笠 議員の質問と答弁

◯47番(笠 康雄)登壇 私は、みらい福岡市議団を代表し、資源物の回収のあり方について、おいしく安全な鳥肉、特に鳥刺しの提供について、街路樹の管理について、以上3点について質問いたします。
 まず、資源物の回収のあり方について質問してまいります。
 廃棄物対策は、循環型社会の形成と地域の生活環境の向上のために、市民、事業者、行政がそれぞれの果たすべき役割を深く認識し、3R、すなわち廃棄物の発生抑制、再使用及びリサイクルの促進に向けて積極的に進める必要があります。
 そこで、空き缶やペットボトルなどの容器包装廃棄物については、消費者、容器包装の利用事業者や容器の製造者がそれぞれ分別排出、分別収集、再生処理の役割を分担することにより、リサイクルを推進する容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律、いわゆる容器包装リサイクル法が平成12年4月に施行されました。
 しかし、この法律では、家庭から排出される飲料缶などはしっかりリサイクルされますが、まちなかの自動販売機で売られている缶やペットボトルについては、家庭に持ち帰られることなく、外出先でそのまま捨てられることから、十分にリサイクルされているとは思えません。郊外の農村地帯などでは、いまだに田畑を初め、土手、松林、植え込みなどへの空き缶やペットボトルのポイ捨てが目立ちます。コンビニエンスストアやスーパー、自動販売機の横に設置してある回収ボックスに投入したくても、回収ボックスの容量が小さく、いつも空き缶やペットボトルで満杯になっているところが多々あります。私は、コンビニエンスストアやスーパーなどの小売店及び自動販売機などで飲料を販売する事業者は、販売量に応じた回収ボックスを設置し、販売者の責任として資源回収すべきだと考えます。
 そこでまず、福岡市の空き缶、空き瓶、ペットボトルの資源物回収やその仕組みは容器包装リサイクル法で規定されていると思いますが、どのようになっているのでしょうか。その回収実績とあわせてお尋ねをします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて質問してまいります。
◯環境局長(吉村隆一) 容器包装リサイクル法による飲料容器等のリサイクルの仕組みにつきましては、市町村が回収し、選別や圧縮等の処理をしたものを容器製造業者や飲料メーカー等の責任でリサイクルをすることとされております。また、市町村が回収した段階で売却できるものは、この仕組みによらず、資源業者に売却することも認められております。そのような中、福岡市においては、各戸からの分別収集を基本とした上で、公共施設やスーパー等での拠点回収も実施をいたしております。
 分別収集については、空き缶は燃えないごみの区分で、空き瓶とペットボトルは空き瓶・ペットボトルの区分で収集し、また、拠点回収については、区役所、市民センター、スーパーマーケット等82カ所に設置をした回収ボックスで回収を行っております。これらにより回収した資源物については、鉄、アルミ及び空き瓶の一部を売却するほかは、容器包装リサイクル法によるリサイクル業者に引き渡し、資源化をいたしております。これらによる平成27年度の資源物回収量は、金属類が7,175トン、空き瓶が3,703トン、ペットボトルが2,826トンとなっております。以上です。
◯47番(笠 康雄) 今、答弁いただいたように、福岡市では分別収集や拠点回収によってかなりの量を回収し、リサイクルされています。そもそも飲料用の缶やペットボトルの容器流通量は、年々増加傾向にあると思いますが、その容器はきちんとリサイクルされているのでしょうか。
 そこで、直近の流通量とリサイクル量及びリサイクル率についてお尋ねをします。
◯環境局長(吉村隆一) 飲料容器の流通量やリサイクル量につきましては、業界団体が公表しております全国の量になりますが、直近の平成27年度の流通量は、スチール缶が48万6,000トン、アルミ缶が33万2,000トン、ガラス瓶が124万6,000トン、ペットボトルが56万3,000トンでございます。また、リサイクル量とリサイクル率は、スチール缶が45万1,000トンで92.9%、アルミ缶が29万9,000トンで90.1%、ガラス瓶が85万2,000トンで68.4%、ペットボトルが48万9,000トンで86.9%となってございます。以上です。
