水城 議員の質疑と答弁
○41番(水城四郎)登壇 おはようございます。水城四郎です。私は、みらい福岡市議団を代表し、発言通告に従い、順次質問してまいります。当局の明確な答弁を期待いたします。
 まず、福岡市職員の不祥事防止対策についてお尋ねいたします。
 先月の11月29日から3日間続けて、教職員を含め3人の市職員が逮捕されました。新聞など見ても、また市職員逮捕であるとか、とまらない不祥事など、福岡市職員がまるでいつも不祥事を行っているような印象を受けるかのような報道がなされております。こういう状況は、福岡市にとって大変大きな損失だと思います。このまま職員のモチベーションを下げるなど、まじめに仕事に取り組んでいる職員にも悪い影響を与えるのではないかと危惧するところです。
 当局は、特に飲酒にまつわる不祥事について、海の中道、3人の幼児を事故死させた事件以来、不祥事が発生するその都度、対策をとられてこられたと思いますが、こう続けて発生すると、結局はそれらの対策は効果が得られなかったのではないか、市民から厳しい言葉が突き刺さります。私は、議会などで、収賄などの不祥事防止のための制度づくりについて提言や、教職員に対しても規律を正すように繰り返し申してまいりましたが、その都度、歴代市長、局長からコンプライアンスの遵守という決意を議会で示してきたにもかかわらず、残念でなりません。不祥事を根絶するためには、今回のことに限らず、今まで起こった不祥事にもきちんと向き合って、対策をとっていかない限り根絶には至らないと思うからです。
 そこで質問ですが、3人の幼児を死亡させた海の中道の飲酒運転事故があった平成18年度から現在までの市職員の懲戒処分の処分者数と、そのうち、暴行や窃盗、わいせつ行為などの一般非行の処分者数及び飲酒運転の処分者数を年度ごとにお尋ねします。
 以上で1問目の質問を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(森 英鷹) 中村総務企画局長。
○総務企画局長(中村英一) 教職員を含めた全市の人数でございますが、まず懲戒処分者数全体につきましては、平成18年度が35人、19年度が21人、20年度が22人、21年度が35人、22年度が28人、23年度が16人、24年度が15人、25年度は11月末現在の数字でございますが、15人となっております。
 このうち、暴行、傷害、窃盗、わいせつ行為、体罰などの一般非行の処分者数につきましては、平成18年度が6人、19年度が3人、20年度が9人、21年度が7人、22年度が11人、23年度が8人、24年度が7人、25年度は11月末現在で7人でございます。
 飲酒運転の処分者数につきましては、平成18年度が3人、19年度が1人、20年度が1人、21年度及び22年度はゼロでございまして、23年度が1人、24年度が1人、25年度は11月末現在で2人となっております。以上でございます。
 
○議長(森 英鷹) 水城四郎議員。
○41番(水城四郎) それでは、ただいまの数字の中で教職員の処分者数と、そのうち暴行や窃盗、わいせつ行為などの一般非行の処分者数及び飲酒運転の処分者数について、年度ごとにお尋ねをいたします。
 
○議長(森 英鷹) 酒井教育長。
○教育長(酒井龍彦) 教員の処分者数につきましては、平成18年度が7人、19年度が7人、20年度が13人、21年度が5人、22年度が15人、23年度が7人、24年度が2人、25年度が11月末現在で8人でございます。
 このうち、体罰を含めた一般非行の処分者数につきましては、平成18年度が5人、19年度が1人、20年度が6人、21年度が4人、22年度が9人、23年度が4人、24年度が1人、25年度が11月末現在で4人でございます。
 飲酒運転の処分者数につきましては、平成24年度に1人でございます。以上でございます。
 
○議長(森 英鷹) 水城四郎議員。
○41番(水城四郎) それでは、これまでの不祥事再発防止について、一般職員に対する取り組みとして当局はどのようなことを行ってきたのか、お尋ねいたします。
 
