三角 議員の質疑と答弁 | ||
◯40番(三角公仁隆)登壇 このたびの熊本地震により甚大な被害を受けられました皆様に対して、心からお見舞いを申し上げます。また、被災されました皆様の一日も早い復旧、復興をお祈りいたします。 さて、私はみらい福岡市議団を代表いたしまして、確かな学力の向上について、合理的配慮について、防災について、以上3点についてお尋ねしてまいります。 まず初めに、確かな学力向上についてお尋ねいたします。 私は常日ごろから、多くの子どもたちにわかる、楽しいという体験をたくさんしてもらいたいし、小学校4年生までの基礎学力は全員に身につけていただきたいものだと思っております。全国学力実態調査における本市の目標は、全校が全国平均を上回ることだと記憶しております。しかし、平成27年度の結果は、全国平均を上回らなかった学校が小学校において81校、57.4%となり、まだまだ課題があるということがわかりました。学力向上については、私は常日ごろから他都市の事例を挙げ、提案や要望をしてまいりました。 そこで、学力パワーアップ推進事業における平成28年度の新規取り組みについてお尋ねします。 算数、数学に特化した共通教材が小中学校に配備されるようですが、その内容についてどのようなものなのか、お尋ねします。 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。 ◯教育長(星子明夫) 小中学校に配備する共通教材の内容は、専門業者が作成した小学校で約1万5,000ページ、中学校で約1万9,000ページの算数、数学の学習プリント集で、各学校では教員に配備されたパソコンからインターネット回線を通じて共通の教材として自由に取り出すことができます。この学習プリントは教科書の内容に沿っており、標準的な問題とともに、基本を重視した問題や応用問題など、児童生徒一人一人の学力課題に応じてきめ細やかに対応ができるものとなっております。以上です。 ◯40番(三角公仁隆) なるほど、これまで私もずっと提案してきましたので、共通教材が実現できて、大変うれしく思います。 さて、それでは具体的にはどのような活用をしていくのか、お尋ねいたします。 ◯教育長(星子明夫) 共通教材の具体的な活用につきましては、日々の授業での活用はもちろんのこと、そのほかにも本年度から実施する学力向上のための教育課程の見直しによる補充的な学習や発展的な学習、放課後補充学習、さらには家庭学習の教材として、児童生徒の習熟度に応じた幅広い活用が期待できると考えております。以上です。 ◯40番(三角公仁隆) それでは次に、ふれあい学び舎事業と地域学び場応援事業について、それぞれの特徴を踏まえて目的とその内容についてお尋ねいたします。 ◯教育長(星子明夫) まず、学校を中心とした取り組みであるふれあい学び舎事業につきましては、小学校35校を取組重点校として選定し、教職経験がある地域の方などに学習支援員として児童の学習をサポートいただきながら、放課後補充学習を行うものでございます。また、地域の自主的、主体的な取り組みである地域学び場応援事業につきましては、保護者を中心とした地域ボランティアグループが小中学生を対象に実施する放課後補充学習などの活動に対して支援を行うものでございます。主体は異なりますが、どちらの事業も地域の支援による放課後補充学習を通して児童生徒の学力向上に取り組むものでございます。以上です。 ◯40番(三角公仁隆) 学校や地域において学ぶ場所や機会があることは、大変よいことだと思います。 ふれあい学び舎事業についてですが、35校の選定方法についてお尋ねします。また、対象となる児童は何人ぐらいになるのでしょうか、その選定方法についても、お尋ねします。また、夏休みなどの期間も入るのか、あわせてお尋ねいたします。 ◯教育長(星子明夫) ふれあい学び舎事業の実施校35校につきましては、全小学校から希望を募り、学力と学習習慣、生活習慣に課題がある学校から優先的に選定をしております。対象児童の人数につきましては、約30名程度を想定しております。しかしながら、各学校では2時間の学習枠を1週間に2日設定できることから、曜日や時間で児童を分けるなどの工夫をすれば、より多くの児童を参加させることも可能でございます。 参加する児童の選定につきましては、児童本人の希望を募ることが基本となりますが、本事業の目的を踏まえ、学力に課題のある児童に対しては、保護者と相談をして積極的な参加を促してまいります。実施時期につきましては、授業でのつまずきなどを速やかに補えるよう放課後に行うことを原則としておりますが、学校の実態に応じて夏季休業中なども実施できることとしております。以上です。 ◯40番(三角公仁隆) ふれあい学び舎事業では2名の学習支援員がつくようですが、どのような資格を持った方なのか、また、募集の方法等についても、お尋ねいたします。 ◯教育長(星子明夫) 学習支援員の資格につきましては、教職経験や塾、家庭教師などの学習指導の経験がある地域の方を対象としております。選定につきましては、各学校が地域と連携をとり、情報を収集しながら、面談や趣旨説明を行った上で決めるようにしております。以上です。 ◯40番(三角公仁隆) ぜひ課題の多い学校でつまずきのある児童にも積極的に声をかけていただくよう要望しておきます。また、この事業で先ほどの算数、数学に特化した教材を活用することを提案しておきます。せっかくつくった教材も使わないと意味がありませんので、子どもたちの学習到達状況がわかるようなカードもあると、ふれあい学び舎事業や地域学び場応援事業において共通に活用できるものと考えます。 この事業が子供の貧困対策に関する大綱において、学校教育による学力保障として家庭環境や住んでいる地域に左右されず、子どもの学力が保障される取り組みとしても事業の検証をし、さらに次年度に発展的な取り組みができるよう要望しておきます。 次に、これからのグローバル社会を生き抜くために求められる一般的な能力、思考力、問題解決能力、コミュニケーション能力、コラボレーション能力、情報リテラシーなど次世代を担う人材が身につけるべきスキルを規定し、学校へのICTが導入され、学習指導要領に生きる力として盛り込まれています。生きる力は、自分で課題を見つけ、考え、主体的に判断、行動し、問題を解決する能力、他人と協調する力などとされており、これからの社会で主体的、積極的に生き抜くための新しい学力としてバランスよく育てていくことを重視しています。今までの授業プラス新しい学びを広げていくため、ICTの活用が想定されます。 そこで、本市におけるICT教育推進事業について、その内容とモデル校は何校でしょうか、お尋ねいたします。 ◯教育長(星子明夫) ICT教育推進事業につきましては、ICTを活用した授業を初めとする教育活動を通して、児童生徒の情報活用能力を育成し、学力を向上させるための事業でございます。ICTを活用した先進的な授業づくりに取り組むICT推進モデル校につきましては、平成28年度は、タブレット端末を配備した学校の中から小学校2校、中学校2校を指定しております。以上です。 ◯40番(三角公仁隆) 私は、タブレット端末を使ったICT学習について、国立市、横浜市を訪問してまいりました。 まず、国立市では、小学校のパソコン教室のパソコンが更新時期を迎えたところから、携帯性にすぐれ、どこでも使えるタブレットを導入したそうです。これまでパソコン教室という限られた場所で、限られた内容で授業をしていたのが、国語、算数、理科、社会、体育など、どの教科でも有効的に使うことができているそうです。例えば、体育では自分の体の動きをタブレットで撮り、その場で自分の目で確かめ、振り返りができています。子ども同士のコミュニケーションも深まり、グループ学習の効果も上がっているそうです。 横浜市では、平成27年度予算で150校の小学校に、平成28年度予算で191校に導入し、全小学校に導入が終わる予定です。子どもたち4人に1台の計算だそうです。複数の教科、領域等で、複数の学年で一斉学習や協力し合ってする協働学習、個別学習の3つの学習形態で活用したところ、特に協働学習での活用頻度が高かったそうです。この取り組みは、情報活用能力、コミュニケーション能力、プレゼンテーション能力を養うことを目標としているそうです。中でも特別支援において、タブレット活用は特に有効だと感じているというお話もありました。 他都市の取り組みと比べ、本市は随分とおくれている気がします。国は、小中学生1人に1台を整備する目標を掲げています。ICT教育を推進するために、タブレット端末などの導入による次世代教育環境の整備とともに、ICTを活用した授業づくりについての検討をお願いしたいと思いますが、御所見をお伺いし、確かな学力向上についての質問を終わります。 ◯教育長(星子明夫) 福岡市では、タブレット端末やインターネットなどのICTを効果的に活用した授業づくりを進めております。文部科学省では、グローバル化の進展や高度情報化社会を支えるIT人材育成の必要性から、児童生徒1人に1台のコンピューターの整備を初め、デジタル教科書の併用や小学校におけるプログラミング教育の必修化などが検討されております。このような国の動向も踏まえ、福岡市のICT教育の方向性や環境整備、ICTを活用した授業のあり方など戦略的に検討を進めてまいります。以上です。 ◯40番(三角公仁隆) 次に、合理的配慮についてお尋ねします。 平成28年4月1日から障害者差別解消法がスタートしました。この法律は、障がいを理由とする差別の解消に関する基本的な事項や国の行政機関、地方公共団体、民間事業者などにおける障がいを理由とする差別を解消するための措置などについて定めることによって、全ての国民が障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現につながることを目的としています。 共生社会の実現のために、障がい者にとって不便さの原因となっている社会の中のバリア、段差などの物理的なバリアだけでなく、制度や慣行なども含めたバリア、これを社会的障壁というそうですが、これを取り除くことを求めており、その一環として、特に自治体や公共機関、学校については合理的配慮の提供を義務づけています。 また、5月25日の参院本会議で自閉症やアスペルガー症候群の人を支える発達障害者支援法が10年ぶりに改正されました。一人一人の特性に応じ、学校で個別計画を作成したり、事業主に雇用の確保を求めたりするなど、教育、就労支援の充実が柱となっています。 そこで、これらの法律施行を踏まえ、合理的配慮の提供など障がいのある方が暮らしやすい社会とするための取り組みについて、市役所の市民サービス機関と学校教育の二つに絞って質問をいたします。 福岡市では、みんながやさしい、みんなにやさしいユニバーサル都市・福岡をまちづくりの目標像として掲げ、市政の柱の一つとして推進しています。このみんながやさしい、みんなにやさしいという目標像と障害者差別解消法にいう合理的配慮とは、その理念において一致するところが多いものと考えています。 内閣府の障害者差別解消法のリーフレットには、合理的配慮の具体例として、車椅子の方の移動を手助けするとか、聴覚障がい者には筆談で対応するなど挙げられております。ちょっとした配慮があれば助かる障がい者がいるのであれば、行政機関にはその配慮を提供する義務があるということだと思います。 それでは、福岡市の職員がその義務を果たすために具体的には今どのような取り組みがされているのでしょうか、お尋ねいたします。 ◯保健福祉局長(野見山 勤) 福岡市の職員におきましては、合理的配慮を適切に提供するための服務規程として職員対応要領を制定するとともに、障害者差別解消法の制定の経緯や趣旨、合理的配慮の考え方や障がい特性に応じた対応の具体例などを記載いたしました福岡市障がいのある方への配慮マニュアルを作成し、各局区で活用するとともに、関係職員への研修を実施しているところでございます。以上です。 ◯40番(三角公仁隆) 合理的配慮が適切に行われるよう、今後とも、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。 しかし、社会的障壁の除去ということを目的とする場合、合理的配慮だけで本当に十分なのでしょうか。そもそも段差がなければ車椅子を持ち上げる必要はないわけですし、掲示板などに必要な情報が記されていれば、筆談で対応する必要もないのです。合理的配慮といったその場その場での対応だけでなく、環境の整備自体が大変重要であると私は考えますが、まず、障害者差別解消法では環境の整備についてどのような規定になっているのか、お尋ねいたします。 ◯保健福祉局長(野見山 勤) まず、環境の整備でございますが、障害者差別解消法第5条でございますが、「行政機関等及び事業者は、社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮を的確に行うため、自ら設置する施設の構造の改善及び設備の整備、関係職員に対する研修その他の必要な環境の整備に努めなければならない」とされてございます。事前に改善できることについては実施することが望ましい旨の規定がございます。 福岡市におきましては、これまでも施設面でのバリアフリーを初め、障がいのある方に配慮したまちづくりについて計画的に取り組んできたところでございますが、引き続き合理的配慮の提供を的確に行うための環境整備に努めてまいりたいと考えてございます。以上です。 ◯40番(三角公仁隆) 環境の整備については、多額の予算を要することばかりではないと思います。案内表示を適切に行うとか、職員に対する教育なども環境の整備の一環であるはずです。例えば、耳マークです。窓口などで、こちらは筆談で対応できますよという表示なのですが、実際に私も市役所1階の情報プラザの窓口に行ってみました。確かにマークがありました。必要に応じて筆談ができることを親切に教えてもくれました。しかしながら、私がそういう思いで注意して見たからこそわかったような位置に張ってありました。