三角 議員の質疑と答弁

◯三角委員 みらい福岡市議団を代表して、博多座について、学校給食費について、滞納対策について、以上3点について質問する。まず、博多座について尋ねる。博多座は、本市が主体となって設立した公設民営の演劇専用劇場である。公設民営の劇場はほかに例がなく、歌舞伎やミュージカル、宝塚歌劇、歌手公演、芝居など、多彩な演目を本格的な形で常時公演する博多座は、日本で唯一の公設民営の劇場であると自負している。さらに博多座は、演劇文化の拠点であると同時に、年間約50万人を集客する貴重な観光施設であり、平成24年12月議会では23年度における博多座の経済効果について、市内直接効果で75億円、波及効果は124億円と示された。そこでまず、22年度から24年度までの3カ年、本市から(株)博多座に対して支払われた指定管理料の金額とその内訳を尋ねる。

△経済観光文化局長 指定管理料には、舞台装置や空調設備などの保守点検業務や市民檜舞台の月の運営業務を行う管理費用と舞台装置など設備の修繕費用があり、22年度の決算額は、管理費用が1億5,121万円余、修繕費用が2,459万円余、合計1億7,581万円余、23年度の決算額は、管理費用が1億3,971万円余、修繕費用が4,331万円余、合計1億8,302万円余、24年度の決算額は、管理費用が1億3,845万円余、修繕費用が1億2,986万円余、合計2億6,832万円余である。なお、修繕費用については、毎年度実施する内容によって増減があるが、年度終了後に工事内容及び金額を確認し、実費精算している。

◯三角委員 次に、(株)博多座の22年度から24年度までの3カ年の売上高及び当期損益の推移を尋ねる。

△経済観光文化局長 売上高の推移は、22年度が40億4,000万円余、23年度が41億7,200万円余、24年度が41億3,700万円余である。当期損益の推移は、22年度が4億7,600万円余の損失、23年度が5億100万円余の損失、24年度が4,900万円余の利益を計上している。

◯三角委員 平成24年12月議会で、短期公演の実施や市民が観劇しやすいきっかけづくりなど、興行面でもっと工夫すべきではないか、利益が出ない演目でも購入せざるを得ない言い値で買い付けているのではないかなど、早急に経営体質の改善と経費の節減や効率化が必要だと指摘した。24年度は、23年度と比べても売上高がほとんど変わらず、本市からの受託料収入も変わらない中、約5億円の赤字から約5,000万円の黒字に転換している。売り上げが変わらず、利益を上げるというのは至難のわざである。5億5,000万円相当のコストカットが図られたのではないかと想像するが、24年度、どのような経営努力をしたのか。

△経済観光文化局長 (株)博多座の経営に関する主な経費としては、演目の制作や上演に係る公演費と劇場の運営に係る販売管理費がある。公演費の縮減に向けた取り組みとして、22年度、23年度は1本ずつであった自主制作公演を、24年度は3本実施した。自主制作の場合、他の興行会社から作品を買い付ける場合と比較して、労力や手間はかかるが、中間手数料を払う必要がないため、公演費を大幅に下げることができた。また、販売管理費についても、役員及び社員の給与や賞与等の人件費や業務委託費などの縮減を行った。

◯三角委員 自主制作の推進による公演費の縮減や販売管理費の削減などで、約5億円の赤字を1年間で約5,000万円の黒字に転換したことは、約10億円にふえた累積赤字に対して、社員が危機感を持ち、自分のボーナスを削ってまで一生懸命取り組んだ結果であり、非常に評価できるが、そのような努力を23年度まではしていたのか。

△経済観光文化局長 平成20年9月のリーマンショック以降の個人消費の低迷に加え、平成23年3月11日の東日本大震災以降の買い控えなどの影響で、国内の演劇市場を取り巻く環境が悪化し、博多座においても売上高や入場者数の減少傾向が見られるようになった。このような状況への対応として、自主制作公演の開始や、販売管理費の見直しなど、改めて抜本的な経営改革に着手した成果が24年度から実現してきたと考えている。