○議長(森 英鷹) 中村総務企画局長。
○総務企画局長(中村英一) 平成18年8月の職員による海の中道大橋における飲酒運転死亡事故の発生以降、翌9月には飲酒運転を原則懲戒免職とする懲戒処分の指針の厳罰化を行ったほか、平成20年5月にコンプライアンス推進委員会やコンプライアンス推進委員を設置し、コンプライアンス向上策の取り組みの推進を図ってまいりました。また、新規採用職員研修や主任研修、課長研修などの階層別研修における公務員倫理の科目の充実や、毎年全ての職場で実施している公務員倫理に関する職場研修の充実により、職員の不祥事再発防止の教育に努めてまいりました。
 これらの取り組みにより、平成20年4月を最後に飲酒運転による不祥事は発生しておりませんでしたが、平成24年2月に職員による自動車窃盗、飲酒運転事件が発生し、同年4月には小学校教頭が飲酒運転で検挙されました。これらを受けまして、それまでの取り組みに加え、翌5月に飲酒運転等不祥事再発防止アクションプランを策定し、これに基づき全庁統一の取り組みと各局、室独自の取り組みの双方を進めているところでございます。さらに、飲酒運転以外にも飲酒運転に起因関連する不祥事が多発していることを受け、平成24年7月に懲戒処分の指針を改定し、公務外非行や飲酒に伴う不祥事に対する厳罰化を行ったほか、管理監督者のマネジメント力強化のための取り組みといたしまして、福岡市管理監督者の指導要領の策定、管理職特別研修の実施、お酒の飲み方チェックシートや通勤経路・手段チェックシートの実施などに取り組んでまいっておるところでございます。以上でございます。
 
○議長(森 英鷹) 水城四郎議員。
○41番(水城四郎) 同じく教職員に関してもどのような取り組みを行ってこられたのか、お尋ねしたいと思います。
 
○議長(森 英鷹) 酒井教育長。
○教育長(酒井龍彦) 教職員による不祥事再発防止に向けた取り組みにつきましては、平成18年8月の福岡市職員による飲酒運転死亡事故以降、毎年4月に校長、園長を対象とした服務研修を実施するとともに、各学校、園におきましては、夏季休業中の服務・倫理校内研修や綱紀の粛正の通知に基づく職場研修を実施しております。これらの研修においては、飲酒運転事故の新聞記事を使って実施をするなど、各学校、園で工夫をしながら取り組みを推進してきました。
 平成24年4月以降は、市立小学校の教頭が飲酒運転で検挙されたことを踏まえまして、緊急職場会議の実施や校長会、園長会による自主的な飲酒の自粛、お酒の飲み方チェックリストの記入結果に基づく管理職による指導などの取り組みを行ってまいりました。以上でございます。
 
○議長(森 英鷹) 水城四郎議員。
○41番(水城四郎) 先ほど全市の処分者数のお答えをいただきました。お答えを聞きますと、確かに懲戒処分の全体の人数は減っているものの、最近、飲酒運転に関しては、むしろ増加傾向にあるようですね。また、問題は、一般非行に関して近年ほぼ横ばいといった状況ということですが、さまざまな取り組みを行ってきたにもかかわらず、この一般非行や飲酒運転が減らない原因は何なのかということをお尋ねしたいと思います。
 
○議長(森 英鷹) 中村総務企画局長。
○総務企画局長(中村英一) 不祥事が起きます背景や要因につきましては、平成19年のコンプライアンス向上検討委員会における検証を初め、これまで機会あるごとに分析を行ってきたところでございます。
 その要因には、大きく分けて、個人的要因と組織的要因がございますが、まず個人的要因といたしましては、借金、アルコールの問題、病気やストレスあるいは職員の自覚や誇りの希薄化、不祥事の他人事化といったものがございます。また、組織的要因といたしましては、職場の風通しや管理職のマネジメント力の問題、職場のチェック体制の問題、研修や指導の形骸化といったものがございます。
 これらの分析を踏まえ、さまざまな取り組みを進めてまいりました結果、全体の懲戒処分者数は減少傾向にございますが、一般非行や飲酒運転の処分者数が減少していないことは御指摘のとおりであり、大変遺憾に思っております。
 これらの不祥事が減っていない要因でございますが、1つには、一般非行や飲酒運転はそのほとんどが勤務時間外に発生しており、組織の直接の管理が及びにくいということが挙げられるかと思います。また、これらの不祥事の背景にあるアルコールの問題や病気、ストレスといった個人的要因につきましては、十分な効果が浸透するまで粘り強く継続的に取り組む必要があることなどが考えられるところでございます。以上でございます。
 
○議長(森 英鷹) 水城四郎議員。
○41番(水城四郎) 島市長は、不祥事防止に向けて活発に声をかけておられたし、先ほどの答弁のとおり職員が多く取り組みを行っていることは私もよく知っております。しかし、不祥事が発生し、一番悔しい思いをしているのは、まじめに不祥事防止に取り組んでいる大多数の職員だと思います。だからこそ、今後実効性のある取り組みを行っていくためには、不祥事のそれぞれの年齢、勤務場所、職場環境など個別事案ごとに分析をしっかり行っていただきまして、傾向等を把握する必要があると私は考えております。さらに、その分析の上で、個別事案ごとに対策をとる必要があるのではないかと思います。私個人の推測ですけれども、本庁は意外と緊張しているんですが、本庁以外の出先の部署や他の任命権者、特に一番問題は学校現場だと考えています。
 そこで質問ですが、教職員の不祥事の根絶に向けて、今後どのような対策を考えているのか、教育長の所見と覚悟をお尋ねします。
 