◯47番(笠 康雄) 業界団体の資料では、ガラス瓶以外はリサイクル率が8割以上と高くなっているようです。では、自動販売機による販売についても、空き缶やペットボトルはきちんと回収され、リサイクルされているのでしょうか、お尋ねをします。
◯環境局長(吉村隆一) 自動販売機の空き缶等につきましては、自動販売機の増加に伴い、ポイ捨てが社会問題となったことなどを受けまして、福岡市では平成5年にポイ捨てを罰則をもって禁止する条例を制定し、その条例に定める特定地域に設置された自動販売機について、空き缶等の回収ボックスの設置を義務づけた上でリサイクルを促進してまいりましたが、その後、平成12年に全国清涼飲料工業会が回収ボックスの設置についての自主ガイドラインを制定したことにより、基本的には全ての自動販売機に回収ボックスが設置をされております。これらの回収ボックスに入れられた空き缶等は、販売事業者等によって回収をされ、リサイクルをされているものでございます。以上です。
◯47番(笠 康雄) 福岡市は、空き瓶、ペットボトルは各戸から分別収集しており、自動販売機については、販売事業者による回収も行われているということでしたが、郊外の田畑では、まだまだポイ捨てが多く、農家の人たちや地域住民は迷惑をしています。このように、ポイ捨ての多い地域に対して福岡市はどのような対策を講じているのでしょうか、お尋ねをします。
◯環境局長(吉村隆一) 空き缶等のポイ捨てが多い地域への対策につきましては、町内会等からの要請に応じて、郊外の道路脇や川岸、山間部などにポイ捨て禁止や不法投棄防止の看板を設置いたしております。また、ラブアース・クリーンアップや清掃月間、小学校での環境学習や公民館での出前講座などの機会を捉えて、地域環境美化に対する市民意識の啓発に努めているところでございます。以上です。
◯47番(笠 康雄) そうはいっても、郊外では回収ボックスの数が少ないところや、ボックスからあふれているところもあります。福岡市は、販売事業者に対して指導していく必要があるのではないでしょうか。
 そこで、事業者に対する福岡市の取り組み状況についてお尋ねをします。
◯環境局長(吉村隆一) 販売事業者に対する取り組みでございますが、福岡市では、行政、市民と飲料メーカーなどの販売事業者が協力して空き缶等の散乱防止活動に取り組むため、昭和51年に福岡市あき缶・びん対策協会を設立いたしております。この協会に参加する販売事業者については、毎年負担金を徴収し、それによりポイ捨て禁止の啓発看板の作製や、小中学生対象のポイ捨て防止ポスターコンクールの開催などの事業を実施するほか、市が行う清掃活動に協賛、参加をしていただいているところでございます。また、協会に参加する販売事業者に対しては、自動販売機への回収ボックスの設置の徹底や回収物が散乱したりしないように適正な管理を行うよう要請をしてきたところでございます。以上です。
◯47番(笠 康雄) 今まで聞いてきた中では、飲料用の缶やペットボトルの回収は、容器包装リサイクル法に基づき回収されているということです。しかしながら、この法律における事業者の負担は、市町村が分別収集したものを引き取ってリサイクルするという部分だけで、流通した容器に対する直接的な引き取り義務や不法投棄されたものの回収義務などはありません。私は、製造者責任や販売者責任、いわゆる拡大生産者責任の観点からすれば、事業者はデポジット制度などのさまざまな取り組みを積極的に行うべきだと考えます。飲料品の購入者や販売して利益を享受した企業が便利さの代償として、また、販売者の責務として応分の費用負担をする、そのような新しい制度が必要だと考えます。
 そこで、福岡市は、飲料容器などのリサイクルに対する事業者責任の拡大について、これまでどのような取り組みを行ってこられたのか、お尋ねをします。
◯環境局長(吉村隆一) 飲料容器のリサイクルに対する事業者責任の拡大につきましては、容器包装リサイクル法の制定準備の段階から、全国都市清掃会議や大都市清掃協議会を通じて国に提言をしてきたところでありますが、ポイ捨て対策などを含む飲料容器のリサイクルを一層促進するためには、全国的なデポジット制度の導入など、事業者が生産した製品については、廃棄された後においてもその適正なリサイクルや処分について一定の責任を負うという拡大生産者責任の考えに基づく制度の抜本的な見直しが不可欠と考えており、継続的に全国都市清掃会議や大都市清掃協議会等を通じて提言を行っているところでございます。以上です。
