藤本 議員の質疑と答弁 | ||
◯藤本委員 質問に先立ち、このたび本市出身で、東京工業大学栄誉教授の大隅良典氏が、2016年のノーベル医学生理学賞を受賞された。福岡県民で初めてとなる偉業に、心よりお祝いを申し上げる。また、市長においては、大隅良典栄誉教授への名誉市民授与の意向表明に対し、敬意を表する。環境問題における温暖化対策と緑のまちづくりについて質問する。そもそも環境問題は産業革命以降、石炭利用によるエア・ポリューション、いわゆる大気汚染に端を発するものであり、かつてアメリカ五大湖周辺のデトロイトやピッツバーグにおいて、自動車産業が勃興していた時代に、大気汚染が環境問題として大きく取り上げられることになった。ピッツバーグでは、自動車産業の発展に伴う大気汚染が深刻であったことから、サービス業を中心とした産業構造へ移行し、大気汚染問題を克服したところであり、これが北九州市の再生モデルになっている。また、1930年代、ロンドンでは石炭使用によるスモッグが環境問題となり、テムズ川流域で下水汚泥から発生するメタンを化石燃料の代替となる都市ガスとして利用した。このように大気汚染に起因する環境問題は時代とともに変化し、現在では世界の全ての人類、生物に深刻な影響を及ぼす地球温暖化問題へと発展しているのではないかと考える。地球温暖化は今や地球上の全人類の生命、財産にかかわる普遍的な問題であり、世界各国が同じ方向を向いて温暖化対策に取り組んでいくことが重要である。このような中、エネルギーの大消費地である本市は、特に地球温暖化問題を真摯に受けとめ、市民、事業者とともに温暖化対策を推進することが不可欠であると考えるが、27年度の主要な取り組みと決算額を尋ねる。 △環境局長 27年度の温暖化対策の主な取り組みとしては、住宅用エネルギーシステムや電気自動車などの導入助成、出前講座や市政だよりなどの広報媒体を活用した省エネ・再生可能エネルギーの広報、啓発、事業者向け省エネ講習会の開催などを実施したところであり、決算額は2億9,597万1,000円である。 ◯藤本委員 一般的には、温暖化が進むと気温が上昇するだけではなく、自然環境や人の暮らしにも重大な問題を引き起こすと言われているが、気候変動に関する政府間パネル、いわゆるIPCCによると、人間活動が温暖化の原因であり、温暖化が着実に進行していることが報告されている。我が国においても、猛暑日や熱帯夜の増加、農水産物への影響など、温暖化対策は待ったなしの状況であると言われている。このような地球規模の問題に対処するため、昨年12月に開かれたCOP21では、2020年以降の温室効果ガス排出削減に取り組む新たな枠組みを定めたパリ協定が採択されたが、パリ協定では、具体的にどのような内容が示され採択されたのか。また、日本政府の対応について尋ねる。 △環境局長 パリ協定については、京都議定書以降の地球温暖化の状況を踏まえ、気温上昇の予測や、それを放置した場合の影響などが示され、世界共通の長期目標として、産業革命前からの気温上昇を2度未満に抑えること、主要排出国だけではなく、途上国も含む全ての国が削減目標を定め、目標達成に向けた措置を実施することなどが採択されている。また、日本政府は、現在開会中の臨時国会での批准を目指している。 ◯藤本委員 かつて1990年代の日本は、京都議定書の発効を実現させ、世界をリードするように温暖化対策に取り組んできたが、今ではアメリカ、中国、EU、その他の新興国におくれをとる形で、いまだパリ協定の批准案が国会で承認されておらず、残念に思う。一日も早く国がパリ協定を批准し、国内の温暖化対策を加速させることを願うが、本年5月に国が策定した地球温暖化対策計画には、具体的にどのような内容が示されているのか。 △環境局長 国の地球温暖化対策計画の内容については、温室効果ガス排出量を、2030年度に2013年度比で26%削減するという中期目標を掲げ、その達成に向けて、市民、事業者などそれぞれの主体が取り組むべき対策を示すとともに、国においても火力発電の高効率化や再生可能エネルギーの最大限の導入促進、さらには次世代自動車の普及促進、トップランナー制度による家電品等の省エネ性能の向上、国民運動の推進など、さまざまな施策を講じることなどを定めている。 ◯藤本委員 温暖化対策が、国を挙げて加速的に推進されているが、そもそも温暖化対策は国に任せておけばよいということではなく、国民一人一人が身近にできることから進んで取り組んでいくことが必要である。