○議長(森 英鷹) 酒井教育長。
○教育長(酒井龍彦) 児童生徒の規範となるべき教職員には、高い倫理観と規範意識が求められていることから、一たび不祥事が起きた場合には、その学校だけではなく、福岡市の教育そのものの信頼を著しく損なうことになります。このため、不祥事の再発防止に向けては、教職員一人一人が教育公務員としての自覚を持ち、これまでにみずからが決めた取り組みを地道にかつ着実に実行していくことが重要であると考えております。これらのことは、今回の2件の飲酒運転を受けて、12月3日に開催をいたしました緊急の校長、園長会で私からも直接校長、園長に伝えたところでございます。アルコール依存症を含む精神疾患により休暇、休職中の教職員につきましては、保健師の資格を持つ健康管理専門員による相談や助言を充実させるとともに、校長が病気休暇、休職中の療養の状況を的確に把握をし、必要な指導をするための指針を早急に作成いたします。今後、福岡市の教育に対する市民の信頼を回復するため、不祥事は絶対に起こさない、起こさせないという強い決意と覚悟を持って取り組みを進めてまいります。以上でございます。
 
○議長(森 英鷹) 水城四郎議員。
○41番(水城四郎) 福岡市の犯罪発生率は政令市の中でも高く、その抑止のため、今議会で犯罪のない安全で住みよいまちづくり推進条例を提案してあります。福岡市が安全で安心できるまちであるためには、条例を制定し、犯罪撲滅に取り組むことは重要ですが、その前に、市職員が率先して不祥事等の防止に取り組むべきであるという厳しい意見があります。大きな事案が起こるたびに、市長は禁酒令や処分の厳罰化など対策をとられてきました。確かに一時的には効果があり、ある程度減少しましたが、結局はなくなっていません。私は、不祥事を根絶する特効薬はないと思っています。市職員が高いモチベーションを保ち、コンプライアンスに対する意識を高め、私は福岡市の職員であると大きな声で市民に言えるような環境をつくることも必要だと思います。
 最後に島市長に、不祥事の根絶に向けて、今後どのような対策を考えているのか、所見と覚悟をお尋ねしまして、この質問を終わりたいと思います。
 
○議長(森 英鷹) 島市長。
○市長(島宗一郎) ことし9月に起きました外郭団体に派遣中の職員による飲酒運転事件を受けて、職員一人一人が決意を新たに不祥事根絶に向けて取り組んでいる最中にもかかわらず、今回また放火や飲酒運転という重大な不祥事を立て続けに起こしてしまいましたことについて、改めて深くおわびを申し上げます。
 不祥事防止のためには、まず組織としてのマネジメントが重要であります。部下職員に対する適正な指導こそが何より重要であり、今後とも、さまざまな機会を捉えて、全ての役職者に認識させていきたいと考えております。また、不祥事を繰り返さないためには、これまでの取り組みを継続するというだけではなくて、常に高い意識を持って振り返りや見直しを行いながら、これまで以上に全職員が危機感を強めて、全庁が一体となって取り組みを続けていく必要があると痛感をしているところでございます。またさらに、職員一人一人が高いモチベーションを保ち、コンプライアンスに対する意識を高め、誇りを持って仕事ができる環境づくりが必要であるという水城議員からの御指摘につきましては、これは平成25年の6月に策定した福岡市の行財政改革プランにも掲げているところでございまして、しっかりと取り組んでまいります。
 今回の不祥事を受けて、飲酒運転を初めとする不祥事の再発防止に向けて、改めていま一度職員の綱紀粛正のさらなる徹底を図り、損なった市民からの信頼回復に向けて、リーダーシップを発揮しながら全力を尽くしてまいります。以上です。
 
