笠 議員の質問と答弁 | ||
◯笠委員 玄海原発の事故を想定した避難について、シルバー手帳について、福岡市の交通施策について尋ねる。まず、玄海原発の事故を想定した避難について、我が国に未曾有の被害をもたらした東日本大震災から2年が経過したが、この間、国においては原子力災害対策特別措置法が改正されるとともに、原子力災害対策指針が策定されているが、十分ではないようである。また、九州電力玄海原子力発電所から近いところで約37キロメートルに位置する本市においても、福岡市地域防災計画の原子力災害対策編を策定中であるが、重要なことは、いかにして放射能からの被曝を避けるかであると思う。平成24年4月、本市は県、糸島市と共同で、九州電力と迅速な情報提供等を定めた、原子力安全協定を締結した。また、県は国の指針を踏まえて、玄海原子力発電所から30キロメートル圏内の地域の避難を想定した広域避難基本計画を平成24年9月に策定し、これをもとに糸島市では、広域避難のための個別計画を同年12月に策定している。この安全協定や避難計画をベースに県と糸島市が訓練を実施した日時、対象人員、対象エリア、移動手段、避難経路、避難先について尋ねる。 △市民局長 平成24年6月3日と10月28日に実施されている。6月3日の訓練は、糸島市二丈鹿家地区の住民40人が、バスで国道202号及び202号バイパス、県道560号等を利用し、県立修猷館高校まで避難した。10月28日の訓練は、本市と春日市を避難先としており、本市へは糸島市志摩姫島地区と志摩芥屋地区の住民80人が、バス2台で県道54号、国道202号及び202号バイパス等を利用し、市立西陵高校まで避難した。また、春日市へは糸島市二丈深江地区の住民47人が、バスと乗用車に分乗し、県道49号及び56号、国道202号及び202号バイパス等の路線を利用し、春日市立白水小学校まで避難した。 ◯笠委員 玄海原子力発電所で事故が発生し、糸島市で避難が必要になった場合の糸島市における対象住民への連絡体制について尋ねる。 △市民局長 福岡県原子力災害広域避難基本計画及び糸島市原子力災害広域避難個別計画によると、原子力災害対策特別措置法に基づく国からの避難等の指示を受け、県は県内市町村や防災関係機関に直ちに通知するとともに、プレスリリースやホームページなど、あらゆる手段を活用して住民に呼びかけることとされている。また、糸島市は、県からの連絡を受け、自主防災組織、教育施設、消防団、農協、漁協等の関係機関、災害時要援護者が入院、入所している病院及び社会福祉施設、観光施設へ連絡するとともに、防災行政無線や広報車、ホームページ、防災メール等のあらゆる手段を活用して住民に伝達することとされている。 ◯笠委員 県は30キロメートル圏を想定して広域避難基本計画を策定しているが、福島の状況を見ると、それよりも広範囲に影響が及んでいる。事故直後に計画的避難区域に指定され、今も大半が居住制限区域となっている福島県飯舘村の福島第一原子力発電所からの距離と当初計画的避難区域に指定された理由を尋ねる。 △市民局長 福島県飯舘村は、福島第一原子力発電所から最短で30キロメートル弱、最長で50キロメートル弱に位置しているが、事故発生から1年間の積算線量が20ミリシーベルトに達するおそれがあることから、住民等におおむね1カ月以内に別の場所へ計画的に避難を求める区域に指定されたものである。 ◯笠委員 今日までの飯舘村の状況から、30キロメートル圏外であるからといって本市は安全だとは思えない。黄砂やPM2.5は全て西風に乗って大陸から飛来しており、本市も、避難が必要となる事態を想定しておく必要があると考える。本市はどのようなときに避難をすることとなるのか、また、そのときの本市の対象エリアと、避難すべき市民の数を尋ねる。 △市民局長 原則として、国の指示により避難することとなるが、平成25年2月に改定された国の原子力災害対策指針では、避難や屋内退避等の基準として、空間放射線量率毎時500マイクロシーベルトと設定されており、地域放射線量の実測値などを踏まえ、必要な措置が判断されることとなる。福島の例を見ても、50キロメートル圏全域が避難対象となっているものではなく、気象条件等により、放射性物質が拡散する方位に伴い、本市の対象エリアや対象人口等が異なってくる。 ◯笠委員 本市として避難計画を策定するのか、また、対象住民への連絡体制はどのように考えているのか。 △市民局長 国の原子力災害対策指針では、原子力災害対策に係る地域防災計画や避難計画の策定については、原子力施設からおおむね30キロメートルの原子力災害重点区域に係る自治体が作成対象となっている。