋ねします。 以上で1問目を終わり、2問目からは自席にて行います。 ◯人事委員会事務局長(飯田光夫) まず、持ち家に係る住居手当の他都市の状況でございますが、平成23年4月現在において、全地方公共団体の約6割の団体が廃止している状況であり、これを政令指定都市の状況で見ますと、平成24年8月現在において、福岡市を含めた20の政令指定都市中5都市で当該手当を廃止している状況でございます。 次に、持ち家に係る住居手当の民間の状況につきましては、人事委員会が平成24年に実施いたしました職種別民間給与実態調査の結果によりますと、福岡市内の調査対象事業所の中で、何らかの住居手当を支給している事業所のうち、約7割の事業所で持ち家に係る住居手当が支給されておりますが、これを、住居手当を支給していない事業所も含めた調査対象事業所全体で見ますと、約4割となっているところでございます。 また、福岡市職員の持ち家に係る住居手当の金額の根拠につきましては、この手当は民間に準拠させた給与月額の一部でございますが、現行の8,500円は平成22年の人事委員会の給与勧告における給与月額のマイナス改定において、他の政令指定都市の支給金額を参考として、9,600円から8,500円に引き下げるべきとの勧告を行い決定されたものでございます。以上でございます。 ◯47番(笠 康雄) 2問目に入らせていただきます。 国は既に廃止しており、また、全地方公共団体の約6割が廃止しております。先ほど8,500円という金額については、ほかの政令指定都市の状況を考慮して決めたということでしたが、政令指定都市でも都市によって金額はまちまちです。平成24年8月現在の額で言うと、高いところでは神戸市が1万600円、低いところでは名古屋市や熊本市は2,500円であり、かなりの開きがあります。それぞれの都市の地域特性もある程度はあるでしょうが、同じ種類の持ち家に係る住居手当でこれだけの差があるということからすると、各都市がかなり自由に支給金額を決定しているように思われます。こうしたことから、この手当は、そもそも支給の根拠自体が乏しいと言わざるを得ないと考えます。 また、持ち家に係る住居手当は事実上、市職員個人の財産維持、すなわち資産形成に公金を投入していることになり、問題があるのではないかと考えております。 本市議会では、経済政策の問題として、しばしば住宅リフォーム助成制度が議論されております。この制度は一言で申し上げますと、市民が市内施工業者に依頼して自己の居住する住宅の改良改善工事を行った場合に、その経費の一部を助成する制度でありますが、市当局は、この住宅リフォーム助成制度創設には反対の立場をとっておられます。反対の理由は幾つかあるようですけれど、個人住宅という個人の資産形成につながるもので問題があると以前答弁されたと記憶しております。住宅リフォーム助成制度が市民個人の資産形成につながるからだめだというなら、持ち家に係る住居手当も職員個人の住宅という資産の形成につながるもので、やはり公金投入はだめとなるのではないでしょうか。こうした観点からすると、市当局の方針には整合性がとれていないという気がいたします。 そこで、持ち家に係る住居手当の支給は、市職員の資産形成に公金を支給するものであり許されないと考えますが、どのようにお考えか、お尋ねします。 さらに、市職員の毎年の給与改定については、人事委員会の給与勧告に基づき実施されているようですが、そもそもこの人事委員会の給与勧告は、市内で従業員が50人以上の事業所のみを調査し、これに基づき実施しているものです。本市における民間企業の実態からすると、約97%は50人未満の中小零細企業であることから、果たしてこの調査結果が妥当なものであるか疑問があるところで、なぜ50人未満の事業所を対象外にしているのか理解に苦しむところであります。ことしの人事委員会の給与勧告を見ると、持ち家に係る住居手当については、制度を存続させることを前提として、ほかの指定都市の支給状況等を考慮し、支給額を引き下げる必要があるとしています。しかしながら、人事委員会の調査によっても、持ち家に係る住居手当の民間事業所における支給割合は4割程度と、5割を下回っております。この調査結果は、人事委員会が調査の対象としていない、より小規模な事業所の状況を反映させると、さらに低い割合になると推定することができます。 そこで、民間では、過半数の事業所がこの手当を既に支給していない状況がありながら、なおこの手当を存続させることは合理的な根拠に乏しいのではないかと思いますが、御所見をお伺いします。 民間企業においては、経済が極めて厳しい環境の中で懸命に経営努力を続けております。経費削減のため、一部の社員だけの恩恵となる社員寮や社宅を処分する企業もあります。経営が一層厳しい中小企業においては、自宅居住者に対する住宅手当を持たない企業も多いと考えられます。また、成果主義を徹底した賃金制度を導入する企業では、従来の年功的な給与や諸手当の制度を変更して、仕事の成果によって増減する給与制度を導入する際に、生活費の補填を目的とする住居手当などの諸手当を大胆に見直すところもあるようです。このような厳しい民間企業の状況が続く中、根拠に乏しい手当を公費から支給するのは、住民感情からもなじまないのではないかと考えております。 そこで、持ち家に係る住居手当のあり方についてどのように考えているのかお尋ねしまして、2問目の質問を終わります。 ◯人事委員会事務局長(飯田光夫) 持ち家に係る住居手当の支給は、市職員の資産形成に公金を支給するものであり、許されないのではないかとのお尋ねですが、当該手当は地方自治法に定められた手当の一つで、職員の住居に要する費用の一部を補填することを目的としているものでございます。 