○議長(森 英鷹) 水城四郎議員。
○41番(水城四郎) しっかり市長のリーダーシップ、期待したいと思います。よろしくお願いします。
 次に、福岡市上下水道を中心とした国際貢献、海外ビジネス展開についてお尋ねします。
 私は、昨年の9月議会におきまして、中国公務員の研修受け入れ問題に端を発して、真の国際貢献のあり方について申し上げました。具体的には、北九州市や東京都の上下水道分野の国際貢献へも通じたビジネス展開を例に出して、福岡市もこれからはアジアのビジネス戦略としてやっていくべきだと提案をいたしましたのは、昨今、地方自治体の国際貢献のあり方も、その手法も、性質も大きく変わったことを意味しています。ただ、だらだらと自己満足で自画自賛する国際支援時代は終わっています。
 そこで、福岡市の上下水道を中心とした国際貢献を通じた海外ビジネスの展開について質問してまいります。
 まず、海外でのビジネスを展開するとなれば、当然、何か売るものが必要です。私は、福岡市がこれまで培ってきた技術やノウハウは売りにあると思うからです。
 そこで、福岡市の上下水道分野で持っている技術やノウハウの強みは何なのかをお尋ねしたいと思います。
 
○議長(森 英鷹) 井上水道事業管理者。
○水道事業管理者(井上隆治) 福岡市の水道事業につきましては、地理的に1級河川がないなど大きな水源を持たない中での継続的な都市の成長により水の安定供給に多くの課題を抱え、過去に2度の大渇水も経験しております。このため、筑後川からの広域利水や日本最大規模の海水淡水化施設を初めとする多様な水源開発、状況に応じた水道管の水圧の調整による全国初の配水調整システムの整備、節水こまの普及や広報活動を通じた市民の節水意識の高揚など、節水型都市づくりに市民、企業、行政が連携して取り組んでまいっております。その結果、福岡市は世界トップレベルの漏水率の低さと市民が高い節水意識を持っている日本を代表する節水都市と呼ばれるに至っており、このような経験の中で培ってきました水道の技術に加えまして、市民と連携して進めてきた節水への取り組みによる都市全体の節水や水の効率的利用のシステムが福岡市の強みと考えております。以上でございます。
 
○議長(森 英鷹) 中野道路下水道局長。
○道路下水道局長(中野計雄) 下水道につきましては、渇水対策として、日本で初めてとなる広域的な下水処理水の再利用を行うほか、都心部の浸水対策として、河川改修とあわせて雨水排除施設や貯留施設の整備を実施してまいりました。また、河川や博多湾の水質汚濁対策として、下水の高度処理を行うとともに、下水処理に伴い発生する下水汚泥の有効利用等にも取り組んでまいりました。これらのさまざまな課題を克服してきた過程で培ってきた高度な技術やノウハウが福岡市下水道事業の強みでございます。以上でございます。
 
○議長(森 英鷹) 水城四郎議員。
○41番(水城四郎) それでは、その強みを生かして、福岡市の上下水道分野でこれまでどのような国際貢献、国際協力を行ってきたのか、お尋ねします。
 
○議長(森 英鷹) 井上水道事業管理者。
○水道事業管理者(井上隆治) 水道局では、昭和62年のマレーシアへの職員派遣を皮切りに、延べ13カ国33名の職員を派遣するとともに、福岡市が持つ全国的にも珍しい水道技術の実践トレーニングが可能な研修所を活用した海外研修生の受け入れなど、漏水防止技術を中心とした技術協力を行っております。以上でございます。
 
○議長(森 英鷹) 中野道路下水道局長。
○道路下水道局長(中野計雄) 下水道につきましては、主にアジア諸国の公衆衛生や生活環境の改善に貢献するため、昭和59年度から7カ国に44名の職員を派遣し、各地の現状を踏まえた下水道の計画や整備技術を中心とした技術支援を実施してまいりました。また、平成24年度からは、JICA研修員受入事業を民間と連携して実施し、8カ国12名を受け入れ、アジアを初めとする諸外国の下水道事業促進に貢献するとともに、これらの研修を通じて人的ネットワークの形成や現地ニーズの情報収集を行ってまいりました。さらに、国際展開を希望する地場企業の支援や官民連携のあり方を勉強することを目的として、国際展開勉強会を開催しております。そのほか、再生水事業などに関する海外からの視察受け入れを実施しております。以上でございます。
 
○議長(森 英鷹) 水城四郎議員。
○41番(水城四郎) これまでの国際協力や支援は私も評価しております。
 それでは、現在の上下水道の国際貢献、国際協力の取り組み状況についてお答えください。
 
○議長(森 英鷹) 井上水道事業管理者。
○水道事業管理者(井上隆治) 水道局では、現在、ミャンマー及びフィジーの2カ国へ国際協力の働きかけを行っております。ミャンマーにつきましては、ヤンゴン市へ昨年4月からJICA長期専門家として職員を派遣し、漏水防止などの技術指導を行うとともに、ヤンゴン市職員の福岡市への視察、研修の受け入れを実施するなど、相手国への技術協力の中で、密接な信頼関係の構築に努めており、来年度も継続して職員を派遣することといたしております。また、フィジーに対するJICA草の根技術協力事業の採択を受けまして、漏水防止などの技術協力を平成25年度より新たに3年にわたり実施することとし、現在、JICAを通じて具体的なプログラムを協議中であります。以上でございます。
 
