国分 議員の代表質疑と答弁 | ||
○46番(国分徳彦)登壇 おはようございます。朝一番ですので、寝ている方が少ないと思います。うれしいです。それでは、私は、みらい福岡市議団を代表して、平成25年度予算案並びに諸議案に対し、質問と提案をしてまいります。細かいことについては、補足質疑や総会質疑で我が会派の議員が質問してまいりますので、代表質問では大局的な見地から、何点かだけを質問いたします。福岡市の未来を考える私たちみらい福岡市議団の質問と提案に対しまして、市長の明快な答弁を期待するものであります。 さて、我が国経済は、1990年代初頭にバブル経済が崩壊して以降、アジア通貨危機やリーマンショック、さらには東日本大震災の発生などに伴って、長期にわたる景気の低迷が続き、デフレから脱却できないまま今日に至っています。失われた20年とも言われていますが、この間の国の経済成長率は、平均0.9%とほぼゼロ成長を続け、昨年度はわずか0.3%でした。幾度となく経済対策が実施されましたが、失業率は2%から4%へと上昇し、生活保護世帯にあっては60万世帯から、現在では150万世帯を突破している状況です。また、高度経済成長期を中心に整備されてきた膨大な社会インフラは老朽化が進み、さきのトンネル崩壊事故により、その深刻な状況が改めて浮き彫りになりました。その一方で、国と地方を合わせた長期債務残高、いわゆる借金は、当時の270兆円から今年度には940兆円となる見込みで、およそ3.5倍もの増加となっています。 こうした状況の中、国においては、昨年12月に新たな政権が発足しました。その安倍政権では、我が国にとって最大かつ緊急の課題を経済の再生と捉え、日本経済再生に向けた緊急経済対策を打ち出しています。実体経済の回復はまだまだこれからでしょうが、景気回復への期待感から、円安、株高が進行しており、この20年間なし得なかったデフレ脱却に明るい兆しが見え始めています。我が会派も新政権に大いに期待したいと思います。 しかしながら、安倍政権には、こうした経済再生とあわせて、プライマリーバランスの黒字化など中長期の財政健全化という使命も課されています。御承知のとおり、緊急経済対策の一環として、大型補正予算を含めた15カ月予算により来年度の景気下支えを行うこととしていますが、その結果、国、地方を通じて、さらに借金が増加します。国、地方ともに危機的な財政状況にある中、借金に頼った成長はあり得ません。もしも国債の信用が失われれば、金利はあっという間に上昇し、国も地方も財政破綻を起こしてしまうでしょう。安倍政権においては、選挙での大勝や現下の円安、株高に浮かれることなく、このたびの経済対策が過去のものと同じような一過性のものとならないよう、財政規律とのバランス、そして選択と集中をしっかり図りながら、日本の経済再生を実現されることを切にお願いしたいと思います。 このように国政が大きな転換期にある中、我が福岡市においても、昨年12月に、めざす都市像を掲げた基本構想、そして政策の基本的な方向性を定めた第9次基本計画が策定されました。この基本計画の中では、コンパクトで持続可能な都市として、アジアの中で存在感のある都市づくりに挑戦していくことを都市経営の基本戦略とされています。私はぜひ、この都市経営の考え方を行財政運営にも当てはめて、コンパクトで持続可能な市政運営を行ってほしいと考えています。 かつて、イギリスの政治学者であるパーキンソンは、行政の肥大化の法則を提唱しました。官僚機構は、その必要性の有無にかかわらず、役人の数も財政規模も肥大化させていくというものです。本市では、これまでも行財政改革に積極的に取り組み、スリムで効率的な行財政運営に努めてきたことは承知しており、評価しているところであります。しかしながら、地方分権や少子・高齢化がさらに加速していく中、基礎的自治体が対応すべき課題はますます増加し、多様化していくことは間違いありません。そうした中、この行政肥大化の法則に陥らないためには、まさに市長が常々おっしゃっているビルド・アンド・スクラップが不可欠であります。−言で言えば、何かを始めるときには必ず何かをやめる、これしかありません。そして、これを具現化するためのものが、政策推進プランと行財政改革プランになろうかと思います。私は、この2つのプランが車の両輪のように連動して、着実に実施されることによって、コンパクトで持続可能な市政運営が実現されるものと期待しています。