◯47番(笠 康雄) 事業者の取り組みは十分ではなく、抜本的な解決になっていません。福岡市から国や県への働きかけを継続するとともに、事業者も社会的責任としてもっと積極的に取り組む必要があり、市も販売事業者にしっかり指導していくよう要望しておきます。
 次に、福岡市では、古紙や蛍光管、乾電池などの資源物も回収しています。平成29年度からは、家電量販店に加え、ホームセンター等に蛍光管、乾電池の回収拠点を拡大していくということでした。この蛍光管、乾電池の回収拠点拡大について、現在の進捗状況をお尋ねします。
◯環境局長(吉村隆一) 現在、区役所、市民センターなど11カ所と家電量販店19カ所の計30カ所で実施をいたしております蛍光管等の拠点回収につきましては、今年度中を目途に60カ所程度に拡大することといたしており、7月から新たにホームセンター15カ所に回収ボックスを設置することといたしております。以上です。
◯47番(笠 康雄) 家電量販店やホームセンターは、市内全域を見ると、どこにでもあるというものではありません。特に調整区域ではなかなかないです。もっと市民が利用しやすく、駐車場が確保できている公共の施設や地域の利便施設であるコンビニエンスストア等に設置すべきではないでしょうか、御所見をお伺いします。
◯環境局長(吉村隆一) 蛍光管等の回収拠点につきましては、買いかえのときに廃棄することが多いと思われることから、家電量販店やホームセンターへの設置を進めているところでございますが、近隣にこれらの施設がない地域につきましては、市民の利便性を考慮し、設置場所を工夫してまいります。以上です。
◯47番(笠 康雄) しっかり頑張っていただきたいと思います。
 これまでの答弁で、資源物回収についての福岡市や事業者の取り組みはわかりました。しかしながら、最後に、そもそもポイ捨てをするという日本人の公徳心の欠如について問いたいと思います。
 日本を訪れる外国人からは、日本のマナーのよさは非常に評価が高いと聞いています。例えば、まちなかで財布を落としても、警察に行けば届け出がなされていて、手元に戻ってくるケースがほとんどです。しかし、一方で、国内ではポイ捨てを初め、放置自転車や歩きたばこなど日本人のモラル・マナーの低さが指摘されています。日本人の公徳心は、本当のところどうなんでしょうか。最近は、自分たちの行動が環境に負荷を与えている認識が希薄になっているように思います。事業者も市民も危機感を持って取り組んでいかなければ、地球は汚れていくばかりです。規制せずとも、皆が環境に優しい行動をとる世の中を目指していくべきであり、そのための意識の醸成が必要であると考えますが、御所見をお伺いし、この質問を終わらせていただきます。
◯環境局長(吉村隆一) ポイ捨ての防止などに向けては、市民意識の醸成が必要であるとの議員の御指摘でございますが、環境局といたしましても、同様の見地から、平成4年に市民の皆さんの手によって策定をされた環境にやさしい都市をめざす福岡市民の宣言を契機として策定をいたしております環境教育・学習計画において、学び、振る舞い、行い、つなぐをキーワードに市民が環境についての正しい理解と認識を深め、それを個人の行動に移し、さらには地域や学校などで協力して環境保全活動を推進し、最終的によりよい環境を地域、世代を超えてつなぎ、広げられるよう、公民館での出前講座や小学校での環境学習、市民団体等の支援、地域との共働による環境活動など、さまざまな取り組みを行っているところでございます。今後とも、市民の皆さんの環境に優しい行動が無意識かつ習慣的になされるような社会の実現に向けて、しっかりと取り組みを進めてまいります。以上です。
◯47番(笠 康雄) 次に移らせていただきます。
 いよいよビールがおいしい真夏がやってまいりました。ビアガーデンや焼き鳥屋で飲む一杯は、何とも言えないものがあります。しかし、そこに鳥刺しやズリ刺しがないことは、大変に残念であります。そう思うのは私だけでしょうか。この議場内には、同じ思いをされている方もたくさんいらっしゃると思います。
 そこで、おいしく安全な鳥肉、特に鳥刺しの提供について質問をさせていただきます。
 鳥料理は、福岡の食文化として親しまれ、市内には全国的に有名な水炊きの店から気軽に立ち寄れる焼き鳥屋まで、たくさんの鳥料理店があります。福岡市民にとって鳥肉はとても身近な食材であると言えます。また、農村地域では昔から庭先で鳥を飼い、大切なお客様を迎えるときには、飼っている鳥を絞めて、余すところなく料理をし、お客様をもてなすというよき習慣もありました。以前は、福岡市でも特に早良区にたくさんの鳥料理店がありましたが、近年は減少の一途をたどり、寂しさを覚えるところであります。