◯三角委員 平成24年12月議会でも言ったが、本市には関東や関西ほど歴史に裏づけされた演劇文化が根づいているわけではなく、市場規模も比較にはならない。人気のある演目でも、デフレ下では1カ月間劇場を満席にすることは極めて困難である。実際、23年度のチケット販売計画による満席時の売り上げ額に対する当初計画額の比率、平均64.3%を達成できた演目は11本中3本で、50%未満の演目は6本あった。このことから、本市の市場に合った演目を上演する必要があると考えている。8月に「レ・ミゼラブル」を観劇したが会場は幅広い年齢層の客で満席であった。1人で数回見た、立ち見席のチケットを求めてまで並んだとの話を聞き、大変人気があることがうかがえた。今後の博多座の公演においては、演目のジャンルと入場者数の相関を研究し、福岡の人の趣味趣向に合わせた喜ばれる演目選定を行うべきだと考えるが、演目選定についての現在の取り組みを尋ねる。

△経済観光文化局長 近年では、平成24年1月と平成25年4月に上演した堂本光一主演の「SHOCK」や平成26年3月に予定されている滝沢秀明主演の「滝沢歌舞伎」など、ジャニーズ事務所所属の俳優による新ジャンルの演目を取り入れるなど、これまで博多座に来場したことがなかった年齢層の観客をふやす取り組みを行っている。また、平成25年3月の「水戸黄門」では、舞台を長崎に設定し、郷土色豊かな演出として長崎くんちを場面に取り入れるなど話題づくりに努めた。25年度は九州の各地域との連携を進め、9月公演「アマテラス」では、題材となった日本神話のふるさと宮崎県及び高千穂町と協力して、高千穂町で公演の記者発表を行い、博多座で宮崎県及び高千穂町の観光物産PRを行った。このように、九州を舞台とした演目の制作選定に加えて、演目の舞台となる九州の各地域との相互協力を推進することで、演目の親しみやすさや魅力を向上させるとともに、メディアに取り上げられる機会の増加を目指している。

◯三角委員 テレビでよく見る人たちが多数出演することが行こうと思う契機になっても、公演料を考えるとテレビでいいと思い直すこともあるが、歌舞伎やミュージカルは博多座に行かなければ見ることができないということもあると思うので、ぜひ研究されたい。会社の増益を考えた場合、コストカットの一方で、収入の増加は必要不可欠であると考えているが、博多座の売上高及び入場者数増加に向けた具体的な取り組みについて尋ねる。

△経済観光文化局長 売上高及び入場者数に対する影響が最も強い要因は、公演の演目や出演者であると考え、演目の選定について取り組みを進めているほか、演目に合わせた宣伝と営業活動の連携の強化に努めている。24年度においては、2月大歌舞伎における中村勘九郎さんによる上川端商店街でのお練りの実施や、櫛田神社節分祭への出席、3月公演「水戸黄門」出演者によるJR博多駅構内でのお練りなど、出演者による市民向けの公演PRを積極的に実施している。また、25年度においては、6月大歌舞伎の市川猿之助さんや、8月公演「レ・ミゼラブル」の福井晶一さんによる市長表敬を、市役所1階ロビーで市民に公開して行うなど、本市と博多座が協力連携し、メディアを通じた宣伝告知を広く行うことで、チケットの販売促進につなげている。さらに、九州の各地域との連携を生かした集客も進めており、「アマテラス」公演においては、高千穂町を初め、宮崎県から多くの人が博多座に来場した。また、青少年に演劇文化を親しむ機会を提供し、観劇人口の裾野を広げることを目的として、中高生を中心とした学校観劇事業の実施促進を図っており、学生の来場者は年々増加傾向である。