平成25年度は、新たな総合計画に基づく市政運営のスタートとなる重要な年です。ぜひ市長には、この政策推進と行財政改革に不退転の覚悟を持って取り組んでいただき、我々もそれをしっかり支えていきたいと思います。 そこで、福岡市政の今後の方向性について、我が会派がさきに行った施策要望の5つの柱に沿って、幾つか質問していきたいと思います。 まず、第1は、我が会派がこれまでもさまざまな指摘や提案を行ってきた行財政改革の推進についてであります。 財政の健全化については、毎年、本市の市債残高は着実に縮減されていますが、平成25年度末見込みで2兆4,388億円、これを市民1人当たりに換算すると約168万円となっており、依然として政令市の中では高い水準となっています。今後、老朽化した公共施設の更新や社会保障費の増大などに伴い、本市財政は一層厳しさを増していきます。そのため、時代の変化に伴って必要性や緊急性が薄れた事業、あるいは相対的に優先度が低い事業については、これまで聖域とされてきた分野であっても思い切った見直しを行うなど、さらなる選択と集中が必要になってきます。また、外郭団体についても、事業の必要性や団体の存在意義について検証を行い、人員や運営コストの削減、団体の統廃合をより強力に進めていかなければなりません。次期の外郭団体改革実行計画の中に具体策をしっかり盛り込み、スピード感を持って取り組んでいただきたいと思います。 一方で、職員数については、これまでの職員削減の取り組みにより、人口当たりの職員数は政令市の中で日本一少ない人数となっています。しかしながら、業務は年々ふえ続け、求められるスピードも速くなっていることから、職員は目の前の仕事に追われ、福岡市の将来を見据えた課題や方策をじっくりと考え、取り組んでいく余裕がなくなってきているのではないでしょうか。市役所職員は、本来、企画立案や施策推進のコーディネーター役に特化した集団になるべきと私は考えています。そのためにも、何かを始めるときには何かをやめるビルド・アンド・スクラップを徹底するとともに、民間にできることは民間に任せるという考え方に立ち、思い切って民間委託することが不可欠です。 現在策定中の行財政改革プランにおいても、民間活力の導入や現業職員の退職不補充など、我が会派の提案が盛り込まれていることは評価しています。しかしながら、このプランは、つくることが目的ではありません。プランに掲げられた取り組み項目を着実に実施し、また、数値目標を達成してこそ、初めて行財政改革を実現できたと言えます。改革に当たっては、さまざまなしがらみや既得権益からの圧力があるかもしれませんが、絶対に骨抜きになってはなりませんし、確実にその取り組みを進めていただきたいと思います。 行財政改革は、トップである市長が少し揺らいだだけで、最前線で改革を進める職員にとっては、はかり知れない大きな揺らぎとして伝わっていきます。動かざること山のごとし、市長には一寸たりともぶれることなく、不退転の決意で取り組んでいただきたいと思います。また、真の改革は、市長ひとりでできることではありません。職員1万人の一人一人がみずから考え、行動し、解決していこうとする思いが改革の原動力となります。そして、全ての職員は、それぞれの現場で市長の代理者として改革を実行していきます。そのためには、市長が大きな理念や考え方、いわば大義と、最終的な責任は自分がとるという覚悟を明確に示し、あとは職員の力を信じて任せ切ることが最も重要ではないかと考えます。市長には、ぜひ職員の声に耳を傾け、職員のやる気を高めながら、全庁一丸となって行財政改革に取り組んでいただきたいと思います。 そこで、今後どのように職員のモチベーションを維持、向上させながら、財政健全化や外郭団体の見直し、定員管理など、真に実効性のある行財政改革を進めていくのか、御所見をお伺いします。 次に、第2は、子どもたちを健やかに育むまちについてであります。 福岡市の将来を担う子どもたちは福岡市の大切な宝であり、私たち大人は子どもたちの未来に大きな責任を負っています。誰もが安心して子どもを生み育て、子どもたちが健やかに成長することができる環境を整備することは、社会全体の責務であり、本市においても最も重要な課題の一つであると言えます。近年、核家族化や地域のつながりの希薄化などに伴い、子どもや子育てをめぐる環境は厳しさを増しています。特に本市は転入者も多いことなどから、子育てに不安や負担、孤立感を感じる母親がふえており、子どもや子育て家庭への支援を着実に強化し、子育て環境の充実を図る必要があると考えます。 