見逃す可能性がありはしないかと思います。 また、発達障がいのある方などのために、個別に対応できる部屋などが用意されているところがどのくらいあるのでしょうか。合理的配慮を的確に提供するための環境整備に向けたさまざまな取り組みは、まだまだ十分とは言えず、これからが本格的になるのではないかと思います。本市においては率先して取り組む義務があるかと考えますが、いかがお考えでしょうか、お尋ねいたします。 ◯保健福祉局長(野見山 勤) 障がい者の社会参加の妨げとなっております社会的障壁の解消に向けましては、まずは障害者差別解消法で義務づけられております合理的配慮の提供について徹底していくということが基本であろうかと思います。 さらには、御指摘のようにそれぞれの施設の構造あるいは利用実態を踏まえまして、適切な環境の整備が推進できるよう取り組んでいくことも重要であるというふうに考えてございます。以上です。 ◯40番(三角公仁隆) それでは次に、文部科学省の調査では、全国の通常の学級に通う小中学生の約6.5%が発達障がいの可能性があるとされ、早期の発見や支援が重要と指摘されているところです。私もインクルーシブ教育システムの構築に当たり、特別支援教育の充実の必要性について議会でも要望してまいりました。文科省では、各学校に障がいのある児童生徒の実態に応じて特別支援教育を担当する教員が柔軟に配置されるとともに、原則として通常の学級に在籍し、比較的多くの時間を通常の学級の指導の中で受けつつ、障がいの状態に応じ、相当程度の時間を特別支援教室で特別の指導を受ける形態など効果的な支援を受けることができるような弾力的なシステムの構築を目指しています。 そこで、合理的配慮に関する取り組みについて具体的にお尋ねします。 教育委員会では、福岡市立学校等における合理的配慮推進ガイドラインを作成されていますが、その周知の状況についてお尋ねいたします。 ◯教育長(星子明夫) ガイドラインにつきましては、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律、いわゆる障害者差別解消法が平成28年4月から施行されることを踏まえ、障がいのある児童生徒への合理的配慮の考え方を示すために教育委員会事務局が平成28年1月に作成したものでございます。 周知状況につきましては、まず、平成28年1月に保護者の相談窓口となる各学校の特別支援教育コーディネーターに対し、ガイドラインに関する研修を行い、2月には全校長及び園長に説明会を実施いたしました。また、特別支援学級などに在籍する児童生徒の保護者を対象とした説明会を5回実施し、200名を超える方々に御参加いただきました。以上です。 ◯40番(三角公仁隆) 合理的配慮推進ガイドラインの中には、校長と担任用の合理的配慮チェックリストがありますが、作成目的をお尋ねします。また、合理的配慮を推進していく上で当面の課題をどのように考えていらっしゃるのか、お尋ねいたします。 ◯教育長(星子明夫) まず、作成の目的につきましては、実際の教育活動場面において、教職員一人一人がそれぞれの立場で必要な合理的配慮を提供できるよう作成したものでございます。 次に、当面の課題につきましては、障害者差別解消法が平成28年4月に施行されたところであり、今後、ガイドラインを効果的に活用できるよう、さらなる周知に努め、合理的配慮について理解、啓発を図っていくことであると認識しております。以上です。 ◯40番(三角公仁隆) 特別支援教育では、子ども一人一人の障がいや特性に応じた支援が必要で、最近では主にタブレット端末を活用し、効果を上げていると聞きます。そこで、本市においてもタブレットを教材教具として活用しているかどうか、お尋ねいたします。 ◯教育長(星子明夫) タブレット端末につきましては、例えば肢体不自由特別支援学校では、本のページをめくることが困難な児童生徒が画面のタッチやスクロールをすることで自分一人の力でページをめくることができるようになり、学習意欲が向上するなどの効果が認められています。また、知的障がい特別支援学校では、漢字を覚えることが困難な児童生徒が楽しみながらなぞり書きを繰り返し行い、正しい漢字を習得できるようになるなど、苦手なことを補い、理解を促す効果的な学習を進めることができています。このように、特別支援教育におきましては、タブレット端末を活用し、障がいに伴う困難を改善、軽減するための教育活動を積極的に展開しております。以上です。 ◯40番(三角公仁隆) 私は、東京大学先端科学技術研究センターとソフトバンクグループで、携帯端末を利用し、障がいのある子どもたちの学習、生活支援のための共同研究を行っている株式会社エデュアスを訪問し、お話をお伺いしました。 