 一方で、鳥の生肉による食中毒が全国的に多発していると言われています。このままでは、鳥の刺身を食する文化はなくなってしまうのではないでしょうか。私は、福岡の食文化を守るという観点から、早急にこの対策に取り組むべきだと考えます。警鐘を鳴らす意味でも、この問題について質問をしていきたいと思います。
 まず、平成28年度、福岡市において食中毒は何件発生したのか、また、そのうち鳥の刺身による食中毒は何件なのか、お尋ねをします。
◯保健福祉局長(永渕英洋) 福岡市における平成28年度の食中毒事件の発生件数につきましては、28件でございます。そのうち、鳥肉との関連性が高いとされているカンピロバクターという細菌による食中毒の発生件数が11件でございました。鳥刺しを原因食品として特定した事例はございませんが、食事のメニューとして、生や加熱不十分な鳥肉を食べていた事例が11件中10件でございました。以上でございます。
◯47番(笠 康雄) ただいまの答弁で、福岡市でもカンピロバクター食中毒が起こっていることがわかりました。それでは、鳥肉による食中毒はなぜ起こるのでしょうか、その原因についてお尋ねをします。
◯保健福祉局長(永渕英洋) 健康な鶏であっても、腸管内などにカンピロバクターなどの食中毒菌を保有している場合がございます。通常の食鳥処理場で行われている短時間に大量に解体する工程では、鶏の腸管等から鳥肉へ菌の汚染が拡大することがございます。カンピロバクターについては、少量の菌で食中毒を起こすため、一旦汚染されてしまうと加熱以外の有効な予防策はなく、菌が付着した状態の鳥肉や内臓を生や加熱不十分な状態で提供することにより食中毒を起こすものでございます。以上でございます。
◯47番(笠 康雄) カンピロバクターが付着した鳥の肉や内臓を生や加熱不十分で食べると食中毒を起こすとのことです。このカンピロバクターによる食中毒を加熱以外の方法で防ぐことはできないのでしょうか。食中毒の危険性が少なく、安心して食べられる鳥刺しはどうやったら提供できるのか、お尋ねをします。
◯保健福祉局長(永渕英洋) 内閣府食品安全委員会の食品健康影響調査によりますと、カンピロバクター食中毒のリスクを低減するためには、養鶏場では鶏の保菌率の低減、食鳥処理場では鳥肉への汚染を最小限にとどめる処理方法などの取り扱い、飲食店では調理器具の使い分けなどの衛生管理対策があり、これらを組み合わせることによって効果が上がるとされております。以上でございます。
◯47番(笠 康雄) 今言われたように、国は鳥肉の生産にかかわる各段階で衛生的な取り扱いをすれば、食中毒のリスクが下がると言っているわけです。私はかねてから、福岡の食文化を豊かなものにするために、また、産業振興のためにも、安全な鳥の刺身の提供についてしっかり研究してほしい、さらには食べられるようにしてほしいと要望してきました。
 では、現在、鳥の刺身を安全に提供する方法について、福岡市の研究状況はどうなっているのでしょうか、お尋ねをします。
◯環境局長(吉村隆一) 環境局では、平成27年度より保健環境研究所において、カンピロバクターの迅速検査法の開発に取り組んでまいりました。従来の検査では、検査開始から判定までに4日間を要しておりましたが、遺伝子検査法の改良などを行った結果、カンピロバクターの保菌状態を鶏ふんの検査によって4ないし5時間で判定することが可能となりました。以上でございます。
◯農林水産局長(則松和哉) 次に、農林水産局といたしましては、より安全な鳥肉の提供を実現するためには、生産、加工現場の現状を把握することが必要であると考えております。そこで、今後は先ほど説明がありました検査方法を活用し、保健福祉局及び環境局とともに、養鶏場における汚染の実態調査や食鳥処理場における汚染防止策の検討を行うこととしております。以上でございます。
◯47番(笠 康雄) カンピロバクターの迅速検査法が開発されたということなので、今後は迅速に成果を上げてほしいと思います。
 ところで、南九州の宮崎県や鹿児島県では、鳥刺しが有名で、食文化として根づいていると思います。この宮崎県や鹿児島県では、カンピロバクターによる食中毒は発生していないのでしょうか、お尋ねをします。