全国的には、少子化や人口減少社会の到来が既に大きな問題となっていますが、福岡市に関する統計や人口推計を見てみますと、本市の状況は若干異なっているようです。昨年実施された福岡市の将来人口推計では、転入超過による社会増が続くことなどから、今後160万人まで人口が増加すると予測されています。また、出生数については、若者が多く、子育て世代の割合が比較的高いためか、平成17年度を底に増加に転じ、ここ数年間は1万4,000人程度で推移しています。さらに、本市の特徴として女性が多いまちということがあります。近い将来、福岡市でも生産年齢人口の減少が見込まれる中、都市の成長を持続させていくためには、こうした本市の特性を生かし、女性や高齢者など多様な人材が活躍する、全員参加型の社会を実現することが重要です。中でも、女性の力をどう生かしていくか、女性の活躍をどう促していくかが喫緊の課題であると言えます。女性が仕事と家庭の二者択一ではなく、仕事と生活を両立させ、働きながら安心して子どもを生み育て、活躍できる社会とするためには、ワーク・ライフ・バランスの推進はもちろん、安心して子どもを生み育てられる環境づくりが不可欠であり、保育所の果たす役割は非常に大きくなっています。しかしながら、保育所の入所申込者数の増加によって、待機児童数はここ5年間増加し続けており、平成24年度当初の待機児童数は893人と、過去最高を更新するという深刻な事態となっています。現下の経済情勢などを踏まえると、保育需要はまだまだ高まっていくのではないでしょうか。 市長は、公約で待機児童の解消を掲げ、待機児童の問題と女性の社会進出はしっかり応援していきたいと常々申されています。市長就任後、さまざまな手法を駆使し、これまでで一番のスピード感を持って積極的に保育所整備に取り組まれていることは承知していますが、いまだ待機児童の解消には至っていません。現在策定中の政策推進プランの中でも、重点分野の一つとして、次代を担う子ども、グローバル人材の育成を掲げ、子どもが健やかに育ち、安心して生み育てられる社会づくりを進めることとされています。この早期実現に向け、今後もなお一層のスピード感を持って保育所整備を進めていくとともに、保育の担い手である保育士を確保する必要があると考えますが、今後、待機児童の解消に向けた施策の充実にどう取り組んでいくのか、御所見をお伺いします。 次に、第3は、自然と人に優しいまちについてであります。 昨年10月に、第4回国際ユニヴァーサルデザイン会議が福岡市で開催されました。会議には、世界22カ国・地域から約1万1,000人が来場したとのことです。これを契機として、ユニバーサルデザインの理念に基づき、誰もが思いやりを持ち、全ての人に優しいまちの実現を目指す取り組みが、今後、行政、市民、事業者の中で大きな流れとなっていくことを期待しています。そのためには、ハード、ソフトの両面から、どのようにバリアフリー化を進めていくのかが重要となります。 まず、ハード面についてですが、本市ではこれまでも、福岡市福祉のまちづくり条例や福岡市交通バリアフリー基本方針に基づき、不特定かつ多数の人が利用する建築物や鉄道駅、道路などにおいて、バリアフリー化が促進されてきたところであり、一定の進捗が見られたと評価しています。しかしながら、国においては、平成23年にバリアフリー法に基づく新たな基本方針が定められ、より高い水準の目標設定などが行われたところであり、本市においても、この国の方針を踏まえて対応を進めていく必要があると考えます。 一方で、私は、こうしたハード面以上に、これから重要となってくるのはソフト面のバリアフリー化であると考えます。福岡市のまちなかを見ますと、歩道や誘導用ブロックの上の違法駐車や迷惑駐輪などにより、高齢者や障がいのある人などの通行が妨げられるなど、せっかくハード整備を行っても、モラルやマナーが守られないことにより、新たなバリアが発生している事例を多く見受けます。また、ハード整備によるバリアフリー化は、資金面や空間的な制約などにより、おのずと限界があります。そのため、心のバリアフリーを積極的に推進することにより、150万市民の一人一人がユニバーサルデザインヘの理解を深め、実践していくことがより重要になってくると考えます。市長が特に力を入れている観光施策においても、市民一人一人の思いやりやおもてなしの心が必要ですが、観光客に対するものも、隣人に対するものも、その根底は同じです。