タブレット端末には、見ることや読むことの困難な人々をサポートする機能があります。全盲の人も操作できるスクリーンリーダーや音声読み上げ、画面を引き延ばして拡大する機能、画面のコントラストを変更する機能があり、身体に障がいのある人をサポートする機能として、指一本でも操作ができます。特に時間がかかる子どもには、カメラ機能でノートをとり、画面を拡大できる教科書もあります。さらに、タブレットは紙と違い、プロセスを残すことができるそうです。 横浜市では、特別支援教育の授業におけるタブレット端末の活用は既に予算化されていました。どこでも使える、目で確認できる、大きくすることができる、何度も見ることができる、実験などの手順や観察のほか、コミュニケーションにも効果があり、特別支援教育には必要だと痛切に感じました。ぜひ、タブレット端末の一層の活用について取り組みをお願いしたいと思います。 学校教育において合理的配慮を考えることで、校内支援委員会の充実や特別支援教育コーディネーターの役割はますます重要になると考えます。そこで、これまでもお願いしてきましたように、特別支援教育コーディネーターの専任化、複数配置もしくは授業の軽減など職務の形態についても、再度検討し、校内支援委員会の充実を図ることを要望しておきます。 ユニバーサル都市・福岡を掲げている本市におきましては、共生社会の実現をより確かなものにしていくためにも、障がいのある人たちや家族が福岡市に住んでよかった、福岡市で育ててよかったと思えるよう、学校や行政機関はもちろんのこと、民間も含めた福岡市全体において合理的配慮の提供を初めとした社会的障壁の除去が一層進むよう市を挙げた取り組みが必要だと考えますが、高島市長の御所見をお伺いし、合理的配慮についての質問を終わります。 ◯市長(高島宗一郎) 福岡市では、みんながやさしい、みんなにやさしいユニバーサル都市・福岡をまちづくりの目標像として掲げまして、市政の柱の一つとして推進をしてきているところでございます。このたび、障害者差別解消法が施行になりましたけれども、合理的配慮の提供を初めとした社会的障壁の解消を進めるに当たりましては、職員の対応要領の徹底など法の定める地方自治体の責務を果たすべく、市がしっかりと取り組んでいきますとともに、障がいのある方を初め、関係者の皆様の御意見をお伺いしながら差別の解消を目的とする条例の制定に取り組んでまいりたいと考えております。 さまざまな場面におきましてバリアフリーを進めていくに当たりまして、ハード面の取り組みはもちろんのこと、何かお手伝いできることはありますかと、こういう自然に声をかけられるような心の広がりというものが、これがバリアフリーを進める上で大切なことというふうにも考えておりますので、ユニバーサル都市・福岡のまちづくりの精神が市民全体でしっかりと共有できますように、今後とも、推進をしていきたいというふうに考えております。以上です。 ◯40番(三角公仁隆) 次に、防災についてお尋ねします。 今回の熊本地震において、九州のリーダー都市を目指す高島市長の迅速な対応は非常に高く評価されるものだと考えます。 今回の地震でNHKが障がいのある人、高齢者の置かれた状況、必要な支援などを取材し、番組の中で、避難所生活において発達障がいの人たちが音やにおいに敏感なため、集団生活がつらく、特性が理解してもらえずトラブルが多発している。また、避難所で耳が聞こえなくてもわかる文字や絵、地図による掲示をしてほしいなど、防災については緊急時に誰もが困らないような対策をハードとソフトの両面から行うことの重要性が報じられていました。 さて、東京では、各家庭に首都直下型地震等に対する備えが万全となるよう、日常的に活用できる防災ブック「東京防災」を作成し、各家庭に配布しています。これがその現物ですが、(資料表示)小さくて見えにくいと思いますが、324ページにわたる内容で、例えば、この中には絵にも描いているんですが、新聞紙の活用の仕方や体温調節の仕方、簡易トイレやおむつのつくり方、少ない水で清潔に保つ方法など多岐にわたる内容で、熊本地震において非常に高く評価されました。福岡市内では、東急ハンズで売っているそうです。 それに伴い、東京都教育委員会は防災ブック「東京防災」を有効に活用し、学校と家庭が一体となった防災教育を一層充実できるよう、新たな防災教育教材である防災ノート東京防災を作成し、昨年度、都内の全ての公立学校、私立学校の全児童生徒に配付しました。学校だけでなく、家庭学習として取り組み、学年ごとに継続的に学んでいます。 そこで、本市における防災についてお尋ねします。 本市においても防災の手引きを作成していますが、その目的とどのような内容なのか、お尋ねします。