そのためにも、本市のような基礎自治体が担うべき役割は、市民や事業者に温暖化の仕組みと対策の必要性を認識してもらい、みずから進んで取り組むように促すことであるが、温暖化対策を進める上で地方自治体が求められていることは何か。 △環境局長 国の地球温暖化対策計画によると、地方自治体には省エネの推進や再生可能エネルギーの導入のほか、交通施策や廃棄物対策なども視野に入れ、地域の特性に応じた温室効果ガス排出抑制のための施策を総合的に推進すること、及び地方自治体が事業者の一つとして、上下水道などのさまざまな事業におけるエネルギー使用量削減に向けた取り組みを講じることなどが求められているところである。 ◯藤本委員 本市は今後の人口増加に伴い、温室効果ガスの排出量がさらに増加することが想定されるため、責任を持って温暖化対策を推進していかなければならない。本市における温室効果ガス排出量は、これまでどのように推移しているのか。 △環境局長 本市の温室効果ガス排出量については、家庭や事業所における省エネ行動の定着や技術革新の成果により、エネルギー使用量は減少しているものの、電力に占める火力発電の割合が増加したことにより、近年は、22年度が696万7,000トン、23年度が790万6,000トン、24年度が876万6,000トン、25年度が904万8,000トンと増加し続けており、直近のデータである26年度の排出量は872万8,000トンとなっている。 ◯藤本委員 これまでもさまざまな温暖化対策が進められているが、温暖化対策とは省エネだけを言うのではなく、人間社会のありとあらゆる事象にかかわってくると考えている。例えば地下鉄の整備は、移動が便利になり、交通渋滞が緩和されるだけではなく、マイカー利用の減少による二酸化炭素排出量の削減といった側面もあり、本市の地下鉄事業も年間約8,150トンもの二酸化炭素の排出を抑制していると聞いている。また、最近よく耳にするカーシェアリングも、車や駐車場の維持費軽減といった経済的なメリットだけではなく、走行頻度、距離の減少による二酸化炭素排出量の削減にもつながるなど、交通に関連する施策は温暖化対策の面からも深いつながりがある。交通を一例に挙げたが、温暖化対策は日常生活のあらゆる分野と密接なかかわりがあるからこそ、この不可逆的な温暖化問題に対し、目を背けずに向き合っていかなければならないが、本市における今後の温暖化対策に向けた方針について尋ねる。 △環境局長 本市の今後の温暖化対策に向けた方針については、現在策定中の新たな福岡市地球温暖化対策実行計画において示すこととしており、この計画では、国の温室効果ガス排出削減目標の26%削減を上回る28%の削減目標を掲げた上で、目標達成に向けて国の温暖化対策計画に定められた諸施策を基礎自治体として着実に実施するとともに、地下鉄七隈線の延伸に伴う公共交通機関の利用促進を初め、住宅用エネルギーシステムや次世代自動車の導入支援など、本市独自の施策もあわせて包括的に展開していきたいと考えている。 ◯藤本委員 本市が国を上回る意欲的な目標を設定していることは、大変評価すべきである。一方で、この目標が絵に描いた餅で終わらないよう、目標を達成するための対策を戦略的に進めていかなければならないが、その際に必要な視点は、温暖化対策の中に技術革新、いわゆるイノベーションを取り入れることであると考える。例えば、昔のディーゼルエンジンは震動が大きく、窒素酸化物や黒煙を出しながら走る印象があったが、その後、技術革新を重ね、最近ではガソリンエンジンよりも燃費効率がすぐれ、また高馬力であるという利点から、バスやトラックに数多く採用されている。また、燃料電池自動車や電気自動車などの次世代自動車と言われるものの中に、クリーンディーゼル自動車が位置づけられ、ヨーロッパでは数多い普通自動車の中でも大人気車種となっているなど、日本のすぐれた技術力は温暖化対策の面からも、今後ますます寄与できるものであると考える。このような技術革新は自動車に限らず、建築物では昔に比べはるかに高断熱化が進んでおり、冷蔵庫やエアコンなどの家電においても、10年前とは比較にならないほど省エネ性能にすぐれたものが開発され、これらは全て温暖化防止に大きな貢献をもたらしている。視点は変わるが、本市においても率先して温暖化対策に取り組むこととしており、ペーパーレスに向けたシステム化を全庁的に進めるよう強く要望する。