笠 議員の質疑と答弁 | ||
◯笠委員 鳥肉による食中毒への対策について、助成・給付事業と所得について、市街化調整区域の集落の維持、活性化について、市街化調整区域における営農環境の確保について質問する。鳥肉による食中毒への対策について、昨年の話だが、地元の焼き鳥屋に行ったとき、昨年までメニューにあった大好きな鳥の刺身がなくなっていた。店の方に理由を聞くと、鳥の生肉は食中毒にかかりやすいため、保健所からの指導で提供できなくなったとのことであった。また、ことし7月ごろの新聞記事に、特に鳥の刺身を原因とした食中毒の記事を続けて見かけ、これは仕方がないと思っていた。ところが先日、ある朝のテレビ番組で、鳥料理のしかも鳥刺しの紹介があっており、その中で鳥刺し、ズリ刺し、レバ刺しが非常においしい店として紹介されていた。さらには、ソフトバンクの選手もよく来店している店だと宣伝していた。これでは、幾ら保健所が鳥の刺身の提供について指導したとしても、マスコミの力、ましてやテレビの影響力のほうが大きく、保健所の指導などは効果がないと考える。26年度、本市において食中毒は何件発生したのか、また、そのうち、鳥の刺身による食中毒はどれぐらいか。 △保健福祉局長 本市における26年度の食中毒事件の発生件数は16件、患者数は168名である。また、鳥の刺身による食中毒の件数については、原因食品として断定したものはないが、先ほどの16件のうち、鳥肉との関連性が高いとされているカンピロバクターという細菌によるものが11件、53名である。さらに、このうち10件については、鳥の刺身が提供されていることから、断定には至っていないが、原因食品として強く疑われている。 ◯笠委員 鳥の刺身を提供している店に対して、どのように指導しているのか。また、市民に対してどのように啓発しているのか。 △保健福祉局長 鳥の刺身を提供している店に対しては、法律では禁止されていないが、厚生労働省の資料によると、鳥肉は高い割合でカンピロバクターに汚染されているため、提供を自粛するよう指導しているところである。また、市民に対しては、市政だよりや出前講座などの機会を捉えて、鳥肉は生ではなく十分加熱してから食べてもらうよう安全な食べ方の周知に努めているところである。 ◯笠委員 鳥肉は福岡の郷土料理として有名であり、市内で鳥の刺身を提供している店も多いと思う。消費者に対して安全な鳥肉を提供すべきと思うが、どのように考えているのか。 △保健福祉局長 総務省統計局の家計調査結果によると、本市における1世帯当たりの鳥肉に対する年間支出額は、都道府県庁所在地及び政令指定都市の中で最高であり、鳥肉はとても身近な食材であると認識している。一方、鳥肉の生食については、カンピロバクターなどによる食中毒の危険性があるため、国は喫食を控えるよう勧めているところであり、本市としても、国から有効な汚染防止策が示されるまでの間は、引き続き生の鳥肉の提供を自粛するよう指導していく必要があると考えている。 ◯笠委員 飲食店が鳥の刺身を出すことは違法ではないとのことだが、食中毒の危険性があることがわかっていながら、なぜ国は法律で規制しないのか。 △保健福祉局長 法による規制については、厚生労働省が平成25年12月に設置した食肉等の生食に関する調査会において、鳥の刺身による食中毒は生命にかかわる危険性が高くはなく、さらに鳥の解体や流通の過程において危険性を低減できると判断され、今後、当該調査会において具体的な対応策を検討するとされていることから、現段階では法による規制はされていないものと認識している。 ◯笠委員 本市は飲食店に対して、鳥の刺身の提供を自粛するよう指導しており、市民に対しても生では食べないよう啓発に努めているが、テレビ等のマスコミでは、そのような店を大々的に取り上げている。このように相反する情報を目にすると、市民は混乱してしまうおそれがあり、まじめに保健所の指導を守っている営業者にとっても非常に迷惑な話である。マスコミに対して正しい情報を提供するよう指導することが必要と思うが、所見を伺う。 △保健福祉局長 マスコミが発する情報が市民に与える影響は非常に大きく、市民の行動を左右することを考えると、正確な情報を提供してもらうことが重要であると認識している。食中毒の発生を防ぎ、市民の健康を守るため、マスコミに対して、鳥肉の生食の危険性について正確に理解し、正しい情報を提供してもらうよう機会を捉えて情報提供等を行っていく。 ◯笠委員 鳥の刺身による食中毒は、死に至るような危険性が高くないということである。市長はいつも福岡は食がおいしいまちだとPRしており、福岡の食文化を豊かなものにするためにも、鳥の刺身の提供について研究してはどうか。 △荒瀬副市長 福岡は食がおいしいまちであり、おもてなしの意味からも食中毒の予防は徹底したいと考えている。現在、市に情報が寄せられている食中毒については、ほとんどがレバ刺しを食べた人のカンピロバクターによるものであり、食中毒が発生した店については、結果的には営業停止処分が下されることになるため、店も鳥の刺身の提供について非常に慎重になっているのが現状である。本市としても、現在、鳥の流通過程等を調査しており、予防対策にしっかりと取り組んでいきたいと考えている。 ◯笠委員 レバ刺し以外のズリ刺しは提供可能にするなど、研究を要望しておく。次に、助成・給付事業と所得について尋ねる。本市にはさまざまな補助金や給付制度、あるいは減免制度があるが、その多くは所得制限などが付与されている。私はかねてから税の公平な分配の観点や、そもそも所得の高低で差別する必要があるのか疑問を持っており、所得制限などをかけることによって、所得税額によっては逆に不公平が生じることもあるのではないかと思っている。26年度の保健福祉局、こども未来局、教育委員会所管の個人対象業務の中で、手当、給付及びサービスを提供する事業で所得制限がある事業は幾つあるのか。また、その制度は国の制度なのか、市独自の事業か。 △保健福祉局長 保健福祉局所管の事業は50事業あり、このうち国が所得制限を規定している事業は29事業、市が独自に所得制限を設けている事業は21事業である。 △こども未来局長 こども未来局所管の事業は27事業あり、このうち国が所得制限を規定している事業は14事業、市が独自に所得制限を設けている事業は13事業である。 △教育長 教育委員会所管の事業は5事業あり、全て市が独自に所得制限を設けている。 ◯笠委員 こども未来局の留守家庭子ども会事業及び病児・病後児デイケア事業について、それぞれ事業の概要及び所得と減免の考え方を尋ねる。 △こども未来局長 留守家庭子ども会事業については、保護者が就労等のために放課後帰宅しても不在である家庭の児童を対象に遊びと生活の場を提供しているもので、平日の放課後から午後5時まで利用する場合、基本利用料として月額3,000円を徴収するなどの利用料制度がある。減免については、経済的理由により利用料の支払いが困難な方などを対象とするもので、生活保護受給世帯、就学援助受給世帯に対する基本利用料の全額免除などを行っている。また、病児・病後児デイケア事業については、保育所などに通っている児童が病気やその回復期にあって、保護者が勤務などの理由で看護ができない場合に一時保育を行っているものであり、利用者負担金は1日当たり2,000円となっている。減免については、国から示された基準を参考に設定しており、生活保護受給世帯及び市県民税非課税世帯は全額免除、所得税非課税世帯は半額免除を行っている。 ◯笠委員 留守家庭子ども会事業及び病児・病後児デイケア事業の26年度決算における対象者数及び減免額を尋ねる。 △こども未来局長 留守家庭子ども会事業については、平成26年4月20日時点の入会児童1万2,519人中、4,365人が経済的理由による減免対象となっており、基本利用料部分について、約1億4,000万円を減免している。また、病児・病後児デイケア事業については、26年度延べ利用者2万2,431人中、減免対象者は3,050人で、減免額は約600万円となっている。 ◯笠委員 租税が果たしている一般的な役割、機能を尋ねる。 △財政局長 租税が果たしている主な機能については、一般的に3点挙げられている。1つ目は公共サービスのための資金の調達機能であり、政府は公共サービスの提供により民間部門の働きを補完し、国民全体の福祉向上を図っており、租税はそのための資金調達手段の1つとされている。2つ目は所得再分配機能であり、租税は所得税や相続税の累進構造等を通じ、歳出における社会保障給付とあいまって、所得や資産の再分配を図る役割を果たしているとされている。3つ目は景気調整機能であり、租税には市場経済における急激な景気変動を抑制し、経済の安定化に寄与する機能があるとされている。 ◯笠委員 租税には累進構造等を通じて、所得再分配を図るといった考え方が明確に存在している一方で、給付行政は低所得者のための制度であるにもかかわらず、所得制限が二者択一となっていれば、その境目の人にとってはサービスを受けられるのか、受けられないのかという大きな問題が生じることになる。私の知っている範囲でも、所得制限内におさまるようあえて働かないというようなことが起きており、これでは勤労意欲をそぐことになり、何のための政策かわからない。