玄海原発からおおよそ40〜60キロメートルに位置する本市は、計画作成の対象ではないが、福島での状況に鑑み、地域防災計画やこれに基づく避難計画を独自に作成する必要があると考え、検討を進めている。住民への伝達については、他の災害と同様、あらゆる手段を活用した連絡体制を整備し、情報の伝達に努める必要があると考えている。 ◯笠委員 それでは、糸島市において避難が必要となった場合について尋ねる。糸島市民が早良区に避難するとき、西区内の道路を通過するが、その際、住民の移動は規制されるのか。 △市民局長 糸島市の対象住民等が迅速かつ円滑に避難できるよう、福岡県広域避難基本計画では、県警察本部が避難時の交通誘導を行うとともに、必要に応じ交通規制を実施することとされており、県及び糸島市の避難計画などを踏まえ、県警察本部において人員配置等の計画を定めることとなっている。 ◯笠委員 糸島市からの避難の場合、国道202号を初め、福岡志摩線や大野城二丈線が避難経路となっているが、大渋滞が発生するのではないかと危惧する。今でも大雨や強風などでJR筑肥線が運休したときは、国道202号など糸島方面からの道路が渋滞している状況を知っているか。それでは、糸島市民の避難のための船やバス等について、台数、運転手の確保、夜間の場合の対応等を尋ねる。 △市民局長 糸島市対象住民の避難手段等の計画については、糸島市原子力災害広域避難個別計画では、市営渡船や漁船、県が準備したバスにより避難することとされているが、台数等の具体的な避難手段については、糸島市でのアンケートの実施等により今後把握することとされている。 ◯笠委員 市営渡船は1隻しかない。1万5,000人以上の住民の避難には何百台ものバスが必要になると思うが、糸島にはない。それでは、避難はどのようにして始まるのか、また、避難に要する時間を尋ねる。 △市民局長 糸島市対象住民の避難については、原則、国の指示により開始することとなっている。なお、国の原子力災害対策指針によると、即時に避難を要する地域は原子力発電所から5キロメートル圏内とされており、原子力施設から30キロメートルを目安とする区域では、原子力施設の状況に応じて段階的に避難するほか、緊急時モニタリング等により基準値を超える区域を特定し、避難することとされている。福島の例を見ても、計画的避難区域は1カ月以内に避難すると指示されており、状況により避難する時間も異なると考えている。 ◯笠委員 福島以上の事故が起きないとは断定できず、原子炉格納容器が破壊される事態もあり得ないことはないと思う。人間がつくり、人間が動かしている以上、ヒューマンエラーは必ずあると思う。万が一被害が拡大し、本市の一部においても避難が必要となった場合、本市の住民はどこへ避難することとなるのか。 △市民局長 市民の一部が避難を要する事態になった場合については、放射線量が低い安全な避難所等に避難することになるが、状況に応じ、一義的には避難対象地域外の市内の小中学校等の避難所、さらには他都市への避難も想定される。 ◯笠委員 風向きによって避難先が変わると思うが、放射性降下物の拡散分布予想図、SPEEDIのデータはどのように公表されるのか。 △市民局長 緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム、いわゆるSPEEDIのデータについては、平成25年2月に改定された国の原子力災害対策指針では、放射性物質の放出状況の推定や気象予測の結果を防護措置の参考情報に活用することとされており、今後、具体的な活用方法などが明らかになってくると考えている。 ◯笠委員 糸島市民の避難を目の当たりにする西区では多くの人が自主的に避難を始めるのではないかと思うが、どのように考えるのか。また、避難のための自家用車がふえて、避難経路である国道202号や福岡志摩線は大渋滞となり、糸島市民も計画どおりに避難できなくなるのではないかと考える。糸島市から避難する場合、南は脊振山脈に遮られ、北は海のため、糸島の住民や唐津の東部の人々は3本の道路に集中することになると思うが、どのように考えるのか。 △市民局長 国の指示により糸島市対象住民が避難を始めた場合において、本市としては、市民に対し放射線量などの原子力災害の状況や、避難対象地域の情報、本市の対応状況などを正確に伝えるとともに、冷静な対応を呼びかけることにより、混乱などによる被害を防止する必要があると考えている。また、交通誘導等の計画のほか、今後、糸島市が実施するアンケートなどにより、避難経路や避難手段の把握を行うとともに、福岡県、佐賀県、長崎県の3県が合同で避難のシミュレーションを行うとも聞いており、今後も県や糸島市などとの連携を図っていく。 ◯笠委員 玄海原発で放射能漏れがあった場合、平均的な風速6メートルの西風を想定した、本市の最も西に位置する九大伊都キャンパスまでの到達時間を尋ねる。 △市民局長 到達時間は事故の状況や気象、地形などの条件により大きく異なり、また、一般的に放射性物質は距離と時間によって拡散しながら流れるが、玄海原発から九大伊都キャンパスまでの距離は約37キロメートルであり、放射性物質が一直線に向かってくると仮定すると、1時間40分程度で到達することになる。 ◯笠委員 西区へは1時間40分で到達する。3日前に発生した福島第一原発の停電でも、事故発生から行政への連絡に3時間かかっており、1時間40分の間に避難できるとは思えない。福岡県広域避難基本計画によると、原子力発電所から30キロメートル圏内の住民約1万5,000人を、都市圏の各都市で分散して受け入れることとなっており、本市は約9,000人を受け入れることになっている。糸島市民が避難しなければならないような深刻な事態に、本市に受け入れる余裕はあるのか。西風に乗って本市に影響が出ることも考えられる中、市民への連絡と避難準備を早急に図る必要があり、本市は受け入れ先自治体としての行動ではなく、避難が必要な自治体として準備すべきと考えるが、所見を伺う。 △市民局長 本市域に避難指示がない場合、糸島市対象住民の避難受け入れについては、災害時における広域連携の観点から、今後締結予定の協定等に基づき協力すべきと考えている。あわせて、本市に影響が及ぶことも視野に入れ、本市域の住民避難などのための準備も行っていく。 ◯笠委員 糸島市が行動を開始した段階で、大半の市民は不安を覚え、特に子どもを持つ親はさらに大きな不安を抱くと思う。高齢者や障がい者などの災害時要援護者の避難に加え、原子力災害は乳幼児や子どもたちの避難に配慮する必要があると考えるが、どのように考えているのか。 △市民局長 原子力災害における乳幼児や子どもたちの避難については、東日本大震災や福島第一原発事故における教訓により、災害弱者への配慮が大きな課題となっていることから、現在進めている高齢者や障がい者などの災害時要援護者に対する避難支援対策とあわせ、原子力災害時の乳幼児や子どもたちの避難についても十分に検討していく。 ◯笠委員 平成24年7月、私は、全区の市民約400人を対象に、原子力防災に関する市民意識調査を独自に実施した。その結果、62.5%の市民が東日本大震災を契機に原子力発電所の安全性について考えるようになったと答えており、以前から考えていたと答えた市民を加えると、88.3%の市民が原子力発電所の安全性について考えている状況である。また、玄海原子力発電所の事故に不安を感じるかとの問いには、76.1%の市民が不安を感じると答えている。これはまさしく、原発の安全神話が崩れたことを如実に示している。不安を感じると答えた市民がどのようなことに不安を感じるかについては、情報に関する不安が最も多く、正しい情報が迅速に提供されるのか不安を感じると答えた市民が62.2%で、次に、どこに避難すればいいのか、いつまで避難生活が続くのか、移動手段などどのようにして避難すればいいのかといった避難に関する不安が多かった。また、避難が必要となった場合、どのようにして避難するかとの問いには、自治体の誘導に従って集団で避難すると答えた市民が38.8%、マイカーでなるべく遠くまで避難するとの答えは26%であり、公共交通機関を使うとの答えは8.8%で、25.8%がどうやって避難するかもわからないと答えている。原子力災害発生時に、市民はどのようにして自分の安全を確保していけばいいのか、そのために重要となるものは、正確な情報を知ることと、事前に安全な場所へどのような手段で避難を行うのか情報を持っていることなどだと考える。本市は、地域防災計画の原子力災害対策編を策定中であるが、市民の不安を確実に解消していくため、実効性ある計画とすることが重要である。原子力防災への市長の所見を伺う。 △市長 原子力災害については、大変不安に感じている市民が多いというのは事実だと思っており、原子力災害対策については、国の原子力災害対策の指針を踏まえながらも、本市独自にさまざまな対策を行ってきた。平成24年には九電と原子力安全協定を締結し、また、約27万人分の安定ヨウ素剤を備蓄して、市民の不安を少しでも和らげるよう独自に取り組んできた。平成25年6月には、対策の基本となる地域防災計画の原子力災害対策編を新たに策定して、平成25年秋には原子力災害を想定した避難訓練も実施する。今後とも市民の安全と安心を守るために、対策のさらなる充実を図っていきたいと考える。 ◯笠委員 次にシルバー手帳について、まず、シルバー手帳に関する25年度予算額及び手帳交付の資格要件を尋ねる。 △保健福祉局長 25年度予算額は56万円余で、資格要件は本市の住民基本台帳に登載されている65歳以上を交付対象に、原則として65歳到達時に新規交付を行っている。 ◯笠委員 23年度決算におけるシルバー手帳の交付人数、現在の手帳所有者数、シルバー手帳の取得による優遇措置を尋ねる。 △保健福祉局長 23年度におけるシルバー手帳の交付人数は1万9,979人である。現在の手帳所有者数については、死亡や転出等もあることから正確な人数は把握していないが、現在、交付対象となる高齢者は約26万人である。また、シルバー手帳の取得により、高齢者福祉に関する情報の提供を受けること、シルバー手帳の提示による美術館などの施設利用料の減免を受けることができる。 ◯笠委員 それでは、シルバー手帳を所持していない場合、65歳以上であることを証明できる運転免許証等を提示すると割引は可能なのか。 △保健福祉局長 減免対象となっている全36施設において、規則や運用により、シルバー手帳だけでなく、運転免許証など官公庁が発行する証明書等を提示することにより、減免を受けることができる。 ◯笠委員 シルバー手帳の配付方法を尋ねる。 △保健福祉局長 新たに65歳到達者に交付する場合は、原則として地域の民生委員が誕生日前後に対象者宅を訪問し、手帳を配付している。また、市外からの転入や、手帳の紛失の場合は、住所地の区役所において手帳の交付や再交付を行っている。 ◯笠委員 原則として民生委員が各戸に配付しているとのことだが、高齢化が進展している状況にあって、地域福祉活動を行う民生委員の役割はますます重要となっており、負担も年々増加していると聞いている。配付の際のクレーム等民生委員の負担はないのか。 △保健福祉局長 シルバー手帳の配付については、対象者が不在の場合、民生委員が複数回訪問しなければならないこと、シルバー手帳の配付により高齢者を意識させることに対するクレームを民生委員が受けることがあると聞いている。一方で、シルバー手帳を配付することにより、担当地区内の65歳到達者と直接面会することができ、高齢者の実態把握に役立っているとの意見も聞いている。 ◯笠委員 手帳を受け取る側の受けとめ方もさまざまであり、民生委員の負担も考えると、一律に配付することが本当にいい方法なのか疑問を感じる。65歳になっても元気に働いている人や、自分はまだ若いと思っている人にとっては、複雑な心境である。また、公共施設の減免といった優遇措置もあるが、必ずしも全員がこれをありがたいとは思っていないだろう。国の統計では、日本の個人資産1,500兆円のうち、6割は60歳以上の高齢者が保有しているというデータもあり、今の時代、高齢者全員が必ずしも生活弱者ではない。しかも対象施設の全てが、シルバー手帳がなくても運転免許証等の提示で割引が可能である。シルバー手帳については、民生委員の負担軽減もあわせて、希望者のみに配付する方法を検討してはどうかと思うが、所見を伺う。 △保健福祉局長 シルバー手帳については、高齢者の日常の社会参加に必要なものとして定着していると考えているが、近年は個人の価値観も多様化し、生活スタイル等もさまざまであることから、民生委員の負担軽減とあわせて、より望ましい配付方法などについて幅広く検討していく。 ◯笠委員 最後に、本市の交通施策について、その基本スタンスや都市交通のあり方、方向性を定めた都市交通基本計画に基づいて推進されているが、この計画は今、改定作業が進められている。また、計画の改定に当たっては、公共交通を主軸として多様な交通手段が相互に連携した交通体系の確立に向けた検討を行うこととされている。今後の交通施策にとって大変重要な計画となるが、この都市交通基本計画の現在の策定状況及び概要を尋ねる。 △住宅都市局長 本市の都市交通政策の基本的な指針となる都市交通基本計画については、高齢化などの社会環境の変化や、これまで行ってきた交通インフラ整備による交通状況の変化を背景として、現在改定作業を進めている。平成24年2月に改定着手を議会に報告した後、平成24年12月に市民意見などを踏まえた改定骨子案を議会に報告し、平成25年2月には福岡市都市計画審議会に報告した。概要は、「人に安心、まちに活力、地球にやさしい〜コンパクトで持続可能なユニバーサル都市を支える交通〜」という基本理念を掲げ、5つの交通体系の目標像を設定するとともに、目標像ごとに施策展開の方向性を示している。今後とも、議会や市民の意見を十分聞くとともに、交通事業者等の意見も聞きながら改定を進めていく。 ◯笠委員 私も交通対策特別委員会の委員として、改定骨子案について当局から説明を受けたが、基本理念やそれぞれの目標像は大変すばらしいものであり、実現に向けてしっかり取り組んでもらいたいと思っている。