また、職員の給与につきましては、人事委員会が毎年民間の給与調査を行い、公務と民間それぞれの基本給と住居手当を含む諸手当を合わせた給与月額を比較して、その格差を解消することにより適正な給与水準を確保しているところでありますが、持ち家に係る住居手当は、この適正な水準が確保された給与月額の一部として支給しているものであり、問題はないと考えております。 次に、持ち家に係る住居手当を存続させることは合理的な根拠に乏しいのではないかとのお尋ねですが、国、他の地方公共団体及び市内民間事業所の現在の状況に加え、福岡市職員の受給割合等の実情や他の地方公共団体の今後の動向にも留意し、社会情勢の変化も踏まえて、持ち家に係る住居手当の今後のあり方について検討を行っていく必要があると考えております。以上でございます。 ◯総務企画局長(貞刈厚仁) 持ち家に係る住居手当につきましては、人事委員会勧告における公民比較給与の一つであり、これまで民間給与との均衡を図ってきたところでありますが、本年9月の人事委員会勧告において、そのあり方について検討するよう報告がなされたところであります。 この手当につきましては、今回の人事委員会の報告や他都市の状況を踏まえるとともに、本市職員の受給割合が全職員の約半数であることや、現行月額が8,500円であることなど、職員の生活に大きく影響するものであることを十分考慮しながら、その見直しについて検討を行っているところでございます。以上でございます。 ◯47番(笠 康雄) 市長は、人事委員会の勧告を受けてこの議案を提出したというふうにおっしゃいました。人事委員会の勧告というものの性質は、本来、人事委員会でしっかりといろいろ調査していただいて、それを全てあなたのほうが受け入れるんじゃなくて、よくよく吟味して、その中身を吟味して、そして議会へ議案として送り込む、これが大切なんです。人事委員会の勧告をそのまま尊重して、そのままの金額で出すというのじゃだめなんですよ。地方公務員法のどこにも、そのとおりしなさいと、そのとおりにする義務があるというふうには書かれていないんですよ。いいですか。 今、私は、第1問目で、8,500円の根拠、どうして今回500円下がったのかという数字の根拠を聞いたけど、人事委員会勧告、一言も出てきませんよ。500円の根拠、維持管理費がどうして500円下がったのか調査していないんですよ、人事委員会は。何もやっていない。ただ、他都市との調査をやっただけなんですよ。他都市の調査、高どまりでしょう。九州でも、この間新聞に載っていた。福岡県は4,500円ですよ。佐賀県廃止、長崎県廃止、熊本県は来年廃止勧告が人事委員会から出ています。大分3,000円、宮崎は新築から5年ごと、値段分かれていますけど、2,000円と1,000円、鹿児島は14年に廃止予定。福岡市が8,500円、北九州市は8,500円、熊本市が2,500円。いいですか、住居の維持管理費ですよ。住居の維持管理費が同じ福岡で、福岡県と福岡市が、今度は下がったとして8,000円と4,500円、そんなことがありますか。根拠は出さないんですよ、人事委員会は。根拠ないものをこの議会に送り込むと、議会で審議する材料がないんですよ。他都市の状況でもこんな状況ですよ。これで本当にいいのかという腹立ちを覚えるわけです。何遍言うたって、人事委員会やらないんだから、人事委員会、もうやめたがいいっちゃないと思うんだけどね、僕は本当に。もう行政が主体的にやったらどうですかというところまで思いますよ。 だから、市長、根拠のないものを出しちゃいかんて言いよるわけ。わかっていただけますか。今後、改善するというなら、今度までは議案としては通そうかと思いますけれど、市長答弁次第で態度変えにゃいかんというふうに思うんです。やっぱりここは、今いろんな事業を見直しよるやないですか。根拠がきちっと、物価が上がったりしたあるいはそういうことがあって、住宅の維持管理費がこれだけの数字になるんだと。違うでしょうが、現実。8,000円仮にあったとしても、これは住宅ローンで8,000円余計組み込まれるんですよ。そうでしょうが、実態としては。家を新築した、住宅ローンを10万円、だけど住居手当が別に8,000円あれば、10万8,000円の住宅ローンを組めばいいやないですか。みんなそんなにしか考えませんよ。8,000円にしたって、年間で9万6,000円ですよ。約10万円ですよ。30年ぐらいもらったら、約300万円ですよ。住宅リフォーム制度、共産党さんやら言いよんしゃったが、僕も賛成してあげたかったけど、あなたたちがだめて言うたんやからね。議案として出されましたよね。それ、大したことなかったんだから、こんなのをそっちへ回しゃよかったんですよ。僕はね、そう思っているんです。あとは言いません。 とにかく、質問は、市長、今の私が言ったことをもとに、今後ね、今後よ、どうしようかという部分をお尋ねして、終わります。しっかり、よく頭の中を整理してから答弁していただきたい。すぐ答弁せんでいいですから、ちょっと考えていただいてからしていただいても結構ですので、前向きな答弁を期待して終わりにします。 ◯市長(高島宗一郎) 持ち家に係る住居手当につきましては、今回の人事委員会の報告にもありますとおり、国が既に廃止をしている。他の地方公共団体もおよそ6割が廃止をしている。市内民間事業所のおよそ6割についても支給をしていないという状況を鑑みますと、職員の支給実態等を考慮する必要はあるものの、この手当の存続については、市民の理解と納得を得るのは困難であると考えております。 したがって、笠議員の御指摘のとおり、この手当につきましては、関係職員団体と協議を行った上で、廃止する方向で見直しを進めたいと考えております。以上です。 |
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