給付制度は全ての人に等しく給付すべきと考えており、安易に所得制限を設けるべきではないと考える。仮に所得制限を設けるとしても累進制とすべきである。現在の所得制限は、年収がかなり低いところに設定されているため、さまざまなサービスが受けられるように意識が働くことは当然であり、制限額の境界にいる人の不公平感が生じることも問題である。負担と給付のバランスのとれた助成・給付事業を展開していくためにも、各局がそれぞれに所得制限を設定するのではなく、市トータルでそれぞれの階層にいる人たちの分析を行うなど、市として統一的な考えのもと、事業展開を行っていくことを強く要望する。次に、市街化調整区域の集落の維持、活性化について質問する。本市の人口は平成27年9月1日の推計人口で153万人を超え、その人口規模は政令市で6番目となっている。今後も20年間程度は人口がふえ続ける珍しい都市であり、今や本市は、九州・日本全体の発展を牽引していく役割を担っていると考えている。これまで、九州大学の移転事業、伊都の土地区画整理事業などの公的な都市開発や、市民が汗をかいて実施した土地区画整理事業など、都市全体のバランスや将来像を見据えながらさまざまな計画を立て、着実に事業を進めてきたことが本市の発展に寄与していると思うが、都市計画法で定めている都市計画区域について、その目的や意義を尋ねる。 △住宅都市局長 都市計画区域とは、健康で文化的な都市生活と機能的な都市活動を確保するという都市計画の基本理念を達成するため、人口や土地利用、交通量などの現況及び推移を勘案し、一体の都市として整備、開発及び保存する必要のある区域を指定するものである。 ◯笠委員 一体の都市として考えるべき都市計画区域内では、整備、開発を図る区域と保全を図る区域の大きく2つに分ける必要があるとのことだが、区域を分ける考え方を尋ねる。 △住宅都市局長 都市計画区域内においては、都市の無秩序な拡大を防止し、健全で秩序ある発展を図るため、都市の発展の動向などを勘案し、既に市街地を形成している区域及び10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域として市街化区域を指定し、それ以外の区域は当分の間、市街化を抑制する区域として市街化調整区域を指定している。 ◯笠委員 市街化区域と市街化調整区域について、それぞれの現在の区域面積と比率を尋ねる。 △住宅都市局長 市街化区域と市街化調整区域を分ける区域区分については、昭和45年に定めて以降、これまで6回の見直しを行っており、平成27年3月末時点で市街化区域の面積は約1万6,300ヘクタール、市街化調整区域の面積は約1万7,700ヘクタールであり、都市計画区域内の約48%は市街化区域、約52%は市街化調整区域となっている。 ◯笠委員 市街化調整区域においては、農地などの農林漁業に必要な土地の確保や、自然環境の保全という区域指定の意義に照らし、具体的にはどのような建築制限がかかるのか。 △住宅都市局長 市街化調整区域は、基本的に市街化を抑制すべき区域であり、また、良好な自然環境や優良な農地などを保全する必要があることから、建築行為については原則として許可制となっている。許容する建築物については、農林漁業従事者や既存集落居住者の住宅及び分家住宅、公益上必要な建築物、居住者の日常生活に必要な施設などとなっている。 ◯笠委員 市街化区域においては、道路などの公共基盤が優先的かつ計画的に整備され、民間開発などが積極的に行われることで人口はかなりふえているが、市街化調整区域においては、かなり人口が減少しているように思う。現在の市街化区域内と市街化調整区域内におけるそれぞれの人口を尋ねる。また、市街化調整区域内の人口は何年をピークに現在までどのように推移しているのか。 △住宅都市局長 市街化区域と市街化調整区域に区分した人口については、5年に1度の国勢調査でのみ把握されるため、最新の調査結果は平成22年となるが、市街化区域内の人口は約142万4,000人、市街化調整区域内の人口は約3万9,000人となっている。また、市街化調整区域内の人口の推移については、平成7年の4万4,000人をピークに、平成22年までの15年間で約5,000人、割合で約12%の減少となっている。 ◯笠委員 市街化区域内の人口は同じ15年間で、どのように推移しているのか。 △住宅都市局長 市街化区域内の人口の推移については、先ほどと同期間の国勢調査の結果では、平成7年時点の人口は約124万人となっており、平成22年までの15年間で約18万4,000人、割合で約15%の増加となっている。 ◯笠委員 私は市街化調整区域に住んでおり、地元では出方と称して、お年寄りから子どもまで地域総出で水路や道路、ため池などの草刈りや空き缶拾いをしている。