これからの温暖化対策には抜本的なイノベーションが必要であり、市民に我慢を強いるような旧態依然とした温暖化対策ではなく、生活の利便性も向上させながら、同時に温暖化対策にも寄与できるような新たな対策を取り入れることが必要と考えるが、新たに策定する本市の温暖化対策計画には、抜本的なイノベーションを視野に入れた対策、施策が盛り込まれているのか。 △環境局長 近年、温暖化対策の分野では、情報技術を活用したエネルギー使用最適化システムや水素燃料電池自動車など、イノベーションの進展が著しいところであり、国においては、エネルギー・環境イノベーション戦略を策定し、イノベーションで世界をリードし、気候変動対策と経済成長の両立を目指しているところである。本市においても、全国に先駆けて推進してきた廃棄物発電のさらなる効率化や、先進的に取り組んでいる下水バイオガスからの水素の製造、世界最先端の研究を行っている九州大学での水素技術を生かした関連産業の創出など、革新的な技術を用いた対策や施策を展開することとしており、今後ともイノベーションの進展を十分に注視し、温暖化対策に取り組んでいきたいと考えている。 ◯藤本委員 この先の未来に強く望むことは、市民一人一人が幸せを実感でき、将来世代にもその幸せが継承される持続可能な社会が継続していくことである。そのためには、市民一人一人や事業者が身近なところから温暖化対策に真剣に取り組む必要があり、その取り組みを促進するためには、広報、啓発が重要であると考えるが、広報、啓発を行う際には、具体的な省エネ手法などを広報するだけではなく、一言で相手の心に届き、自発的な行動を促すようなキャッチフレーズを活用することも有効だと思われるため、検討を求めておく。また、温暖化の影響は、水害や健康被害など多岐にわたるため、環境局だけの問題ではなく、関係各局が連携を一段と密にして、温暖化によるリスクから市民を守り、市民のモデルとなるよう全庁一丸となって温暖化対策を進めるべきと考えるが、認識と決意を伺う。 △荒瀬副市長 地球温暖化については、最近の異常気象等で少し実感されてきているが、まだまだその深刻さは日常生活の中では実感されにくい問題であり、市民や事業者が自分事として捉えた行動には結びつきにくい面があることは十分に認識している。一言で心に届くキャッチフレーズの使用については、市民や事業者に、深刻になりつつある温暖化の問題を切実に感じてもらうための有効な広報、啓発手法の一つと考えられるため、新たな福岡市地球温暖化対策実行計画の周知を図る中で検討していく。また、最近は豪雨の増加やデング熱、ジカ熱等の熱帯性感染症など、温暖化の影響と言われるさまざまな事案が発生しているため、地球温暖化対策については、関係局が連携を図り、全庁的に取り組まなければならない課題であり、本市の行政全般に環境の視点を取り入れ、安全、安心なまちづくりを進めていく。 ◯藤本委員 これまで温室効果ガス排出量の削減に関して述べてきたが、温暖化対策については、さまざまな施策を総合的に進めていく必要があり、最も効果があるのは緑の充実だと考える。緑には森林や公園、田畑などがあるが、森林の保全については、間伐や植林など、必要な事業に取り組んでおり、これらの取り組みは二酸化炭素の吸収だけではなく、土砂災害の防止など多面的な機能を持っているため、これからもしっかりと森林を守り育てていかなければならない。また、森林の保全と同様に大事な取り組みである緑化は、市民が最も身近に感じられる二酸化炭素の吸収源対策であり、わかりやすい温暖化対策である。1910年代、産業革命をリードしていたドイツでは、石炭による大気汚染対策に積極的に取り組んでおり、それまで個人の屋敷の庭園など、限られた場所での緑化の取り組みから、現在の公園のように人間の手でつくる自然を理論化して進めていったのが、20世紀初頭のドイツであると聞いている。これは大気汚染などの環境問題に対し、緑化による大気の浄化を期待しながら、都市政策を進めた画期的な出来事であると思うが、本市の緑被率の現状、目標及び目標設定の考え方について尋ねる。 △住宅都市局長 本市の緑被率については、直近の24年度の調査では、55.5%となっており、緑被率の目標については、平成21年5月に策定した、福岡市新・緑の基本計画において、平成32年に55%を維持することとしている。緑被率の目標設定の考え方については、民有地の緑は失われやすいことを踏まえ、法的に担保されている都市公園や特別緑地保全地区などをふやすことにより、緑の総量を維持することを目標にしている。 ◯藤本委員 本市は山と海に囲まれた自然豊かな都市であり、先人たちはこの山と海を守り、非常にコンパクトな都市として発展させてきた。