もしも福岡市民全てがこうした心を持つことができれば、観光面に限らず、都市そのものの魅力がさらに高まり、もう一歩福岡市が進化できるのはないかと思います。また、心のバリアフリーは、ハード整備のように多額の費用もかかりませんし、もともと福岡市民は、アジアとの交流の歴史や伝統的な祭りに裏づけされたおもてなしの心を持っていますので、一層効果的だと思います。具体的な施策としては、例えば、学校教育の場を活用して、子どものころから普及促進を図ったり、市民や事業者などによる取り組みを表彰するなどいろいろあると思いますが、せっかく福岡市役所には1万人もの職員がいらっしゃるので、全庁的にアイデアを募集してはいかがでしょうか。そうすることで、職員にも心のバリアフリーを浸透させることができますし、組織の垣根を越えた連携強化にもつなげることができるため、一石二鳥だと思います。 そこで、島市長が提唱されている、「みんながやさしい、みんなにやさしいユニバーサル都市・福岡」実現の一翼を担うバリアフリー化の推進に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いします。 次に、第4は、文化薫り、魅力と活力にあふれたまちについてであります。 島市長は就任以来、観光やコンベンションの推進に積極的に取り組んでおられますが、第3次産業が9割を占める福岡の経済構造の中で、新たな消費や生産に直結し、経済の活性化を促進するこれらの施策に力点を置くことは、我が会派も賛同するところであります。現在策定中の政策推進プランにおいても、重点分野の一つとして、福岡の成長を牽引する観光、MICE、都心部機能強化の推進を掲げられていますが、コンベンションの開催は経済効果のみならず、新たな雇用の創出や税収増など、さまざまな波及効果をもたらします。とりわけ、大規模な国内会議や大会、国際コンベンションが開催されると、一度に数千人から1万人を超える参加者が福岡を訪れ、数日間滞在されるため、大きな消費につながり、アフターコンベンションとしての新たな観光需要も生み出します。また、コンベンションに関係する企業は多く、施設やホテルを初め、飲食、お土産、タクシーやバス、会場設営など、地場企業を中心に幅広い経済効果が生まれるのはもちろん、大規模な国際コンベンションの開催は、福岡の国際化の進展や都市のPR、ひいては再来福にもつなげることができます。そのため、本市ではこれまでも官民連携による誘致活動により、さまざまなコンベンションが数多く開催されており、日本政府観光局が発表している統計では、国際会議開催件数において、福岡市は3年連続で国内第2位を確保しています。また、昨年秋には、4つの大規模国際コンベンションが相次いで開催されましたが、川端商店街や福岡城址など公共空間を活用した新たな試みにもチャレンジし、参加者の満足を高めるとともに、大きな経済波及効果の創出と国内外へのPRができたものと思っています。 一方で、コンベンション誘致の都市間競争は激しさを増しており、他都市もさまざまな戦略のもとでコンベンションを推進していこうとしている中、今後は本市の特徴を生かした誘致を進めていくことが重要と考えます。特にこれからの誘致に当たっては、民間の力を最大限活用した誘致に取り組んでもらいたいと思います。民間の人材やネットワークを活用した誘致を推進し、行政がその後押しのため、主催者や実際に誘致活動を行う民間への支援を充実することにより、効率的で効果的なコンベンションの誘致ができるものと考えます。 また、コンベンションゾーンの2つの展示施設の稼働率は8割を超え、希望者が利用できない状況も生じていると聞いています。今後、コンベンションシティづくりをさらに推進し、都市の成長につなげていくためには、おもてなしの心や誘致といったソフト面から受け入れ体制のハード面まで、総合的な取り組みが必要ではないでしょうか。他都市との競争に打ち勝ち、より一層福岡にコンベンションを呼び込むため、今後どのようにコンベンションの誘致や機能強化などコンベンションシティづくりに取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いします。 福岡市が魅力と活力にあふれたまちとなるためには、地理的な優位性を持つアジアの活力を本市経済の発展にいかに取り込んでいくかがもう一つの重要な鍵となります。