そのためには具体の施策が大事になってくるが、この骨子案には施策展開の方向性が目標像ごとに掲げられており、その一つに地域特性に応じた生活交通の確保という項目がある。ここでいう生活交通とは何を対象としているのか尋ねる。 △住宅都市局長 生活交通とは、通勤、通学、通院、買い物、その他、日常生活に欠かすことのできない人の移動のことである。 ◯笠委員 生活交通とは、日常生活に欠かすことのできない人の移動とのことだが、これだけを聞くと、交通手段としては、鉄道やバスから徒歩まで広く含まれていると思われる。それでは、この地域特性に応じた生活交通の確保について、具体的にどのような施策を考えているのか。 △住宅都市局長 具体的な交通施策の展開については今後議論していくことになるが、改定骨子案では生活交通の維持、確保のための主な施策として、バス路線の休廃止等に伴う公共交通空白地における代替交通の確保、公共交通の利用が不便な地域における地域主体の取り組みの支援を示している。 ◯笠委員 生活交通の確保のための施策については、地域特性に応じて対応するため、交通手段は決まっていないということだと思うが、現状では主にバスを活用した施策が実施されている。それでは、こうした施策を実施する際の事業者と行政との役割分担における基本的な考え方を尋ねる。 △住宅都市局長 バス路線の休廃止に伴い公共交通が空白となるおそれのある地域については、交通事業者による代替交通の運行に対し、本市が収支差額の補助を行うことで、生活交通の確保を図っている。また、公共交通が不便な地域については、地域が主体となった取り組みを本市が支援することで、地域や交通事業者の自立的、持続的な運行により生活交通の確保を図ることとしている。 ◯笠委員 バスを活用した交通支援は、行政は民間のバス事業者の運行に対して補助しているとのことである。民間のバス事業者にはバス運行のノウハウがあり、行政よりも効率的な事業運営が期待できるので、適切な役割分担であると考える。そこで、こうした官民の役割分担のもと、本市がどの程度費用を負担しているかを確認するが、25年度予算における生活交通支援のための事業内容及び予算額を尋ねる。 △住宅都市局長 25年度予算としては、休廃止路線の対策について、収支差額の補助として計4,940万円、公共交通が不便な地域への支援施策について、調査、検討経費補助及び試行運行の収支差額補助として400万円を計上している。 ◯笠委員 本市域内にある公共交通の空白地である5地域で、バス運行等に対し約5,000万円を計上しているとのことである。それでは、23年度決算における地域別の支出額及び1日当たり平均の利用状況を尋ねる。 △住宅都市局長 生活交通支援事業の23年度の実績としては、5つの休廃止路線に対して代替交通の運行補助を行っており、合計で17万7,093人が利用し、補助金の決算額は4,664万5,000円余である。地域における路線ごとの年間の決算額と、運行日1日当たりの平均の利用者数については、西区の今宿姪浜線は決算額283万円余で1日当たり122人、西区の金武橋本線は566万9,000円余で114人、早良区の板屋脇山線は19万8,000円余で2人、早良区の脇山支線は2,536万6,000円余で148人、東区の志賀島島内線は1,258万円余で122人である。 ◯笠委員 公共交通の空白地においては、高齢者や障がい者の通院や買い物、子どもたちの通学など、日常生活に必要な移動の手段として生活交通を確保することは大変重要であり、そのためにこれらの財源を投入することについて、多くの市民は納得するのではないかと思う。一方で、海上交通の確保を目的として運航している市営渡船については、本市域内の4つの離島、地域に対し、約7億5,000万円の予算を計上している。また、渡船事業については、バスによる支援策と異なり、本市直営で実施している。離島の住民にとって渡船が不可欠であることは十分認識しているが、本市の財政状況からは、限りなく財源を投入できるわけではない。本市の交通施策の一環である生活交通の確保について、バスや渡船といった交通手段の違いにかかわらず、どこまで行政が担うかという基本的な考え方が必要ではないか。行政の施策には常にバランスが求められるが、バスと渡船では、官民の役割分担についても、投入している財源についても大きくかけ離れていることに、大変違和感を持っている。本市の交通施策の中に渡船事業をしっかりと位置づけ、それぞれの地域における現在の交通事情や官民の役割分担などを踏まえた上で、全体のバランスを見ながら渡船事業のあり方を検討するよう強く要望しておく。 |
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