三角 議員の質問と答弁

◯40番(三角公仁隆)登壇 質問に先立ち、このたびの九州北部豪雨災害により亡くなられました方々に哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 それでは、質問に入ります。
 私は、みらい福岡市議団を代表し、社会的養護、高齢者の見守り、子どもの貧困対策、博多港の機能強化に向けた戦略的な取り組みについて、以上4点について質問いたします。
 まず、社会的養護について質問してまいります。
 近年、虐待件数や発達障がいを持つ子どもの増加など子どもを取り巻く課題も多様化しており、社会的養護の重要性がますます大きくなっています。私は、平成20年9月、平成21年12月、平成27年12月の議会において、一時保護所のあり方や児童心理治療施設など社会的養護の充実に関する質問を繰り返し行ってまいりました。
 先日、9月8日の西日本新聞朝刊に、「児童心理治療施設新設へ」の見出しで記事にもなっておりましたが、今回、改めてその現状や課題、今後の取り組みについて、確認を含めて質問してまいります。
 まず、一時保護所の現状について、平成28年度に保護された子どもの人数をお尋ねします。また、1日当たりの平均人数、保護されている人数が一番多いときの人数はどうなっているのか、お尋ねいたします。あわせて、1人当たりの平均保護日数、最長の日数、法律上規定されている2カ月を超える保護を行った人数をお尋ねいたします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
1 ◯こども未来局長(石橋正信) 平成28年度中に保護されました実人数は454人であり、1日当たり平均41人、保護されている子どもが一番多いときの人数は53人となっております。また、1人当たりの平均保護日数は33日で、最長の日数が329日、2カ月を超える保護を行った人数は75人となっております。以上でございます。
◯40番(三角公仁隆) ただいまの答弁の最長329日といえば約1年に近い日数です。閉鎖的空間の中でこれだけ長い期間、また保護されている人数も多く、自分に置きかえてみるとかなりつらいなと考えます。前回の質問のときにも指摘しましたが、衣食住の安定と職員の方々の愛情ある指導の中とはいえ、このように一時保護所における保護日数の長期化や保護人数が多いことは、子どもの権利擁護の観点からも大きな課題だと考えます。
 このような状況は全国的にも問題となっていると思いますし、国においても検討されておりますので、その内容についてお尋ねいたします。
◯こども未来局長(石橋正信) 平成28年度に虐待を受けた子どもや何らかの事情により実の親が育てられない子どもを含め、全ての子どもの育ちを保障するという観点から児童福祉法が改正されておりまして、国においてはこの理念を具現化するために、厚生労働省所管の有識者会議である新たな社会的養育の在り方に関する検討会において、社会的養育に関するさまざまな検討が行われました。
 平成29年8月2日には、一時保護の抱える課題を解決するため、その改革として、一時保護施設の小規模化によるケアの質の向上、閉鎖的空間での一時保護の短縮、児童養護施設等の地域開放施設の活用などを内容とする提言が厚生労働大臣になされております。以上でございます。
◯40番(三角公仁隆) 今、局長から答弁があったように、国において一時保護のあり方が見直されようとしていますが、本市では一時保護についてどのように取り組んでいくのか、お尋ねいたします。
◯こども未来局長(石橋正信) 閉鎖的空間での保護の長期化などの課題を解決し、子どもの権利擁護を推進するために、一時保護のあり方を見直すことは極めて重要であると考えております。
 このため、本市におきましても、現在、こども総合相談センター内で行われている一時保護の一部を児童養護施設等の地域開放施設において行うなど、一時保護の地域分散化を進めてまいりたいと考えております。以上でございます。
◯40番(三角公仁隆) 子どもの権利擁護推進のため、ぜひ進めていただくようお願いしておきます。
 次に、児童心理治療施設についてお尋ねいたします。
 児童心理治療施設とは、児童福祉法で定められた児童福祉施設で、心理的な課題を抱え、日常生活の多岐にわたり支障を来している子どもたちに、医療的な観点から生活支援を基盤とした心理治療を中心に、学校教育との緊密な連携による総合的な治療、支援を行う施設です。具体的には、1、医学・心理治療、2、生活指導、3、学校教育、4、家庭との治療協力、5、地域の関係機関との連携を治療の柱として、医師やカウンセラー、児童指導員や保育士、教員など子どもにかかわる専門スタッフが協力して、一人一人の子どもの治療目標を達成できるよう、本人と家族を援助していきます。