本市では、これまでも地場企業の中国ビジネス支援などに取り組んできましたが、御承知のとおり、昨年の尖閣諸島をめぐる問題を契機に、一気にチャイナリスクが顕在化しました。こうした問題を避けるため、多くの企業が東南アジア、インドなどに注目し始めています。特にアセアン諸国は親日的な国が多く、高い成長率を背景に購買力も上がっており、将来の市場として大きな魅力があります。幅広いアジア諸国との貿易、投資が活発になれば、逆にアジアから日本に進出する企業がふえることも考えられます。海外企業の立地は、重点分野の一つに掲げる人と企業を呼び込むスタートアップ都市づくりにもつながり、新規雇用を生み出すとともに、地場企業に新たな技術、ノウハウをもたらし、イノベーションを促すきっかけにもなります。そのため、アジアを幅広い視野で捉え、バランスのとれた経済交流が必要と考えます。 また、アジアとの経済交流を深めていくためには、これまで本市で培われてきたグローバルな人材やネットワークを活用すべきと考えます。本市は、かねてからアジアの交流拠点都市を目指して、数多くの国際会議やコンベンションが開催され、人材ネットワークの素地を持っているという他都市にない強みがあります。例えば、アジア太平洋こども会議は1989年に始まり、来年度25周年を迎えますが、これまで参加してきた子どもたちの多くが、アジアを初め世界中のさまざまな分野で活躍していることでしょう。こうした人材やネットワークという本市独自の強みを新たな経済交流やビジネスの創出に生かさない手はありません。今後、バランスのとれた戦略的な展開やグローバルな人材、ネットワークの活用を図りながら、アジアとの経済交流を推進すべきと考えますが、御所見をお伺いします。 次に、第5は、安全で安心して暮らせるまちについてであります。 一昨年に発生した東日本大震災及び福島原発事故は、防災の重要性やエネルギーに対する認識を根底から覆し、現在、老朽化した社会インフラヘの対応とエネルギーの安定供給の確保が喫緊の課題となっています。こうした中、再生可能エネルギーの普及促進については、昨年7月から固定価格買取制度が始まったこともあり、官民ともに加速度的に進んでおり、本市においても、埋立場を活用したメガソーラーやスマートコミュニティを目指した取り組みなど積極的に推進しているところであります。幸いにも、昨年、一昨年夏と、福岡市を含めた九州管内において計画停電は実施されませんでしたが、電力需給の逼迫に対応するため、節電効果の高い事業から優先的に取り組んでいく必要があります。 その中でも特に、市民に身近な本庁舎などの公共建築物でLED照明を積極的に導入し、市民、事業者をリードしていくべきと考えます。本市では、昨年8月に旧型の蛍光灯をリース方式によりLED化する実証実験を行い、リースに要する費用を光熱水費の削減額で賄うことができたとの報道がなされましたが、これは大変よい手法であると感心しました。仮に、市有建築物の6万本の旧型蛍光灯を全てLED化すれば、大きな節電と維持管理費の削減につながり、行財政改革にも貢献できるのではないでしょうか。また、市有建築物でのLED化が進むことによって、民間施設でも同様の改修が広がることが期待できます。しかしながら、こうしたよい事業も、地場業者に恩恵がなくては何にもなりません。そのため、今後の本格導入に際しては、電気工事業者とリース会社をオール地場でJVを組ませるという、日本初の福岡型方式を提案したいと思います。この方式であれば、本市地場企業の育成、振興に直接つながり、雇用の創出や地域経済の活性化にも寄与します。さらには、法人市民税や消費税など市の増収にも貢献しますので、費用対効果は非常に高いのではないかと考えます。乗り越えなければならない課題もあるとは思いますが、この提案の対応を含め、LED照明の導入をどのように推進していくのか、御所見を伺います。 最後に、東日本大震災に係る復興の支援について要望しておきます。 現在、本市から、復興支援のために10名もの職員が被災地に派遣されていますが、この多くはみずから志願した志の高い職員だということで、一市民として大変うれしく思いますし、福岡市役所の未来も明るいと感じています。被災地では、今後、本格的なまちづくりが進められていきますが、ノウハウを持った行政職員のマンパワーがいまだ不足している状況ですので、引き続き人的支援を含む息の長い支援を続けられるようお願いいたします。 