○議長(森 英鷹) 中野道路下水道局長。
○道路下水道局長(中野計雄) 下水道につきましては、平成25年度も引き続きJICA研修委員受入事業を実施し、10カ国12名を受け入れるとともに、国際展開勉強会について、平成25年度は水道局と合同で実施し、上下水道に関する勉強会として拡充して開催しております。以上でございます。
 
○議長(森 英鷹) 水城四郎議員。
○41番(水城四郎) 今の答弁にありましたが、福岡市は昨年度よりミャンマーのヤンゴン市へJICA専門家として水道局職員を派遣しております。実は、産経新聞系列のSankeiBizというインターネット記事と日本水道新聞という業界紙に、ヤンゴン市については東京都の水道局が東京水道サービス(TSS)、三井物産、東洋エンジニアリングを含めた4者で日本コンソーシアムをつくり、ヤンゴン市と連携協定を本年9月26日に締結しており、貢献ビジネス推進へと書かれております。これは事実なのかどうか、お尋ねします。
 
○議長(森 英鷹) 井上水道事業管理者。
○水道事業管理者(井上隆治) 御指摘の件につきまして、東京都から連携協定を締結したと伺っております。以上でございます。
 
○議長(森 英鷹) 水城四郎議員。
○41番(水城四郎) 事実であるとすれば、福岡市は東京都に出し抜かれたのではないかと思っております。私は、ここ1年ほどミャンマーに行き来し、ヤンゴン市の幹部にもお会いしましたが、状況は知っているつもりです。この記事から見ましても、東京都がヤンゴン市と連携協定を締結し、貢献ビジネスを推進していると思っております。一方で、福岡市はヤンゴン市にどこの自治体よりも早く入ってかかわったにもかかわらず、水ビジネスとしての方向性がないため、福岡市の動きが鈍過ぎて取り残された感が否めず、私は残念で仕方がないと思っております。
 そこでお尋ねしますが、東京都と福岡市で連携することはできなかったのか、また、東京都以外でも日本の自治体がミャンマーに入っているのではないか、その状況をお答えください。
 
○議長(森 英鷹) 井上水道事業管理者。
○水道事業管理者(井上隆治) ミャンマー・ヤンゴン市との協定につきましては、当初、東京都、福岡市、ヤンゴン市で行政間協定とする方向で調整しておりましたが、協議の中で、東京都が出資する株式会社と特定民間企業を含めた協定へ変更したい旨の提案があり、福岡市には特定民間企業と連携する組織や仕組みがなく、また、仕事上の関係も有しない特定民間企業との連携は公正な手続上、課題があると判断して参画を見送り、東京都を中心に協定が締結されたものでございます。
 しかしながら、ヤンゴン市での水道局からの派遣職員は、日ごろの水道業務に加えまして、本市との連携の強化に向けた取り組みも行っており、本年7月には福岡市から関連局が連携して現地に調査団を派遣し、水道分野だけでなく、下水道分野や環境分野など幅広いまちづくりについて提案したり、また、10月にはミャンマーにおけるJICA主催の水道技術セミナーに水道局職員を3名派遣するなど、技術協力関係をより一層深め、福岡市とヤンゴン市の協定の締結をも視野に入れた取り組みを進めております。
 次に、他都市の状況ですが、北九州市がミャンマー・マンダレー市で浄水場運転管理に関する技術支援を、大阪市がヤンゴン市の下水道整備計画策定に関する活動を行っていると聞いております。以上でございます。
 
○議長(森 英鷹) 水城四郎議員。
○41番(水城四郎) 東京都だけでなく、大阪市や北九州市も含めてミャンマーに入り始めているということですね。現地からも、私確認しましたが、北九州市が現地事務所をつくり本格的に活動を始めているという情報が届いています。これ以外に、隣の韓国もアメリカもヨーロッパもみんな入ってきているわけですけれども、これは一体どういうことなのでしょうか。福岡市にはできなくて、なぜ他の自治体ができているのか。福岡市はなぜこの1年間何もやらなかったのかと疑問が残ります。福岡市に民間企業との連携の枠組みがなく、特定の企業と組む理由がないというのは、それは日本の常識であって、海外、世界では通用せず、それもあり得るということでやらないとビジネスはかち取れません。ビジネスとしても、今こそミャンマーに打って出るようにと昨年の9月議会でも申し上げましたが、結果的に1年がたってもビジネスとして何も進んでいないことが判明したことになると思います。
 それでは、これからその原因を探ってまいりたいと思います。
 国際貢献、国際協力から海外ビジネス展開を行っている先行事例として、北九州市の取り組みについてお尋ねしたいと思います。
 まず、いつごろから北九州市は国際貢献、国際協力の取り組みを行っているか、お尋ねします。
 