◯保健福祉局長(永渕英洋) 厚生労働省の統計資料によりますと、平成28年のカンピロバクター食中毒発生件数は、宮崎県が2件、鹿児島県は4件となっております。以上でございます。
◯47番(笠 康雄) 宮崎県も鹿児島県も非常に養鶏業が盛んで、鳥肉の消費量も多いと思いますが、食中毒の発生件数が非常に少ないことがわかりました。
 そこで、両県では安全な鳥刺しが提供されていると聞き及んでいます。どのような取り組みをされているのか、わかる範囲内で構いませんので、お答えをください。
◯保健福祉局長(永渕英洋) 宮崎県、鹿児島県ともに食中毒のリスクを低減するために、食鳥処理場、食肉販売店、飲食店それぞれで生食向けの鳥肉を取り扱う際に実施すべき衛生管理の目標を作成し、事業者に周知していると聞いております。以上でございます。
◯47番(笠 康雄) 宮崎県や鹿児島県では、県が鳥刺しを提供するならこんな対策をとりましょうという目標を定め、事業者の意識を向上させているということのようです。私は、このやり方はとても効果があると思います。一方、福岡市は、鳥肉を生で食べさせることは禁止しています。しかし、それでは鳥刺しなどの食文化はなくなってしまいます。食中毒を予防することは当然重要な問題でありますが、貴重な食文化の継承や産業振興もとても重要な政策であります。どんな食べ物も100%安全というものはありません。鳥刺しを食するという大切な食文化を後世に引き継ぎ、消費するだけではなく、飲食業などの産業を振興するという観点からも、もっと前向きに取り組むべきだと思います。
 宮崎県や鹿児島県が設定した目標はどのような内容なのか、現場ではどんなことに注意して鳥肉を扱っているのか、しっかり勉強させてもらうべきです。その上で福岡市でも同じような対策をとれば、より安全な鳥刺しを食べることができ、食中毒も減るのではないかと思いますが、御所見をお伺いします。
◯保健福祉局長(永渕英洋) 宮崎県や鹿児島県の取り組みは参考になると考えており、鳥刺しを含めた鳥肉がより安全に提供されるよう、しっかり研究してまいります。具体的には、食鳥処理場での汚染を防ぐ処理方法の検討や飲食店に対する講習会の充実など衛生管理向上につながる仕組みを検討してまいります。また、食中毒が発生した飲食店等で提供、販売された鳥刺しなどの流通経路の調査を徹底し、関係する自治体と協力して、より安全な鳥刺しなどが市内に供給されるよう努めてまいります。さらに市民に対しては、適切なリスク周知に努めるなどさまざまな対策を行ってまいります。以上でございます。
◯47番(笠 康雄) 鳥刺しは、福岡市にとって大切な食文化です。食文化がなくなっていかないよう、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 先ほど述べたように、100%安全な食べ物はありません。リスクを回避した上でしっかり守っていくことが大切だと思います。例えば、福岡ではゴマサバが好まれていますが、青魚が生で食べられるということは、福岡の魅力の一つになっています。ところが、最近はサバやアジ、イワシやイカに寄生しているアニサキスによる食中毒が話題になり、つい先日の新聞では、福岡市でも昨年、アニサキスによる食中毒が8件発生しているとのことでした。食中毒を防ぐために食べさせないという手法を用いれば、サバやイカの刺身も食べられなくなるのではないでしょうか。今、福岡の食卓からゴマサバが消えたら、これは何と寂しいことでしょう。
 ちなみにカンピロバクターによる鳥刺しの食中毒もアニサキスによる食中毒も死亡に至ることはないと聞いています。一方、フグの毒は死亡に至りますが、調理師免許を持った人が調理すれば食することができます。ここに行政の絶妙なる知恵と配慮があるように思えるわけです。問題があるからといって安易に禁止する方向に走っていったら、食べられるものは限られ、さまざまな食文化や地域の産業自体も衰退してしまいます。
 そこで、福岡市は、この鳥の刺身による食中毒の問題について、地域振興や食文化を守るという観点からどのような姿勢で臨むのか、お尋ねをします。
◯農林水産局長(則松和哉) 福岡には、鳥を利用した郷土料理が市民の間に深く食文化として根づき、地域の特性として広く認知されていると理解をしております。これを裏づけるように、総務省の家計調査において、2人以上の世帯における鳥肉の年間消費量は、金額、数量ともに都道府県庁所在地及び政令市の中で福岡市がトップとなっております。このような福岡特有の食文化を守り、次世代に伝えていくことは、産業や地域の振興を図る上で非常に重要なことであると認識しております。