 そのような機能を持つ児童心理施設が、現在、福岡市内に設置されておりません。市はこのような子どもに対しどのようなケアを行っているのか、現状をお尋ねいたします。
◯こども未来局長(石橋正信) 新たに児童心理治療施設に措置が必要と判断される子どもは年間平均11人程度ですが、市内に児童心理治療施設がないため、2人から3人の子どもについては市外の児童心理治療施設に入所をお願いしております。また、市外施設にも入所できない子どもは児童養護施設や里親等へ措置している状況であり、専門的な対応が十分できているとは言いがたい状況でございます。以上でございます。
◯40番(三角公仁隆) 小規模で家庭的な生活環境を中心とした児童養護施設や里親などの措置をしている状況や、また、いまだ他県にお世話になっているケースが続いているようですね。たしか受入先は九州内だけではなく、遠い県の措置もあると聞いており、家族も子どもも不安な気持ちになるのではないかと思います。
 平成27年12月議会において、私は、こども総合相談センター内にこのような児童心理治療施設の機能を持たせてはどうかという提案をしたところ、心理的な困難や苦しみを抱えた子どもたちが安全で安心できる環境のもとで適切なケアを受け、社会的に適応できる力を回復する機能を持つ児童心理治療施設について、設置に向け検討していくと答弁されておりましたが、その後、検討はどうなっているのか、お尋ねいたします。
◯こども未来局長(石橋正信) 児童心理治療施設につきましては、平成27年3月に策定いたしました第4次福岡市子ども総合計画において、設置目標を定め、平成27年度から施設の規模や設置場所等について検討を進めてまいりました。
 今回、一時保護を地域に分散化することにより、こども総合相談センター内の一時保護所の一部に空きスペースが生じることから、このスペースに児童心理治療施設を設置する方向で検討を進めてまいりたいと考えております。
 これにより、入所児童に面会する保護者や通所児童の交通利便性が確保されるとともに、児童相談所との緊密な連携が図られ、あわせて市有財産の有効活用にも資することになると考えております。以上でございます。
◯40番(三角公仁隆) ただいまの答弁は、国の一時保護の見直しを見据え、子どもの権利擁護推進のため一時保護の地域分散化を図り、私が指摘していた現在の一時保護所の持つ課題を解決でき、かつ既存施設を有効活用し、これまで本市に設置していなかった児童心理治療施設を早期に設置していくという、私の願いを受けとめていただいた一石二鳥の案だと私は思いますので、ぜひ精力的に進めていただきたいと思います。
 この児童心理治療施設設置により、心理的な困難や苦しみを抱えた子どもたちが適切なケアを受け、社会的に適応できる力を回復させることは、子どもたちの夢の実現や未来に希望を持ち、社会の中で自立する意味においても非常に重要なことだと考えております。また、以前から要望していた福祉と教育の両方の側面から子どもたちを育てることは、その後、学校や地域、進学、就職の場へとつながり、きっと子どもたちが幸せな人生を歩むことになると私は思いますので、退所した子どもたちのケアも含め、関係機関と連携が図られるような体制づくりの検討をお願いしておきます。
 本市の昨年度積み増ししたこども未来基金の活用も検討し、スピード感を持って、一日も早く児童心理治療施設を設置することを進めていただきたいと考えております。
 この質問の最後に、児童心理治療施設の設置に向けた決意をお伺いし、この質問を終わります。
◯こども未来局長(石橋正信) 心理的な困難や苦しみを抱えた子どもたちの心の葛藤や混乱を和らげながら、子どもが生き生きと自信を持って自分の生活を送れるように適切なケアを行うことは重要であると考えております。
 児童心理治療施設の設置につきましては、今年度中に基本計画を作成するとともに、平成30年度中に一時保護の分散化を図れるよう児童養護施設等との調整を進めてまいります。
 その後、こども総合相談センター内の内部改修を行うことになりますが、こども未来基金の活用も検討しながら、早期に児童心理治療施設を開所できるよう取り組んでまいります。以上でございます。
◯40番(三角公仁隆) よろしくお願いしておきます。
 それでは次に、高齢者の見守りについて質問してまいります。
 少子・高齢化の進展により、人口減少社会に突入、超高齢化社会を迎えています。単身世帯の増加や近隣関係が希薄化する中で、社会から孤立する人々が生じやすい環境となり、高齢者の孤立死も社会問題となっています。地域の中で安全、安心な生活を送るためにも見守り、支え合いが大切だと考えます。
 そこで、高齢者のひとり暮らし世帯の生活支援の基盤支援である見守りと買い物支援に着目して質問をしてまいります。
 平成27年度から28年度にかけて実施したICTを活用した高齢者の見守りモデル事業の内容と成果と課題をお尋ねいたします。