○議長(森 英鷹) 中村総務企画局長。
○総務企画局長(中村英一) 北九州市におきましては、上下水道分野で平成2年にアフリカのマリへの技術協力が行われたのを皮切りにいたしまして、その後、平成11年からカンボジアを初め、アジア各国へ技術協力が実施され、現在はカンボジアのほか、ベトナム、インドネシア、ミャンマーなどへの技術協力が行われております。以上でございます。
 
○議長(森 英鷹) 水城四郎議員。
○41番(水城四郎) 北九州市は上下水道分野でかなり国際貢献、国際協力の実績があるようだと私も独自に関係者から伺っています。
 それでは、次に北九州市の海外水ビジネスについてはどのくらいの受注実績があるのか、お尋ねします。
 
○議長(森 英鷹) 中村総務企画局長。
○総務企画局長(中村英一) 北九州市の公表資料によりますと、これまで技術協力で信頼関係を築いてきたカンボジアやベトナム、インドネシアで計13件の受注実績があるとされております。
 
○議長(森 英鷹) 水城四郎議員。
○41番(水城四郎) 受注実績もかなりの件数があるようですが、その原動力とも言うべき、北九州市の海外水ビジネス展開に係る庁内組織についてはどのように把握されているのか、お尋ねをします。
 
○議長(森 英鷹) 中村総務企画局長。
○総務企画局長(中村英一) 北九州市におきましては、上下水道局に海外・広域事業部海外事業課が設置されております。以上でございます。
 
○議長(森 英鷹) 水城四郎議員。
○41番(水城四郎) では、北九州市の海外水ビジネス展開を推進している外郭団体等はあるのか、お尋ねします。
 
○議長(森 英鷹) 中村総務企画局長。
○総務企画局長(中村英一) 北九州市におきましては、公益財団法人北九州国際技術協力協会、一般財団法人北九州上下水道協会がございます。以上でございます。
 
○議長(森 英鷹) 水城四郎議員。
○41番(水城四郎) また、北九州市の海外水ビジネス展開に向けた官民連携の組織は把握しているのか、お答え願います。
 
○議長(森 英鷹) 中村総務企画局長。
○総務企画局長(中村英一) 北九州市におきましては、海外水ビジネスを産学官で推進するため、関連企業を初め、学識経験者、関係機関の参加を得て、平成22年8月に北九州市海外水ビジネス推進協議会が設立されております。以上でございます。
 
○議長(森 英鷹) 水城四郎議員。
○41番(水城四郎) 今答弁にありました北九州市海外水ビジネス推進協議会では、どのような活動が行われているのか、お示しください。
 
○議長(森 英鷹) 中村総務企画局長。
○総務企画局長(中村英一) 協議会では、北九州市がこれまで技術協力で培った人的ネットワークを持つカンボジア、ベトナム、インドネシアなどを対象に、参加企業や関連機関との情報共有を図り、海外展開の手法や具体的な受注案件の検討などが行われております。以上でございます。
 
○議長(森 英鷹) 水城四郎議員。
○41番(水城四郎) 福岡市には、北九州市海外水ビジネス推進協議会のような官民連携で海外ビジネスを行うような組織があるのか、お答えください。
 
○議長(森 英鷹) 中村総務企画局長。
○総務企画局長(中村英一) 福岡市には現在、官民連携で海外水ビジネスを行う組織はございませんが、海外水ビジネスを見据え、地場企業の支援や官民連携のあり方について検討することを目的として、上下水道分野の地場企業を対象に勉強会を開催しているところでございます。以上でございます。
 