 そこで、農林水産局としても関係局と連携しながら、より安全に食べられる鳥刺しの提供を目指し、食べ物がおいしいまち福岡の魅力の向上に資するようしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
◯47番(笠 康雄) ただいま保健福祉局長、さらには農林水産局長から力強い答弁をいただきました。何かしら、少しばかり光が差してきたような気がいたしております。福岡の豊かな食文化を守り、継承していくためには、仮にリスクがあったとしても即禁止するのではなく、研究して、安全に食べられるように努めることが大切です。各局連携して、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、おいしくて安全な鳥肉、特に鳥刺しの提供について、福岡市としてどのように考え、取り組んでいくのか、今後の決意をお尋ねし、この質問を終わります。
◯副市長(荒瀬泰子) 福岡市は、食べ物のおいしいまちとして国内外から高い評価を受けており、それが都市としての大きな魅力の一つでもございます。福岡市の食文化を守り、さらに観光資源として磨き上げていく上で、食の安全、安心を確保していく取り組みは非常に重要であり、市としての責務も重大なものと認識をしております。これを踏まえまして、鳥刺しを含めました鳥肉のより安全な提供につきまして、食品の安全性向上や地域の振興に向けた施策とあわせまして、スピード感を持ってしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
◯47番(笠 康雄) スピード感を持って取り組むとおっしゃいましたので、せめて来年の夏、またビールがおいしいときに店頭に並ぶようにぜひとも頑張っていただきたいというふうに思っています。
 では次に、街路樹の管理について質問いたします。
 福岡市では、緑豊かな美しい都市を目指し、これまでさまざまな緑化施策に取り組み、街路樹の整備を進めてきました。にもかかわらず、近年、維持管理が十分に行き届かず、雑草の繁茂が目立つ道路が多く見受けられます。市民からの苦情、要望も多数寄せられていると聞いております。本来、街路樹は良好な景観を提供し、好感を持たれるべき存在のはずですが、雑草によってせっかくの街路樹がマイナスの評価を受けるようになってしまっては、これまでの取り組みが水泡に帰してしまいます。
 そこでまず、低木や地被類が植栽されているところ、いわゆる植樹帯についてですが、現在の管理体制や除草の頻度などどのように実施しているのか、お尋ねをします。
◯住宅都市局長(光山裕朗) 植樹帯を含む街路樹の管理につきましては、福岡市の外郭団体である公益財団法人福岡市緑のまちづくり協会に管理業務の設計から監督に至るまで一括して委託しております。樹木の剪定や除草などの作業は、市域を4つに分割し、協会職員が沿道住民、地元自治会との協議や調整を行うとともに、作業時の指導など造園業者と連携を図りながら街路樹の管理を行っております。
 植樹帯の中の低木の剪定につきましては、樹種によって異なりますが、標準的には年1回実施しており、また、除草は標準的には5月、8月の年2回実施し、都心部などは必要に応じ、回数をふやしているところでございます。このほか、緑のまちづくり協会では、街路樹の枯れ木や病害虫の早期発見のための巡回パトロールや樹木の健康診断、造園業者を対象とした技術講習会などを行っております。以上でございます。
◯47番(笠 康雄) 街路樹の除草は、緑のまちづくり協会が行い、標準的に年2回やっているとのことです。まちの印象に直結する街路樹を常に美しく見てもらうためには、年2回の除草では到底間に合っていません。高温多湿で雑草が生育しやすい九州の気候を考えると、もっと除草回数をふやし、しっかり対応しないと、雑草のほうが強く、成長も早いので、せっかく植栽した低木や地被類に雑草が覆いかぶさり、枯死させてしまうことになります。私の記憶では、かつては年3回の除草を実施していたと思いますが、今日において、なぜ十分な除草ができていないのか、お尋ねをします。