◯三角委員 本市では、観光を基軸とした経済の活性化や、まちづくりをより一層推進していこうとしている中、重要な文化拠点であり集客拠点である博多座を最大限に活用することが本市としての責務であり、市民の誇りであると考える。その博多座が、一度は行ってみたい劇場から、また行ってみたい劇場、何度も行きたい劇場として多くの市民から愛され、本市の宝として末永く存続していくためには、経営体質の見直し、より現金を確保することなどによる財政基盤の強化、絶え間ない経営努力など、経営安定化への課題はこれからも多々あると思われる。そのためには、出資者である本市の適切な指導、監督が必要であると考える。(株)博多座の経営安定化により、将来は本市を含めた株主への配当や利益を還元する方法として、市民に、より低廉な価格で質の高い文化芸術に親しんでもらうなど、本市にしっかり貢献できる株式会社になってもらいたいと考えている。25年度は、本来のルールに基づき、管理費に当たる水道光熱費などで1億3,000万円が市の負担になると聞いており、25年度決算では、2億円程度の黒字となると期待している。この質問の最後に、今後の博多座の経営安定化に向けて、本市はどのように指導し、働きかけていくのか所見を伺う。

△経済観光文化局長 博多座は本市における文化振興の拠点であるだけでなく、九州、山口を越える幅広い地域から多くの人が来場する集客拠点であり、本市の観光戦略上、重要な役割を担っている。(株)博多座では、経営の安定化に向け、累積赤字の早期解消を目指すとともに、幅広い層に楽しんでもらえる作品を選定、上演することにより、さらなる集客に努めることとしている。また、博多座にとって、平成26年は開場15周年の節目の年であり、平成26年1月から平成27年3月にかけての開場15周年記念公演の実施により、市民に、より一層博多座への親しみを持ってもらうほか、国内各地からの集客に加えて、海外からの観光客の呼び込みを促すような取り組みを検討するなど、演劇文化のさらなる普及振興と幅広い集客を目指すこととしている。本市としては、本市の宝である博多座が、これからも市民に愛され、多くの人に来場してもらえるよう、(株)博多座との間で博多座の経営改善をテーマとした協議会を定期的に設けており、経営の安定化に向け、引き続き時代の変化に合わせたさまざまな経営改善を行うように働きかけていく。

◯三角委員 25年度の決算を期待しておく。続いて学校給食費について尋ねる。学校給食は、人件費や設備費など給食の運営に関する費用は行政が負担し、食材料費の負担分として学校給食費を保護者に求めている。本市では、会計内容の透明性を高める手段として、他の自治体に先駆け、各学校長が管理するいわゆる学校長会計から、市の一般会計に計上する公会計化が実施されている。公会計化から3年間が経過したところであるが、教育費負担金の収入未済額の大部分を占める状況となっている。この多額の収入未済額については、行政としてきちんと対応すべきである。そこでまず、過去3年間の学校給食費の収納率と未納額、各年度末の累積滞納額の推移について尋ねる。

△教育長 学校給食費の収納率と未納額については、22年度が収納率98.6%で未納額6,566万円余、23年度は収納率98.7%で未納額6,353万円余、24年度は収納率98.8%で未納額6,590万円余である。各年度末の累積滞納額については、22年度末が2億6,172万円余、23年度末が2億8,875万円余、24年度末が3億472万円余である。

◯三角委員 累積滞納額は毎年増加して24年度末では3億円を超え、状況が悪化しているように思うが、この状況についてどのように考えているのか。

△教育長 累積滞納額については、現年度の未納額が過去の年度に発生した滞納を回収した金額を上回っている状況にあることから増加しているが、現年度の未納額と過去の滞納を回収した金額の差については、22年度が4,080万円余、23年度が3,457万円余、24年度2,457万円余と差が縮まり、滞納額の伸びが緩やかになるなど、滞納対策の効果が徐々にあらわれているので、今後も改善に向け努力していく。

◯三角委員 累積する滞納額を減らすためには、現年度の未納額を減らす一方で、滞納している世帯からの回収をふやすことを進めていかなければならないのは当然である。そこでまず、現年度の未納額を減らすための方策について、現在、学校給食費の納付方法とそれぞれの納付に占める割合、納付方法別の収納率を尋ねる。

△教育長 学校給食費の納付については、原則として口座振替としている。口座振替によることができない場合には、納付書により銀行などの金融機関の窓口で納付することができる。納付方法別の納付に占める割合については、24年度では口座振替が96.5%、納付書納付が3.5%であり、それぞれの収納率は、口座振替が99.4%、納付書納付が88.1%である。