市域の約5割が、市街化を抑制すべき市街化調整区域であり、森林や農地などで多くの緑が守られているが、都市における公園、緑地などの施策については、どのような基本方針で取り組んできたのか。 △住宅都市局長 公園整備や緑地保全などの基本方針については、福岡市新・緑の基本計画において、風格ある緑豊かな環境共生都市・福岡を基本理念に掲げ、6つの基本的な方向で取り組むこととしている。1つ目は、骨格をなす緑である市街地の背後の山や丘陵地を守り、つなぐこと、2つ目は、山裾から海辺まで緑の水脈と緑の道で結ぶこと、3つ目は、九州、アジア新時代の交流拠点にふさわしい個性と風格を緑の歴史でつくること、4つ目は、心を癒やし、身近な生活に潤いをもたらす緑をつくること、5つ目は、福岡県西方沖地震などを教訓に、安全、安心を支える緑をつくること、6つ目は、これらについて、市民、企業との共働で取り組むことを基本的な方向としている。 ◯藤本委員 具体的にどのような施策を実施しているのか。 △住宅都市局長 具体的な取り組みについては、都市公園の整備を初め、樹林地など緑地の保全、公共や民間施設の緑化などを進めているところである。公園の整備については、東平尾公園やアイランドシティ中央公園などの大規模な公園や、地域の身近な公園である街区公園などの小規模な公園、また、歴史資源や地域特性を生かした特色のある公園づくりなどを進めている。また、緑地の保全については、市街地に残る貴重な樹林地などを保全するための特別緑地保全地区や、自然環境を維持し、人と自然との調和のとれた環境をつくるための風致地区、町なかに残る大木などを維持していくための保存樹などの指定に努めている。さらに、緑化の推進については、街路樹や学校、公民館などの公共空間において、民間を先導する緑化に取り組むとともに、快適な住環境を維持する緑地協定制度や民有地への緑化助成、福博花しるべなどのイベントを通じた緑化の啓発活動などを行っているところである。 ◯藤本委員 本市は都市の発展とともに、公園の整備や緑の保全、緑化の推進に積極的に取り組んでいるが、その中でも公園や緑地保全地区は、道路や下水道などとともに、都市計画に位置づけられる重要な社会基盤である。27年度末現在、本市における公園種別ごとの数と面積、及び特別緑化保全地区の指定数と面積を尋ねる。 △住宅都市局長 27年度末現在の都市公園の種別ごとの箇所数及び面積については、総合公園や運動公園などの大規模な公園が16カ所、約716ヘクタール、街区公園や近隣公園などの地域に身近な公園が1,426カ所、約348ヘクタール、その他、かなたけの里公園や友泉亭公園など地域の特性や歴史資源を生かした公園が228カ所、約287ヘクタールあり、全体で1,670カ所、合計約1,351ヘクタールの公園がある。また、特別緑地保全地区については、中央区と南区にまたがる鴻巣山特別緑地保全地区を初めとして、71地区、約118ヘクタールある。 ◯藤本委員 本市は、背振山系や立花山、三日月山などの森林に市域が囲まれており、緑被率も55.5%と、市域全体とすれば緑は多いが、都心部に目を向けると、緑が極めて少ないように感じる。都心部の緑の少なさは、魅力的なまちづくりを進めていくには大きな課題であると思うが、都心部の緑化の取り組みについて尋ねる。 △住宅都市局長 都心部においては、質の高い緑空間の形成や、花や緑による回遊性の向上を目指しており、更新時期を迎えたビルの建てかえに合わせて、容積率の緩和などにより、沿道のにぎわいや魅力づくりに寄与する緑化の誘導を行っている。また、公共空間においては、明治通りや博多駅前通りなどにおいて、季節感を演出する花や木の植栽や、低木からまちを彩る花への植えかえなどにより、回遊性の向上を図るとともに、警固公園や水上公園において、地域課題の解決や水辺などの立地特性を生かした公園の再整備を行うなど、魅力的な都市空間の形成に取り組んでいるところである。 ◯藤本委員 まちの更新機会に合わせて、民間活力を用いて緑化の誘導を図っていくことは、これからのまちづくりの方策として大変重要なことだと思うが、公共施設の再編に伴い生じる跡地を活用しながら、都心部の一等地をあえて公園にするなど、オープンスペースに緑をふやすことが、まちの魅力を向上させる近道だと思う。成熟した都市には、町中に大きな緑が存在しており、本市においても、都心に憩いの空間を創出してほしい。また、公園は市民にとって大切な資産であり、これらの資産が将来にわたり長く市民に愛され続けるためには、魅力や価値を高めるという視点を持って維持管理することが大事であり、それが緑化のさらなる推進にもつながるものと考える。