以上、みらい福岡市議団を代表して質問してまいりましたが、冒頭でも申し上げましたように、我が国同様、福岡市も大きな転換期にあります。そうした中、未来を担う子どもたちが豊かな自然と共生の中で夢を育み、あすへの希望に胸を膨らますことができるまち福岡を実現するためには、常に新たな時代の潮流を的確に見きわめながら、事業の選択と集中を進め、コンパクトで持続可能な市政運営を行っていかなければなりません。百万一心という言葉があります。これは、戦国大名である毛利元就が吉田郡山城の工事に際し、石碑に書いたものと言われ、国人が皆で力を合わせれば何事もなし得るという意味だそうです。この百万一心の精神で、市役所1万人の職員が一丸となってさまざまな施策や課題に鋭意取り組まれることを期待し、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(森 英鷹) 島市長。 ○市長(島宗一郎)登壇 ただいま、みらい福岡市議団を代表して、国分議員より御質問いただきましたので、私から御答弁をいたします。 最初に、行財政改革の推進についての御質問にお答えをいたします。 まず、行財政改革についてでありますが、今後見込まれる社会保障関係費の伸びと公共施設等の老朽化に対応するための維持保全や更新費用の増加などにより、厳しい財政状況が見込まれております。そのような中にあって、市民生活の質を高め、人と投資を呼び込むことにより都市の成長と税収の増加を図り、これによりさらに生活の質が高まるという好循環をつくり、将来にわたって発展させていくことを都市経営の基本戦略といたしております。財政健全化につきましては、このような考え方のもと、行財政改革プランの策定を進めており、政策推進プランとの連動による投資の選択と集中を図り、市民生活に必要な行政サービスを確保し、重要施策の推進や新たな課題に対応していくため、積極的な歳入の確保と経常的な経費の見直しを行い、必要な財源確保と市債残高の縮減に向けた取り組みを行ってまいります。 平成25年度につきましては、プランの初年度として、市長、副市長など特別職の給与、退職手当の減額、一般職の退職手当や持ち家に係る手当の見直し、運転手業務の見直しなどを行い、人件費の抑制及び組織のスリム化の観点から、行政運営の効率化を中心として56億円の財源捻出を行います。また、市債発行の抑制にも引き続き取り組みます。 次に、外郭団体の見直しにつきましては、平成20年度に策定した第2次外郭団体改革実行計画に基づき、事業分野が類似している団体の統合や事業の民間への移譲など見直しを進めた結果、平成22年度にスポーツ振興事業団と体育協会を統合し、平成23年度末には下水道資源センターを廃止いたしました。さらに、平成24年度末には健康づくり財団及び海づり公園管理協会を廃止することとしており、平成20年度時点で35団体あった外郭団体は、平成24年度末には31団体となる予定です。平成25年度は、行財政改革プランの策定にあわせて第3次外郭団体改革実行計画を策定し、外郭団体で実施している事業の必要性や外郭団体で事業を行うことの妥当性などについて、さらなる検証と見直しを行い、改革に取り組んでまいります。また、この計画の中で、外郭団体ごとに改革実行計画期間中の取り組み内容や目標などを具体的に定め、団体数及び福岡市からの補助金や派遣職員などの最少化に取り組んでまいります。 次に、定員管理につきましては、最少の経費で最大の効果を上げるという地方自治の基本理念にのっとり、これまで他都市に先駆けて家庭ごみの収集、保育所の設置、運営、地下鉄の駅業務などについて、民営化や民間委託などの民間活用や事務事業の見直しを行うことにより、効果的、効率的な職員配置に取り組んできました。また、平成25年度の組織編成においては、厳しい財政状況の中、優先順位の最適化を徹底し、限られた経営資源をさらに効果的、効率的に配分するため、これまでの発想を転換し、各局の自律経営による主体的な組織編成を行いました。その結果、重点分野や重点施策の推進のための組織の新設や増員に必要な人員を事務事業の見直しにより生み出し、より筋肉質な組織づくりを実現したところであります。今後とも、ビルド・アンド・スクラップの考え方のもと、必要な体制整備をしっかりと行うとともに、積極的な民間活用や事務事業の見直しを行うことにより、政策実現集団としての組織づくりに努めてまいります。 