◯三角委員 口座振替の収納率は99.4%とほぼ100%に近い非常に高い状況にあり、収納率の悪い納付書納付よりも、口座振替をもっと積極的に進めていくべきである。現在とっている口座振替の登録をふやすための方策を尋ねる。また、給食費において、口座振替における残高不足で振替不能となった場合、一定期間の後、再振替は行っているのか尋ねる。

△教育長 口座振替の登録をふやすための方策については、まず、小学校の新1年生の保護者には、入学説明会の際に、給食費の口座振替について文書により説明している。また、年度当初に給食費の決定を通知する際には、口座振替の登録のない全ての保護者について、口座振替依頼書を同封するとともに、10月には口座振替の登録のない全ての保護者に対し、再度口座振替を勧める文書と、口座振替依頼書を送付し、登録を促している。次に、口座振替において振替不能となった場合の再振替については、振替不能となった世帯に対し、振替日の1週間後に再振替の通知を送付した上で、翌月の15日に再振替を実施している。

◯三角委員 繰り返しになるが、納付書納付の収納率は88.1%と口座振替の99.4%に比べるとはるかに低く、納付書利用者を口座振替に切りかえる努力をするべきだと考えるが、どのように考えているのか。

△教育長 学校給食費の収納率向上のためには、口座振替の登録をふやすことが効果的であると考えている。そのため、口座振替ができる金融機関をふやすなど、納付者の利便性が向上するような方策をさらに検討していく。

◯三角委員 公会計化した理由の一つに学校事務の負担軽減という要素もあったと聞いているが、公会計化後、各学校における給食費の滞納に係る対応を尋ねる。

△教育長 学校給食費の公会計化の目的の一つは学校の事務負担を軽減することであり、公会計化後の学校では督促などを含め、給食費の徴収に係る事務は行っていないが、学校は保護者からすると教育委員会よりも身近な存在であり、24年度からは、卒業前の中学3年生世帯への催告文書は学校が手渡すなど、負担にならない範囲で学校に協力を求めている。

◯三角委員 給食費の納付についてはさまざまな対応がなされているようだが、現年度に発生する未納額は翌年度累積滞納額に計上される。累積滞納の収納率が非常に低く、現年度については、重要な課題としてさらなる努力をされたい。滞納世帯からの回収も非常に重要なことである。滞納金額がふえると、納めにくくなることも考えられるので、早い段階で回収を図ることが大切であると考えるが、現在、滞納世帯にはどのような対応をとっているのか尋ねる。

△教育長 まず、納期限後3週間程度で督促状を送付し、その後2カ月ごとに催告書を送付するとともに、電話や訪問による催告を行っている。さらに、滞納金額が5万円以上となった場合は、法的措置予告の対象世帯として、訪問による催告を強化している。それでも支払いの意思を見せない世帯に対しては、簡易裁判所へ支払い督促を申し立てる法的措置を実施している。なお、訪問などにより経済的に納付が困難な様子が見受けられる場合には、就学援助の助成制度を紹介するなど、新たな滞納の発生を防止する取り組みも行っている。

◯三角委員 督促状送付後、催告書を送付するまで2カ月あるが、それでは約3カ月滞納する人も出てくるのではないか。督促状送付のときに電話などで直接話をし、速やかな納付を促すなどの細やかな対応はできないのか。

△教育長 督促状については、毎月4,000件程度送付しており、対象となる全ての保護者に対して直接納付の督促を行うことは、現状では極めて困難であるが、滞納の防止のためには早期の対応が重要であると考えており、今後とも効果的な滞納防止策について検討していく。

◯三角委員 収納率を見ても、ほとんどの世帯はきちんと給食費を納めている。給食費は材料費分のみの負担なので、必要最低限の金額を支払っているものと思っている。日常生活においても、食事に係る費用は各自負担しているはずなので、給食の材料費分の負担は当然ではないか。病気や失業などにより、収入が急激に減少して支払うことができないということもあるかもしれないが、その場合は負担を軽減する制度もあり、基本的には払える人に負担を求めていることになる。きちんと納めている世帯との公平性を確保するためにも、滞納世帯に対しては全て法的措置をとるなど、きちんと回収すべきではないかと思っているが、所見を伺う。