また、どのように配布しているのか、お尋ねします。 ◯市民局長(井上るみ) 防災の手引きにつきましては、広く市民の皆様に防災知識を普及することを目的として、地震、風水害及び原子力災害に対する備えや地域における防災対策などをわかりやすくまとめたものでございます。 配布につきましては、各区役所、情報プラザ、福岡市民防災センター等で行っており、防災に関する出前講座や講演会などの際にも教材として活用いたしております。また、ホームページに掲載をし、自由に印刷できるようにいたしております。以上でございます。 ◯40番(三角公仁隆) そうしますと、今答弁があったように、市内の全世帯に配布されていないのであれば、せっかく防災意識の啓発や地域防災対策を目的につくられた防災の手引きをまだ知らない福岡市民がいるということになるかと思います。東京防災には、あわせて避難マップも一緒に配布されており、大変丁寧なものとなっています。全国的にも注目を浴びています。地震など自然災害は突然起きるものですので、本市の各家庭にも1冊は常備しておき、いざというときに見ることができるリーフレットが必要ではないでしょうか。今回の地震での体験を生かし、さらによりよい内容を精査し、全世帯への配布も含めて検討していただくよう要望しておきます。 次に、子どもたちみずから自分の身を守る行動を身につける必要があることから、平成21年度から市民局、こども未来局、教育委員会が連携、協力して子どもたちのセーフティプラン事業を実施し、防災、防犯、交通安全教育を推進しており、発達段階に応じた教材として子どもたちのセーフティプランを配付しているようですが、どの時期に配付しているのでしょうか。内容については、平成21年度から改訂されていますか。また、このリーフレットはどのように活用されているのか、あわせてお尋ねします。 ◯市民局長(井上るみ) 子どもたちのセーフティプランにつきましては、発達段階に応じた教材として平成21年度に小学校及び中学校の全児童生徒に配付をし、平成22年度以降につきましては、法令の改正に伴う改訂や必要な見直しを行い、小学校1年生及び4年生、中学校1年生に配付をいたしております。以上でございます。 ◯教育長(星子明夫) リーフレットの活用につきましては、児童生徒が防犯や防災、交通安全について学習する際にこのリーフレットを活用し、みずから自分の身を守ることや命の大切さについて指導しております。また、家庭でもこのリーフレットを家族と一緒に読み、防災について考えるよう指導しております。以上です。 ◯40番(三角公仁隆) ただいまの答弁のように、市民局、こども未来局、教育委員会と連携した取り組みはすばらしいとは思いますが、どの事業も共通して言えることは、つくるまででその先がはっきりと見えていないような気がします。学校においても活用できる場を位置づけて取り組むことを要望しておきます。 次に、学校における取り組みについて、避難訓練などはどのような内容のものを年間どのくらい実施しているのか、お尋ねいたします。 ◯教育長(星子明夫) 全ての学校、園において、火災、地震、津波、風水害、不審者侵入などを想定した避難訓練を学校、園の実態に応じて年に3回程度実施いたしております。以上です。 ◯40番(三角公仁隆) 実は関東圏の学校では、子どもたちには防災頭巾なるものが全員に用意されております。昔でいう防空頭巾のようなものだと思います。これは、実は災害から身を守るグッズで、ふだんは教室の椅子にかける仕組みになっています。学校によっては、教室を移動するたびに防災頭巾を持参するという徹底ぶりだと聞いています。もはや地震については、どこの場所においても起きておかしくない状況だと考えます。東京都の学校では、避難訓練は毎月実施しています。いろいろな想定を変えて、最後には子どもたち自身で考え、行動するところまで考えられています。また、災害が起きたときに保護者が学校に迎えに来る引き取り訓練まで行っているそうです。 本市は、幸いにして西方沖地震以来、大きな災害はありませんが、もっと日ごろからの防災意識を高める取り組みが必要な気がします。家庭や地域、学校と連携した取り組みが必要に感じます。今回の熊本地震において学んだことも生かしながら、さらに災害が起きたときは、高齢者、子ども、障がいのある方、病気の方などの避難支援はもとより、長期化する避難所生活の中でも、いわゆる合理的配慮が重要だと感じました。福岡市では、組織を強化し、今後、地域防災計画の見直しを行い、防災対策の充実強化を図ることとされていますが、その中で、ぜひとも合理的配慮の考えを盛り込んだ計画となることを要望いたしまして、私の質問を終わります。 |