これらの行財政改革を進めるに当たりましては、職員一人一人が行財政改革の意義を認識し、業務に取り組むことができるよう、トップガバナンスを強化し、市政の方向性をしっかりと職員に示してまいります。その上で、市政の最前線となるそれぞれの職場との意思疎通を十分に図り、改革へのモチベーションを高めながら、職員と一丸となって行財政改革を推進してまいります。 次に、子どもたちを健やかに育むまちについての御質問にお答えをいたします。 まず、待機児童の解消につきましては、就学前児童数の増加や社会経済状況に伴う保育所入所申込数の急増に迅速に対応し、早期の待機児童解消を実現するため、平成25年度は840人分を計上しており、平成24年度の補正予算で前倒ししております1,060人分と合わせて、過去最大規模となる合計1,900人分の整備を行い、平成26年度当初の待機児童ゼロに向け、積極的に取り組んでまいります。 次に、保育所整備に当たりましては、地域の保育需要なども踏まえ、既存保育所の増改築、認可外保育施設の認可化、保育所の新設、学校の余裕教室を活用した分園整備、保育所が行う家庭的保育事業など、多様な整備手法によりスピード感を持って取り組んでまいります。また、保育士の人材を確保していくため、保育士の処遇改善に取り組む保育所に助成を行うとともに、勤務をしていない潜在保育士の就職支援などを行う保育士・保育所支援センターの設置や、認可外保育施設に勤務している保育士資格を有していない保育従事者に対する資格取得の支援など、新たな対策に取り組んでまいります。さらに、保育を希望する保護者に対して、就労状況や世帯の状況などをお聞きした上で、個々の世帯のニーズに合った情報提供や助言などを行う保育コンシェルジュを各区に配置し、保護者の利便性の向上や就労形態に合わせた相談体制の強化を図ってまいります。 次に、自然と人に優しいまちについての御質問にお答えをいたします。 バリアフリー化の推進につきましては、新たな基本計画において、ユニバーサルデザインの理念に基づいた、誰もが思いやりを持ち、 全ての人に優しいまちの実現を目指していくこととしており、現在、バリアフリー基本計画を策定中であります。このバリアフリー基本計画においては、ハード、ソフトの両面からまちづくりに取り組むとともに、これらの取り組みの支援と計画の進行管理について定めたいと考えております。 まず、ハード面のバリアフリー化につきましては、重点整備地区を設定するとともに、バリアフリー整備を図っていく施設の範囲を拡大するなど、計画的に取り組んでまいります。 次に、ハード面の取り組みとあわせて、市民の理解と協力を求める心のバリアフリーを市全域で展開していく必要があると考えております。そのため、幅広い市民を対象とした啓発に取り組むほか、地域団体や民間企業、児童生徒など、対象者ごとに出前講座や教育を進めていくことにより、バリアフリーに関する知識を身につけ、福祉マインドの醸成につながるような取り組みを進めてまいります。また、高齢者や障がいのある人を初めとする利用者と施設の整備担当者が参加してまち歩きを行い、共働でバリアフリー化に取り組むとともに、利用者や学識経験者などで構成するバリアフリー推進協議会の場で、計画の進行管理や検証を行ってまいります。さらに、積極的にユニバーサルデザインの実践活動を行っている市民や事業者、団体を表彰するとともに、職員向けの研修を充実し、市役所全体で取り組んでまいります。 福岡市は、国内外のさまざまな交流の拠点として成長してきた歴史があり、訪れる人を温かく迎え入れるおもてなしの心を持った市民が生活しています。このような市民気質とバリアフリーへの理解を通して培った思いやりの心を生かしながら、「みんながやさしい、みんなにやさしいユニバーサル都市・福岡」の実現を目指してまいります。 次に、文化薫り、魅力と活力にあふれたまちについての御質問にお答えをいたします。 まず、コンベンションシティづくりにつきましては、福岡市の特性を生かし、地域経済への波及効果も大きく、都市のブランド化にも資するため、これまでも積極的に誘致や支援に取り組んでおります。そのような中、平成25年4月には、1万2,000人規模の日本外科学会、10月には、1万5,000人規模の全日本レクリエーション大会、また、平成28年には、国内外から3万人の参加が見込まれる過去最大の国際コンベンションであるライオンズクラブ国際大会など、大規模なコンベンションの開催も相次いで決定いたしております。