これは地元住民が全て無料で行っており、市街化調整区域に一定の住民がいることで、初めて維持できるということを知ってもらいたい。市街化調整区域の集落がなくなれば、維持管理は市の税金で行わなければならず、莫大なお金が必要となる。市街化調整区域における人口減少の原因はいろいろで、これといった解決方法があるとは思っていないが、1つ1つ早急に手を打たなければならない。今考えられるさまざまな施策を一体的かつ効果的に講じていく必要があると思うが、まずは集落における人口や生活環境の維持を最優先に考えるべきである。本年9月議会で、市街化調整区域の指定既存集落内の定住化に取り組むための条例が制定されたことは高く評価しているが、既存指定集落内には土砂災害防止法により住むには危険と判断されている宅地もあり、そもそも住宅などを建てられる宅地が限られている集落もある。今回条例化したばかりであるが、下水処理能力などインフラに余力のある集落であれば、地域が望むエリアまで区域を拡大することは考えられないのか。 △住宅都市局長 平成27年9月議会において、福岡市開発行為の許可等に関する条例の一部を改正し、追加した制度では、適用区域を指定既存集落内とすることにより、開発が無秩序に周辺に拡大しない仕組みとしている。制度改正においては、これまでの既存制度の課題を踏まえるとともに、地域の意見を聞くなど、より活用しやすい制度となるよう検討してきたところである。本制度でカバーできない集落の定住化促進策についても、条例改正後の運用状況や課題を見ながら、必要に応じ、他の制度の活用も含めて検討していく。 ◯笠委員 地域は非常にこの条例に期待しているが、1度条例をつくって終わりということではなく、今後も地域の意見を聞き、状況に応じて、改正や新たな制度の創設を強く要望しておく。市街化調整区域において、農林漁場従事者が多く暮らしている集落では、後継ぎ不足や少子・高齢化の進展が進み、集落を維持できなくなる危険性も生じている。また、地域の活性化を目指して地域住民が道路や公園などの整備を行政に求めても、市街化調整区域内であることが整備を難しくする要因の1つになってしまうなど、市街化調整区域に暮らす人々を取り巻く環境は極めて厳しい状況にある。もっと地域の住民が明るい希望を見出せるような、活性化に向けた施策をさまざまな角度から一体的かつ効果的に講じていく必要があると考えるが、市街化調整区域の活性化について現在の取り組み状況を尋ねる。 △総務企画局長 市街化調整区域においては、人口減少や高齢化の進展による地域活力の低下により、農林水産業の振興やコミュニティの維持など、さまざまな課題を抱えていると認識しており、総務企画局や住宅都市局、農林水産局を初め、地域に最も近い区役所など、関係局、区が連携し、定住化に向けた取り組みや農林水産業の振興に努めるとともに、それぞれの地域特性に応じた地域の主体的な取り組みを支援しているところである。 ◯笠委員 市街化調整区域においては、今後とも継続的かつスピード感のある取り組みが必要であるが、この取り組みに対する決意を問う。 △貞刈副市長 市街化調整区域については、コンパクトな都市構造や身近に豊かな自然があるという本市独自の都市の魅力を形成する上で大変重要な役割を担っている地域であるが、人口減少や高齢化の進展による活力低下により、農林水産業の振興やコミュニティの維持など、さまざまな課題を抱えていると認識している。このような中、現在策定中の福岡市まち・ひと・しごと創生総合戦略において、主な事業として、自然と調和した市街化調整区域のまちづくりを掲げるなど、地方創生の観点から施策を推進していくこととしており、引き続き、総務企画局や住宅都市局、農林水産局を初め、地域に最も近い区役所など関係部局が連携し、規制緩和による民間活力の導入など、地域特性を生かした地域主体の取り組みを支援していく。今後とも、豊かな自然環境と新鮮な農水産物、都市部との近接性を生かした産業の振興と定住化の促進など、地域と一体となって市街化調整区域の活性化にしっかりと取り組んでいく。 ◯笠委員 市街化調整区域における営農環境の確保について尋ねる。本市の市街化調整区域と市街化区域との境界部分については、市街化区域側にはビルが建ち、市街化調整区域側には田や畑が存在しており、その両者は日照において重大な利害関係が生じていると思われる。その問題の解決を図るためには、市街化調整区域内の営農環境の確保の観点から規制が必要と考える。