△教育長 法的措置については、差し押さえなどの強制執行ばかりでなく、一括納付が難しい場合には裁判手続を経た和解を行うなど、滞納対策として有効な手段である。また、同時に他の滞納世帯が法的措置を意識することにより、納付につながる効果もあると考えているが、事務量などを考えると、全ての滞納世帯を対象として法的措置をとることは現状では極めて困難である。なお、従来は滞納額が10万円以上の世帯を法的措置予告の対象としていたが、24年度からは、滞納額が5万円以上の世帯に拡大し、納付について誠意が見られない滞納世帯からの早期の回収に努めている。

◯三角委員 法的措置予告の基準は5万円以上ということだが、小学生1人に換算すると、給食費は月額3,900円であり、約1年滞納しなければ法的措置予告の基準に達しない。早目に対応し、滞納額が少ないうちに措置することが肝心ではないか。早目の対応、費用対効果の観点から、法的措置の実施基準を見直すことはできないのか。

△教育長 学校給食費の滞納については、公平性の観点からも可能な限り法的措置の対象を広げることが望ましいと考えている。法的措置を行う基準を見直すことにより、新たに対象となる世帯数や滞納金額、法的措置に必要な費用や事務量などを試算するとともに、効果的、効率的な事務の執行についても勘案しながら、法的措置の対象とする世帯の拡大について検討していく。

◯三角委員 滞納が発生すれば、その回収のために、市役所としては本来必要のない手間や費用が発生し、回収が遅くなればなるほど余計なコストがかかる。そのようなコストを生じさせないためにもあらゆる方策をとり、滞納が発生しないように取り組まれたい。この質問の最後に、現時点での学校給食費の公会計化について、どのように評価しているのか所見を伺う。

△教育長 学校給食費については、従前の学校長会計にあった問題を解決するために、透明性の向上、学校事務負担の軽減、保護者負担の公平性の確保を目的とし、公会計化したところである。まず、透明性の向上については、学校給食費を一般会計に計上し、予算や決算として、議会で審議いただくことで実現できていると考えている。また、学校事務負担の軽減については、徴収や督促などの事務を教育委員会で集中的に行うことで、各学校では事務が軽減し、教職員が子どもと向き合う時間の確保につながっていると考えている。なお、保護者負担の公平性の確保については、これまでも法的措置の対象を拡大するなど、滞納世帯からの回収を強化してきた。今後も保護者から信頼が得られるよう、引き続き適正な管理運営に努めていく。

◯三角委員 続いて滞納対策について尋ねる。22年度決算において、収入率、収納率の向上について尋ね、財政健全化の観点や公平性からの観点からも、収入率、収納率の向上に積極的に取り組んでいく必要があると指摘した。その後の進捗状況について調べたところ、収納率について、現年度分は向上しているものの、滞納繰り越し分は年々下がるか伸び悩んでいる状況であった。そこで、学校給食費の滞納対策と比較しながら、保育料の滞納対策について聞いていく。まず、過去3年間の保育料の収納率と滞納額の現年度分、滞納繰り越し分、全体分を尋ねる。

△こども未来局長 保育料収納率について、現年度分は、22年度98.0%、23年度98.1%、24年度98.4%、滞納繰り越し分は、22年度11.5%、23年度10.0%、24年度9.7%で、全体分は22年度90.0%、23年度90.0%、24年度90.5%である。滞納額について、現年度分は、22年度1億920万円余、23年度1億967万円余、24年度9,698万円余滞納繰り越し分は、22年度4億6,633万円余、23年度4億7,305万円余、24年度4億9,184万円余、全体分は、22年度5億7,553万円余、23年度5億8,272万円余、24年度5億8,882万円余である。