◯住宅都市局長(光山裕朗) 除草が十分でないとの御指摘につきましては、街路樹の増加や樹木の成長に伴いまして剪定などの管理費用が増大したことで、やむなく除草回数を制限せざるを得ない状況となっております。今後とも、限られた予算の中で路線ごとの特性や必要性に応じ、選択と集中を図りながら適切な維持管理に努めてまいります。以上でございます。
◯47番(笠 康雄) 私は、平成21年6月議会において、都市の印象を決定づける大きな要素として、街路樹の重要性について質問させていただきました。そこでの議論を経て、都心部の北の玄関口である天神北ランプ周辺の植樹帯について、来訪者を歓迎するのにふさわしい緑で演出をするために、補正予算を組み、きれいに整備していただいたはずです。しかしながら、その場所が十分に管理されていないため、雑草が生い茂り、おもてなしの空間になっていません。むしろ、荒れた印象となっています。
 ちょっと写真を撮ってきています。(パネル表示)この上は違います。下のほうが天神北ランプからおりてきたところ、ここは道路なので、ここは歩道で真ん中に植樹帯があって、低木、ここを見ていただきたいんです。これも草なんですよ。植樹したんではないですね。自分勝手に雑草が生えてきています。これは、よそから来た人が福岡に入ってくるとき、おりてくるのが天神北ランプ、最初に福岡の緑のイメージをこれでもって目に焼きつけるとすれば、非常に残念だというふうに思うわけです。
 限られた維持管理予算しかないことは理解しますが、場当たり的な除草ではなく、選択と集中を図るのであれば、空港、駅、港、都市高ランプ周辺については、まさに集中的に維持管理し、常にきれいに保っておくべきエリアと思いますので、しっかりと対応していただくよう強く要望しておきます。
 さて、街路樹管理は緑のまちづくり協会が実施していますが、予算が厳しい中、知恵を絞り、工夫を凝らしていかなければならない状況下で、緑のまちづくり協会に在籍する造園職員の能力やノウハウを最大限に活用することが大切だと考えますが、御所見をお伺いします。
◯住宅都市局長(光山裕朗) 緑のまちづくり協会につきましては、潤いと安らぎのある緑豊かなまちづくりを進めるため、市民と共働した緑化推進、公園や街路樹の管理運営に関する事業などを行っております。これらの事業を通じ、協会の職員には、街路樹などの維持管理に関する能力やノウハウ、緑化に関する市民団体とのネットワークなどが蓄積されており、このような協会の財産をしっかり生かしながら、街路樹の適切な維持管理を初め、緑豊かなまちづくりを推進してまいります。以上でございます。
◯47番(笠 康雄) 限られた予算の中で、きれいな街路樹としていくためには、選択と集中のほかに、市民や企業の力をかりるという発想も必要であると考えます。例えば、西区の九大学研都市駅から九州大学伊都キャンパスに延びる学園通線では、左右の歩道に2列ずつ、さらに中央分離帯の合計5列の植樹帯があり、ここも管理が十分ではない状態です。(パネル表示)これは通称学園通線と呼ばれるところなんですけど、これですね、木を植えてからまだ三、四年しかたってないんですよ。だけど、カヤとかセイタカアワダチソウがこんなに生えていて、非常に見るも無残な状態になっています。だから、相当お金をつぎ込んで植樹をしているわけですから、やっぱりそれなりの維持管理をしていく必要があるというふうに思うわけです。
 これは悪いところを言ったんですけど、しかし、そういう中でも、(パネル表示)これは同じ学園通線です。ここにマンションがあるんです。マンションの住民が自主的に除草をしてくれている。そしたら、こんなにきれいになるんですよ。であれば、福岡市ももうちょっとね、こんなにきれいになるんですから、そのような力をかりるとか、いろいろ知恵を働かせるべきだと。金がないと言うんじゃなくて、そのような地域の力をかりるということが大切だと私は思っております。
 この間、東京にちょっと行ってきたんです。そのとき、日本橋に行ったんですが、日本橋でもちょっと参考になるようなものを見つけてきました。(パネル表示)これは花壇です。花壇の中にプレートがあって、花奉行とか書いてあるわけです。この花を維持管理する会社名がずっと書いてあるんです。だから、非常に企業イメージが高くなるという効果もありますし、一方、行政にとっては、ここの管理を全部やってくれるわけですから、あと水奉行だとか、水をやる企業を、責任者を決めているとかいう施策が行われておりました。こういったことをぜひ福岡市でも考えていただきたいというふうに思っておるんです。そのことによって双方が大いに得するわけですから、企業も行政側も、あるいは住民も、これによって良好な景観を見れるということになるので、ぜひこれは検討していただきたいというふうに思っております。