公園行政をリードする国土交通省においても、新たな時代の都市マネジメントに対応した都市公園等のあり方検討会の中で、ストックされた都市公園の有効活用や市民との連携の加速、都市公園を一層柔軟に使いこなすなどの方向性が示されているが、本市においては公園や緑地をどのように活用していくのか。 △住宅都市局長 公園や緑地の活用については、平成28年3月に、福岡市みどり経営基本方針を策定し、市民との共働や資産の有効活用などの方針を定めているところであり、市民との共働については、地域に身近な公園において、運営、管理及び活用のための担い手づくりや、動植物園におけるサポーター制度などに取り組んでいる。また、資産の有効活用については、地域特性や利用者ニーズに応じた緑資産の有効活用を図るため、水上公園や西南杜の湖畔公園における民間活力によるカフェやレストランの設置などを行ったところであり、今後とも、都市公園を初めとする緑資産の有効活用に積極的に取り組んでいく。 ◯藤本委員 現在ある緑資産を利活用し、その価値を高めるためにも、これからは行政だけで緑を維持管理するのではなく、市民、NPO、民間会社等との共働を推進することにより、緑化の推進を図らなければならない。平成17年にアイランドシティ中央公園で開催された、第22回全国都市緑化ふくおかフェア、愛称アイランド花どんたくでは、花壇の整備や維持管理に小学生や幼稚園児、地域の活動団体などのボランティアが多数参加し、このイベントを契機に花と緑を愛する活動団体が増加し、近くの公園や道路でも小さな花壇を見かけることが多くなったように感じているが、現在の市民や企業と連携した緑化の取り組み状況について尋ねる。 △住宅都市局長 市民や企業と連携した緑化の取り組みについては、街路空間においてボランティアによる花壇などの管理を推進しており、第22回全国都市緑化ふくおかフェアを開催した17年度には30団体であったボランティア団体が、27年度末には110団体に増加するなど、市民との共働による取り組みが拡大している。また、緑のまちづくり協会においては、ボランティア団体の指導者を育成するため、緑のコーディネーター養成講座を開催し、現在198名に活動してもらうとともに、市民による森づくりや花づくり活動に対する助成を行っている。さらに、毎年春に開催している福博花しるべにおいても、周辺の企業やエリアマネジメント団体、市民ボランティアなどの協力のもと、街路空間をチューリップで彩り、都市の魅力や回遊性の向上に取り組むなど、市民や企業との共働による緑のまちづくりを推進している。 ◯藤本委員 もともと日本人は自分の家の周りを自分で掃除していたように、本来日本人が持つよさを引き出し、緑化についてもみずから取り組むという雰囲気を醸成してほしい。4年後には東京オリンピック・パラリンピックが控えており、東京都では、水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京を復活させるため、1,000ヘクタールもの緑を整備する目標を掲げており、政府は、観光を成長戦略の柱の一つに位置づけ、2020年には4,000万人の観光客を呼び込もうと取り組んでいる。また、本市は、既に住みやすいまちとして世界的にも高い評価を受けているが、2012年のゴールデンオールディーズ・ワールドラグビーフェスティバルの開催地となった一番のきっかけは、開催都市選定委員会の事前視察において、緑豊かな福岡城趾の日本的な風格などに感銘を受けられたことだと関係者から聞いており、これからの都市づくりにおいては、温暖化対策にもつながる緑化の推進の視点を持って取り組まれたい。また、本市が国際観光都市の仲間入りをするためには、観光客が訪れる都心部や空港などの玄関口において、魅力的な都市景観を創出するための緑化が必要であり、緑や花を市民や企業と一緒に育てていく環境づくりが重要と考えるが、所見を伺う。 △市長 緑豊かなまちづくりについては、魅力的な都市景観の形成はもとより、地球温暖化対策を進める上でも重要であると考えている。本市では、都市の成長と生活の質の向上の好循環を実現するために、市民や企業と連携しながら、天神ビッグバンやウォーターフロント地区の再整備などを推進しているが、これらのまちが大きく変わっていくチャンスを捉え、都市に潤いや彩りを与える緑化を進めるとともに、本市の豊かな自然環境を守り、育み、さらにその価値を向上させ、未来に誇れるまちづくりに取り組んでいきたいと考えている。 |