しかしながら、コンベンション誘致の都市間競争はますます激しさを増しており、福岡の特徴を生かした誘致活動がさらに重要になると認識をしております。そのため、コンベンション開催を企画される民間団体や大学など、キーパーソンの方々とのネットワークを強化するとともに、福岡でコンベンションがより開催しやすくなるよう、ニーズに応じた支援に努め、効果的で効率的な誘致活動を進めてまいります。あわせて、コンベンションの国際機関であるICCA加入によるネットワークの活用や海外のコンベンションの商談会への出展などに取り組むとともに、コンベンション機能強化のため、新たな展示場整備の検討を進めております。また、世界ナンバーワンのおもてなし都市づくりに向け、まちなかでの受け入れ環境の充実やオール福岡での受け入れ体制の構築を進め、魅力と活力にあふれるコンベンションシティーの推進に積極的に取り組んでまいります。 次に、アジアとの経済交流についてでありますが、福岡市の経済の持続ある発展のためには、経済成長が著しいアジアの活力を幅広く取り込んでいくことが重要であると考えています。そのため、東アジアとのこれまでの交流に加え、今後は特に直行便で結ばれている香港、台湾、シンガポール、タイを中心に、アジアとの幅広い経済交流を進めてまいります。また、グローバルな人材やネットワークにつきましては、経済がボーダーレス化する中で、都市の活力を維持していくために重要なものであると考えております。福岡市はこれまで、アジア太平洋こども会議を初め、福岡アジア文化賞や福岡アジア美術館などさまざまな取り組みを通して、アジアを中心とした地域の人との交流を進めてまいりました。また、多くの大学や専門学校を擁し、若者や女性が多く、住みやすさも評価されるなど、人材力を活用するために必要な環境や条件がそろっております。このような優位性を活用しながら、福岡に多様な人材や世界で活躍する人材が集まり、相互につながることでイノベーションが起き、新たなビジネスやプロジェクトが創出されるよう、必要な機能について検討してまいります。今後とも、アジア諸国との幅広い経済交流を進めるとともに、グローバル人材の育成や集積を図り、福岡市の経済発展に取り組んでまいります。 最後に、安全で安心して暮らせるまちについての御質問にお答えをいたします。 市有建築物のLED照明の導入につきましては、省エネを推進する上で大変有効な対策であると認識しており、今後、全庁的に推進していきたいと考えております。これまで福岡市においては、地球温暖化防止などの観点から省エネ対策に取り組んでまいりましたが、東日本大震災以降の電力の安定供給に資するため、一層の省エネ、節電対策を推進する必要があります。現在、市有建築物には消費電力の大きい旧型蛍光灯が多数設置されておりますが、これらの改修には多額の費用を要するといった課題がありました。そこで、LED化を効果的に推進していくため、平成24年8月から、初期投資が不要なリース方式を用いたLED照明導入の実証実験を市有建築物で行いました。その結果、電気使用量がおおむね半減し、リース料金が電気使用料金の削減額の範囲内でおさまることや、LED照明への変更に伴う業務への支障がないことが確認されるなど、リース方式によるLED照明の導入には多くのメリットがあることが判明いたしました。このため、市有建築物の旧型蛍光灯につきましては、今後、リース方式によるLED化を推進していくとともに、全庁的な省エネルギー対策を統括する省エネ推進会議において、導入状況を定期的に確認し、進行管理を行ってまいります。また、リース方式は市有建築物だけではなく、市内のオフィスや店舗などにも普及が見込まれるため、今後、新しいビジネスとして成長することが期待されております。このため、地域経済の活性化や地場企業の育成、振興の観点から、入札参加資格を地場企業による共同企業体とすることについて検討してまいります。 以上、市政各般にわたり御答弁いたしましたが、承りました御意見、御提言に留意し、市民の代表である議会との対話を真摯に進めてまいります。私は、経済的な成長と安全、安心で質の高い暮らしのバランスがとれた、コンパクトで持続可能な都市づくりを進めることにより、人と環境と都市活力の調和のとれたアジアのリーダー都市を目指して、全力でこれからの市政運営に取り組んでまいります。これからも御協力よろしくお願いをいたします。 |
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