 これらの事例から、新たな管理手法として、隣接する地域、企業、NPOなどが街路樹を直接管理するようなエリアマネジメントの考えを導入し、日常の維持管理に補助金を出したり、冬場はイルミネーションを許可するなど、市民や企業に喜んで参画してもらえる管理手法を検討すべきだと思います。その際には、緑のまちづくり協会がこれまで築き上げてきた街路樹等の維持管理に関する能力やノウハウ、緑化に関する市民団体とのネットワークなどの財産をぜひとも活用していただきたいと思います。街路樹管理への市民参加の仕組みが広がっていけば、予算が厳しい中にあっても、管理費の抑制や、小まめで良好な管理につながりますし、市民が緑に対する理解を深めるよいきっかけにもなると考えます。今後、福岡市においても、こうした仕組みづくりについては積極的に検討し、推進していくべきと考えますが、御所見をお伺いします。
◯住宅都市局長(光山裕朗) 街路樹管理への市民参加につきましては、隣接する地域や企業などと管理協定を締結し、落ち葉清掃や除草などの維持管理に協力いただいている事例といたしまして、中洲中央通りやキャナルシティ博多周辺など9件の事例がございます。また、緑のまちづくり協会では、植樹帯を活用した市民による花壇づくりの助成制度や企業からの寄附によるスポンサー花壇制度など、市民や企業の参加を促す事業に取り組んでいるところでございます。さらに、緑化推進活動のボランティアであります緑のコーディネーターの方々も平成28年度末現在で198名に上っております。今後とも、協会のノウハウを生かしながら、議員御指摘の街路樹の維持管理にもこのような取り組みを広げ、市民や企業の皆様と共働で緑豊かなまちづくりを進めてまいります。以上でございます。
◯47番(笠 康雄) 最後の質問です。
 全米一住みたいまちとして評価が高いオレゴン州ポートランドに高島市長も行かれたことがあると聞いています。ポートランドでは、地域自治が活発で、かつ自立しており、住まいに隣接する街路樹の除草、清掃についても、地域貢献の一環として当たり前に参加する市民が多いと聞いています。まちの環境づくりに対する理解や高い意識を持つ市民が多いことが、ポートランド市の全米一住みたいまちとしての高い評価につながっているのだと思います。
 福岡市も、今や国際的にも注目される都市となっております。そのような意識の高い市民をふやしていくことこそが大切と考えます。街路樹は、市民や観光客から都市の印象として捉えられる重要な要素であり、特に天神や博多などの都心部においては、そのような観点も踏まえた高質な維持管理を行っていくべきです。また、近隣住民や企業などが街路樹の維持管理に携わることで、緑豊かな福岡市を市民とともに盛り上げていく機運を高めていくことも重要な課題であると考えます。このような観点から、最後に、ポートランドのまち並みのすばらしさを実感しておられる高島市長に街路樹など緑を生かした美しい景観づくり、まちづくりについて御所見をお伺いし、私の質問を終わります。
◯市長(高島宗一郎) ポートランドなんですけれども、実際、花や緑がまちにあふれておりまして、木陰で憩う市民も多くて、大変美しいまちだという印象を受けました。除草だけでも、なかなか福岡市も十分できていないような状況の中で、どうしたらこういうまちづくりができるんだろうということは私も思った次第でございます。
 笠議員御提案のように、これからのまちづくりにおいては、共創によるコミュニティづくりの考えに立って、市民や企業、そしてNPOの皆さんと一緒になって緑を守り育てていく、これが重要であるというふうに考えております。今後、都心部においては、ひとを中心とした歩いて出かけたくなるまちづくりを目指して、天神ビッグバンなど規制緩和によるさまざまな民間開発事業も進んでまいります。こうした事業とあわせまして、まちに潤いを与える木陰や花、また、目に映える緑化を推進するなど、ビルの敷地と、また街路空間が一体となった快適で質の高い公共空間の創出に取り組みますとともに、市民や企業の皆さんに花や緑を育んでいただけるような機運を広げ、温かみのある緑豊かなまちづくりをぜひ推進していきたいと考えます。以上です。





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