○議長(森 英鷹) 水城四郎議員。
○41番(水城四郎) 北九州市には海外水ビジネスを展開するために産学官の協議会や外郭団体までがあり、また庁内には専任の組織もあります。また東京都では、東京水道サービスという特別目的会社を最近つくって、海外水ビジネスを精力的に政策として行っており、本市と大きく開きがあります。私は、昨年、現地で何度も東京都の視察がバッティングをいたしました。精力的に動いています。今から福岡市が他都市のように組織をつくってやろうとしても時間がかかりますし、北九州市のように製造業などの地場企業も少ないと思われますので、民間企業と組んで海外展開するやり方も簡単ではないように思います。
 そこで、海外ビジネスを行う場合、福岡市が持つすぐれた技術として、漏水防止対策などの節水技術や下水の再生水なども含めた、いわゆる水を有効に使う技術や水を生み出す技術は、水を有効活用できていない東南アジアや水が足りない中東では大変有望な技術であると考えています。私は、過去、ミャンマーで国連の支援活動を経験しまして、現地での水に関する衛生環境の実態や課題を直に感じてきました。ミャンマーでは、都市部では水道が整備されていますが、塩素消毒などが十分でないため、ミネラルウォーターを買える一部の高所得者を除いて、日本人では飲むとおなかを壊すような水を現地では飲んでいます。それも都市部は水が出るだけよいほうで、地方に行くと水がないため、飲み水は井戸水しかありません。しかし、お金がない人は井戸も掘れず、使える井戸があってもポンプが買えないので、結局、生活用水は雨水をドラム缶にためながら使用しています。平成24年度から水道局の職員がヤンゴン市へ派遣されていますが、ミャンマーでは不十分な衛生状態など厳しい生活環境の中で大変苦労しながら水道技術の指導に取り組まれています。また、現地のヤンゴン市の評価も大変高く、喜ばれていると聞いています。現地の評価が高いにもかかわらず、本市は技術協力だけにとどまり、同じ自治体がその先にあるビジネスにつなげているのは、これは看過できず、残念でもったいない、ぜひともビジネス化するべきだったのではないかと考えています。
 先を越される北九州市のように、民間企業と本市が今から組むのではなく、そのような福岡市の水関連の技術をパックとして、指導者、監督者も現地に派遣する形で海外に売ることが可能であると思うのですが、どのようにお考えか、お尋ねします。
 
○議長(森 英鷹) 井上水道事業管理者。
○水道事業管理者(井上隆治) 現在取り組んでおりますミャンマー・ヤンゴン市への技術協力につきましては、水道局職員が現地の厳しい状況の中で日常業務をともに行い、漏水対策など給水環境改善のための技術指導を行う一方、幅広い国際交流の窓口にもなり、地道な技術支援と交流を重ねているところでございます。
 また、水道局においては、継続的な国際貢献のため、今年度、職員の海外派遣登録制度をつくり、技術の承継にもつながる取り組みを進めております。福岡市が持っている都市づくりに関する技術をパッケージとして提供することは技術的に可能だと考えておりますが、まずは相手国のニーズと福岡市が持つ技術のマッチングなどによる技術的信用をかち取る中で相手国との深い信頼関係を築いていくことが大切であり、そのような日常的な活動の延長線上にビジネスと言われている分野の可能性も見えてくるものと考えております。
 また、将来のビジネス化を視野に入れまして、地場企業を対象とした国際展開のための勉強会を道路下水道局と共同して開催し、既に海外進出を果たしている地場企業の講演や地場企業との意見交換を本年2回開催しております。アジアのリーダー都市として、ミャンマーなどへの国際貢献については、JICAなどの国際機関の資金も活用しながら、今後もしっかりと取り組むとともに、地場企業との連携を深めながら、裾野を広げる活動も行ってまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(森 英鷹) 水城四郎議員。
○41番(水城四郎) 福岡市の水関連の技術をパックとして海外で売ることは、リスクなどは十分過ぎるほど検討してからでありますけれども、採算性については発展途上国の場合は我が国のODAがあるところ、また、中東など比較的資金を持っている国などをターゲットにすればよいのではないかと思っております。ぜひ研究してやるべきではないかと考えます。
 ODAといえば、本年5月に安倍首相がミャンマーを訪問してテイン・セイン大統領との会談の場で、本年度末までに円借款や無償資金、技術協力の合計で910億円の支援を表明しております。また、他の東南アジアの国々にもODAによる支援がなされており、このODA案件でビジネスにつながるものがあり、各自治体が乗り出したと考えています。
 また、福岡市はアジアの拠点都市を標榜していますが、アジアといえば西アジアのトルコまで入ります。私は、議員1期目のときからミャンマー、ベトナム、タイ、マレーシア、インドネシアなどの東南アジアに目を向けるべきではないかと申し上げてまいりましたが、これまで福岡市の施策は極東アジアに集中し過ぎたのではないでしょうか。ぜひ東南アジアにも視点を向けるべきであることを再度強く要望を申し上げておきます。
 では、次の展開として、福岡市はビジネス化に向けてどのように取り組んでいくのか、御所見をお尋ねします。
 