◯三角委員 滞納繰り越し分の収納率が年々下がっている理由と、滞納繰り越し分の収納率を上げるために、これまでどのような対策を講じてきたのか。

△こども未来局長 滞納繰り越し分の収納率低下の理由については、収入の減少、病気や失業などによる生活困窮等により未納となった滞納分が累積したためである。滞納繰り越し分の収納率を上げるための対策については、滞納者への催告状の送付や継続入所申し込み時の各区役所や本庁での面接による納付指導などを実施している。また、25年度から長期高額滞納者等に対応するため、専任の嘱託員を配置し、資力調査や面接、納付指導、差し押さえ等を積極的に行うなど取り組みを強化したところである。

◯三角委員 滞納繰り越し分の収納率を向上させる対策は重要だが、現年度の未納額を減少させることも重要である。現在、保育料の納付方法とそれぞれの納付に占める割合、納付方法別の収納率を尋ねる。

△こども未来局長 保育料の納付方法については、口座振替と納付書払いがある。納付件数に占める割合は、24年度末で、口座振替による納付が全体の85.3%、納付書払いが14.7%である。口座振替による納付は、振替できず未納となった場合、未納分の納付書による納付となっていることから、納付方法別の納付率は把握していない。

◯三角委員 納付方法別の納付率については、きちんと把握し、対策を立てるべきではないかと意見を述べておく。納付率の悪い納付書よりも、口座振替を積極的に進めていくべきだと思っている。学校給食費の口座振替率96.5%に対し、保育料の口座振替率は24年度末で85.3%と非常に低い。小学校入学前は85.3%で、小学校入学直後に96.5%とは、差が開き過ぎではないか。そこで、これまでにとった口座振替の登録をふやすための方策を尋ねる。

△こども未来局長 口座振替をふやす方法については、全ての入所希望者に配布する冊子に、保育料の納付方法は原則として金融機関での口座振替により納付と記載し、周知しているところである。また、毎年度当初に、新規入所児童及び継続児で口座振替の手続を行っていない人に対して、保育所入所承諾書に口座振替を勧める文書つきの口座振替依頼書を同封し、10月にも、口座振替の登録のない全ての人に対し、同様の口座振替依頼書を送付し、登録を促している。

◯三角委員 繰り返しになるが、学校給食費と比べて保育料における口座振替率を向上させる余地がまだまだ残っているように思われ、学校給食費の口座振替率に近づけていくことは可能であると考える。収納率向上のためには口座振替をふやしていく対策が重要であるが、所見を伺う。

△こども未来局長 口座振替は指定期限内の確実な徴収方法であり、現年度分の収納率向上の要因として、口座振替率向上が寄与していると考えており、保育所に対しても、入所説明会などを通じた口座振替の勧奨を依頼しているところである。今後とも確実な納付を進めるため、各保育所とも連携して口座振替の一層の促進対策を検討していく。

◯三角委員 初回振替ができなかった場合、保育料は再振替を行っているのか。

△こども未来局長 保育料については、初回振替ができなかった場合の再振替は実施していない。

◯三角委員 再振替を行っていない理由を尋ねる。再振替を早急に行うべきと思うが、所見を伺う。

△こども未来局長 再振替の実施については、システム改修や金融機関とのデータのやり取りなどの事務的な課題等もあるため実施には至っていないが、残高不足等により口座振替ができなかった場合には、口座振替不能分の納付書を保育所を通じて保護者に交付し、納付勧奨を行っているところである。今後、子ども子育て支援新制度の導入に伴うシステム開発にあわせて検討を行っていく。

◯三角委員 次に、現在の滞納世帯への対応を尋ねる。

△こども未来局長 滞納世帯への対応については、まず、納期限の1カ月程度後に本市から督促状を送付し、さらに1カ月程度経過後に、保育所から滞納世帯に対し、文書による納付勧奨を行っている。それでも納付がない世帯に対しては、再度本市から催告書を送付し、納付指導を実施するとともに、納付が困難な世帯には、分納による納付対応を行っている。長期高額滞納世帯に対しては、25年度に配置した専任の嘱託員が、預金や生命保険、不動産等の資力調査などを実施し、必要に応じ差し押さえなどの対応を行っている。