市街化区域の南側に市街化調整区域が存在する場合、問題は生じないが、市街化区域の北側に市街化調整区域が存在する場合、市街化区域のビルから落ちる影が農産物の生育に影響を与えることになると考えられるが、本市においてそのような事例はないか。 △農林水産局長 ビルの影が米の生育に影響を与えているのではないかといった問い合わせが、市内の農業者から米の栽培技術指導を行う福岡県普及指導センターに数件あっている。 ◯笠委員 ビルの影が農産物に与える影響について、公的機関が調査した事例があるか。 △農林水産局長 公的機関が調査した事例として、ビル影ではないが、福岡県が昭和54年と55年に高速道路橋の日影による日照時間減少被害に関する調査を行っており、構築物からの距離によっては、生育に影響を及ぼすことがあるとの結果が出されている。 ◯笠委員 影の影響だけでなく光の影響も受けると思うが、道路照明灯の光害についてどのような影響があるのか。 △道路下水道局長 道路照明灯による農作物への影響については、日照時間が一定時間より短くなると花を咲かせる短日植物である稲などにおいて、夜間照明によって稲穂が出る時期がおくれるとともに、収穫量が減少すると言われており、農業従事者からも照明灯設置に当たり意見が出されている。このため、田畑に近い場所に道路照明灯を設置する場合には、関係者と協議の上、設置場所を考慮することや照明器具に遮光板を設置するなどの対策を行っている。 ◯笠委員 私が住んでいる西部地区は、野菜や花卉などの栽培が盛んな地区で、いちごや電照菊の栽培では、照明を与えることによって生育を促したり出荷時期を調整しており、農作物の生育に光は重大な影響を与えていることがわかる。市街化区域との隣接地の場合、ビルの影が農作物に与える影響を鑑みると、特に高いビルが建てられるような市街化区域の北側に接する市街化調整区域の水田や畑などの営農地については、農作物をつくり続けるために十分な日照の確保が必要となるが、現在、営農地の日照を確保するための建物の規制はあるか。また、ないのであれば、どのような手法が考えられるのか。 △住宅都市局長 建築規制については、現状では営農地の日照の確保を目的とする規制はないが、土地に対する日照確保の観点からの建築規制の手法としては、一般の住宅地のように日影を時間と領域で制限する形が考えられる。 ◯笠委員 現在の住宅地における日影規制の考え方を尋ねる。 △住宅都市局長 日影規制については、主に住居系用途地域において、中高層の建築物によって生じる日影を時間と領域の形で一定の基準に規制することにより、その建築物の周辺における一定の日照を確保し、良好な居住環境を保つことを直接の目的とし、あわせて通風、採光などの確保を図るものである。例えば、日影規制のない商業地域において、建築物を建設する際にも、日影が生じる北側の土地に日影規制があるときは、この規制が適用される仕組みとなっている。 ◯笠委員 営農地の多くは市街化調整区域にあるが、その規制の考え方が市街化調整区域に対して適用できるのか。 △住宅都市局長 建築基準法の日影規制については、昭和51年制定時より市街化区域の中の住居系用途地域等が規制できる区域であったが、平成4年の法改正により、良好な居住環境の確保が必要な区域については、市街化調整区域も規制をかけることができるようになっている。日影規制を適用するためには区域等を条例に定める必要があるが、福岡市建築基準法施行条例において、市街化調整区域を適用区域に定めていないことから、現段階では日影規制を適用することができない状況である。 ◯笠委員 営農者にとっては営農地が生活の場であり、市街化調整区域にも日照確保のために規制が必要と考えるが、認識を問う。 △住宅都市局長 市街化調整区域においても、特に既存の集落や営農地などについては、日照の確保は重要と認識している。市街化調整区域に定めることができる日影規制については、建築基準法において、低層住居専用地域または中高層住居専用地域と同等の厳しい規制内容とするよう定められていることから、関係局と協議を行い、規制の必要性、効果、影響などについて検討していく。 ◯笠委員 市街化調整区域はいろいろな規制がかけられているが、日照の確保など必要な規制はかけられていない。現在、米1俵の値段は1万3,000円台まで下落しており、今後TPPによってさらに下がるおそれがある。今はおいしい米でなければ売れないため、収穫量が減っており、なおかつ値段が上がらなければ農家は生計を維持することが困難になる。また、市街化調整区域においては農地を宅地化することも簡単にはできないため、市街化区域と接する地区は非常に困っている。市街化調整区域に接する市街化区域においては、日照の問題が生じないよう建物の階数やセットバックなどの規制を行うよう要望する。 |