○議長(森 英鷹) 中村総務企画局長。
○総務企画局長(中村英一) 他都市では、海外の同一都市に長年職員を派遣し、漏水防止技術の指導などの国際協力を続ける中で、信頼関係を築き、その結果、上下水道の調査や整備に係る案件を受注されております。
 福岡市におきましても、昨年度からミャンマーのヤンゴン市に水道局の職員を派遣しておりますので、現地ニーズを踏まえた技術協力を継続しながら、現地の情報収集も行い、まずは相手都市との信頼関係を築き、お互いの協力関係の枠組みをつくることが肝要であると考えております。
 ビジネス化につきましては、現在開催している地場企業を対象とした上下水道分野における国際展開に向けた勉強会を継続し、企業との意見交換や事例研究を行いながら、官民連携の仕組みづくりを検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(森 英鷹) 水城四郎議員。
○41番(水城四郎) 昨年12月に策定しました第9次福岡市基本計画においても策定されているのですが、国際貢献、国際協力を推進し、アジアでの存在感を高めるとともに、ビジネスも含めた事業展開を目指すとあります。私は、福岡市総合計画審議会の委員として参加いたしましたが、審議会の都市の成長部会でも各界の有識者のさまざまな議論がなされ、これを諮った中で、そういう方向性が示されたものだと理解をしています。
 ちょうど1年が過ぎましたが、現状ではビジネスの取り組みは残念ながらなされていません。北九州市など他都市に比べてビジネスの取り組みがおくれている原因の一つは、福岡市の各分野が総務企画局国際部、経済振興局、水道局、環境局などが組織として縦割りになっているためではないかと思いますが、御答弁願います。
 
○議長(森 英鷹) 中村総務企画局長。
○総務企画局長(中村英一) 全庁的な観点から施策の推進を図るため、総務企画局が関係局を統括する役割を担っておりまして、関係局による会議を行うなど全庁的な連携に努めているところでございます。今後とも、関係局間の連携をさらに強化しながら、ビジネス展開につながるよう取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(森 英鷹) 水城四郎議員。
○41番(水城四郎) 近年は、世界的な潮流として、都市間競争が一層厳しくなってきております。また、国際貢献として技術提供だけを行う時代は既に終わっています。また、国際貢献とは聞こえがいいですが、結局はせっかくの技術が他都市や諸外国に流出するだけになってしまっています。
 したがって、福岡市が都市間競争に生き抜くための財源づくりの一環としても、国際貢献ビジネスは重要であると考えています。他都市の国際ビジネスは政治的判断を含め、市のトップが政策戦略として本気で乗り出しており、それから見ると本市は視点が違うのか、タイミングを逸している状態です。福岡市として乗り出すのか乗り出さないのか。ことしも残りあとわずかとなりましたが、ことしの流行語でいえば、いつやるのか、今でしょ、来年はこれはもう使えませんから、現場である各事業局がビジネス展開に苦戦しているようですよ、市長。リーダーシップとは、トップが先頭に立ってしっかり進めるべきであると考えます。最後に、市長の政治家としての判断をお尋ねして、私の質問を終わります。
 
○議長(森 英鷹) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市は、人口増加による都市化の進展などに伴って、水不足ですとか浸水の被害、ごみとか交通問題、交通渋滞などのいろいろな都市問題が生じて、これらの問題を解決する、克服するために、節水型都市づくりや浸水対策、そして廃棄物の埋立技術である福岡方式の開発、そして、放射環状型幹線道路ネットワークの整備などに取り組んでまいりました。また、平成23年の実績では、水道の漏水率は世界で最も少ない都市だということなんですね。これらはやはり、私たちの諸先輩が築き上げてきていただいた本当に福岡の宝だというふうに思っております。
 このようなコンパクトで住みよいまちづくりというのは、国連ハビタットから非常に高く評価をされていて、福岡モデルというふうにも呼ばれています。こうした、これがまさに福岡市の強みであると考えておりますし、また、この強みを今後どういうふうにビジネスにつなげることができるかというのが課題でもあり、より攻めの姿勢が大切だというふうに思いますし、それがもっとこれから必要だということだと思います。
 水城議員御指摘の上下水道の海外ビジネス展開については、国連ハビタットやJICAなどとも連携をして、現在、水道局の職員を派遣しているミャンマーのヤンゴン市など、既に協力関係のある都市を足がかりとして、国際貢献の先のビジネス展開を明確にして、官民連携の仕組みづくりも検討しながらしっかりと取り組んでいきたいと思います。以上です。
 





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