◯三角委員 保育料は、各世帯の収入によって決定されており、他の制度と同様、病気や失業などにより収入が急激に減少して支払うことができなくなった場合は、保育料を減免するなどの救済制度がある。基本的には、払うことができる人に求めているものだと考えている。納期限後2カ月程度で保育園の園長から直接滞納世帯に対し納付勧奨を行っているということだが、複数の保育園の園長から聞いた話によると積極的に納付勧奨を行っている園長もいれば、担任から文書を渡すだけの園もあった。また、何度園長が言っても払わない保護者に困っているという話も聞いた。このように、各園によって対応に差があるのではないか。園長の直接の納付勧奨は一定の効果があると聞いており、今後取り組みを強化されたい。さらに、本市の待機児童が解消されない現在、払わない人がいれば、待機児童の保護者は、きちんと払うから入れてほしいという思いになるのではないか。また、専任の嘱託員を配置しており、催告書を送付するだけでなく、訪問や電話による納付指導を積極的に行うなど、危機感を持って取り組まれたい。保育料については、学校給食費と比べて口座振替率が低いので、場合によっては、小中学校における取り組みを参考にしながら、口座振替をもっと積極的に勧奨していく必要がある。また、振替不能の場合、学校給食費は再振替を行っているのに、保育料では行っていないのはいかがなものか。学校給食費の納付別方法の納付率からもわかるように、納付書による納付になることで収納率は下がる。できるだけ納付書を発行しないよう、再振替を行うべきである。このように、同じ市役所内で口座振替の対応や滞納対策について、部署によって大きな差があるように思えてならない。今回は2つの事例を比較しただけであり、根拠とする法律も異なり、時効の期間や手続の方法も異なることは承知しているが、滞納しているものを徴収するという点では、部署が変わっても全て同じだと思う。不納欠損処理を行っていなければ、給食費も保育料も、母子寡婦貸付や(公財)福岡市教育振興会の奨学金貸付のように、過去から累積する滞納額は膨大になっていたはずである。市全体として、統一的な基本ルールを設定し、マニュアル化し、スピードアップして対応すべきだと考えるが、今後どのようにするのか。

△財政局長 滞納対策について、債権管理に関する運用が債権ごとに異なり、一部不十分な取り組みとなっている面があると認識している。このため、25年度に債権管理の総合調整を行う部署を財政局に設置し、債権を所管する部署に対する指導支援業務の強化を図るとともに、現在全庁的に債権管理を推進していくための方策を検討しているところである。その方策の1つとして、これまでに蓄積してきた債権管理に関するノウハウや法的知識を共有し、その活用を図ることを目的として、統一的な基本ルールや手順、手法などを示した債権管理マニュアルを年内に策定する予定としている。今後、この債権管理マニュアルの活用を初め、債権回収の促進に向けた環境整備を進めるとともに、所管局とも十分に連携を図って、滞納対策の推進に努めていく。

◯三角委員 本市の収入未済額は、一般会計、特別会計合計で24年度だけで244億円にも上り、これだけの収入未済がなければ、9月議会で質問した小中学校のエアコン設置もすぐに解決できる。現在の厳しい財政状況を踏まえ、平成25年6月に行財政改革プランを策定し、全庁一丸となって財政健全化に取り組もうとしている。このプランに基づき、選択と集中による事業の抜本的見直しや、民間活力の導入などのさまざまな取り組みを進めようとしていることは高く評価するが、財政状況が悪いことを理由に安易に事業廃止するような市民サービスを削減する前に、まずは新たなる財源と捉え、滞納対策は全市的に今すぐに取り組むべき重要な課題だと考えるが、市長の所見を伺う。

△市長 滞納対策は健全な財政運営としてだけではなく、負担の公平の観点からも、非常に重要な課題であると認識している。このため、6月に策定した行財政改革プランに基き、市税や保育料などの主な債権については、収入、納付率などの目標を設定して、全庁的に歳入の積極的な確保に努めるとともに、25年度から財政局に新たな組織を設置して、全庁的な債権管理の推進を図ることとしている。今の指摘も十分に踏まえて、今後とも滞納対策について、より一層推進に努めていく。





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