◯保健福祉局長(永渕英洋) ICTを活用した高齢者の見守りモデル事業につきましては、スマートフォンや緊急通報装置などのICT機器を使って高齢者本人が発信した安否情報をふれあいネットワーク会員の方が確認するもので、城南区別府校区において実施いたしました。
 成果といたしましては、見守る方が直接訪問することなく安否確認が可能となったことや、見守られる方が日々自分の安否情報を伝えられることが安心につながったことなどでございます。
 課題といたしましては、認知症の方などICT機器の操作が苦手な方を見守ることが難しいことなどでございます。以上でございます。
◯40番(三角公仁隆) なるほど、ICTの操作などに大変課題があったんですね。しかし、ICT活用で一定の効果が認められている部分については今後も実施を続けていただきたいと思っております。
 平成29年6月から九州電力と連携して高齢者の見守りを始めると報道されましたが、この事業の内容についてお尋ねいたします。
◯保健福祉局長(永渕英洋) 九州電力との連携による高齢者の見守り事業につきましては、城南区別府校区において、同社が提供する「みまもりサポート」サービスを活用した見守り活動の社会実験として6月1日から11月30日まで実施しております。
 「みまもりサポート」サービスは、見守られる方の御自宅に設置した電力量計が電気使用量を検知し、ふだんの使用状況と異なる場合に同社より御家族へメールで通知する仕組みでございます。
 今回の社会実験では、御家族に加えて、ふれあいネットワーク会員の方にも通知し、地域の見守り活動に活用しております。以上でございます。
◯40番(三角公仁隆) 民間との連携によりいろいろな見守り活動ができることは大変よいことだと思います。これからも積極的な連携をよろしくお願いいたします。
 さて、社会福祉協議会では、支え合い助け合いの地域づくり事業において、各区1名の地域福祉ソーシャルワーカーをモデル的に配置し、見守りの仕組みづくりや地域包括ケアの推進、校区福祉のまちづくりプランの策定と支援を行ってきて、28年度からは区社協校区担当職員を全て地域福祉ソーシャルワーカーと位置づけていますが、地域福祉ソーシャルワーカーの具体的な職務内容と取り組み内容についてお尋ねいたします。
◯保健福祉局長(永渕英洋) 超高齢社会を迎え、住民が抱える生活課題、地域課題も多様化、複雑化してきております。そのような中、地域福祉ソーシャルワーカーは、地域の福祉課題の把握やその解決に向けた支援を行うとともに、高齢者だけでなく、障がい者、児童などの社会的な援護を必要とする方への支援と、その要援護者を支える地域づくりを行っております。
 取り組み内容としましては、ふれあいネットワークなどの見守りの仕組みづくりやふれあいサロン、地域カフェなどの多様な居場所づくりの支援など、さまざまな地域福祉活動の支援に取り組んでおります。以上でございます。
◯40番(三角公仁隆) これからの地域福祉ソーシャルワーカーの活躍に期待したいと思います。
 次に、食事や日用品などの生活に欠かせないものを調達する手段である買い物が支障なく充足されることは見守り同様に重要であると考えます。
 少し前なら、地域内の助け合い、近隣同士の助け合いなどにより補えたものが希薄になり、例えば車に乗り合って買い物に出かけたり、買い物をかわりに行うなどの助け合いがなくなってきています。
 そこで、本市においては28年度より実施している地域ボランティアによる移動支援を拡充していますが、具体的な内容と今後の方向性についてお尋ねいたします。
◯保健福祉局長(永渕英洋) 地域との協働による移動支援モデル事業につきましては、東区香住丘校区において、日常の買い物などが困難な高齢者等の移動を支援する事業として平成29年2月1日から実施しております。
 具体的な内容につきましては、自治協議会役員など11名で構成される香住丘買い物支援自動車運行協議会に本市から車両を無償で貸し出し、週3日、午前、午後それぞれ1回、地域ボランティアの運転、付き添いにより、自宅と店舗を送迎するルートを運行しており、平成29年8月末時点で82名の高齢者の方が御利用されております。
 本モデル事業の今後の方向性につきましては、事業の実施により見えてまいりました運転ボランティアの継続的な確保、運営経費の確保、利用者ニーズに応じた運行体制の構築、見直しなどの課題を踏まえ、事業の改善に取り組んでまいります。以上でございます。
◯40番(三角公仁隆) 高齢者の買い物支援が着実に進んでいるようですね。先ほどの答弁にあったように、実施することによって見えてきた課題については積極的に対策を講じ、この事業をやめることなく拡充を要望しておきます。
 内閣府の高齢者の生活実態に関する調査によると、ふだんどの程度人と話すかという問いに、毎日会話している人は全体の92.1%である一方、ひとり暮らし世帯では64.8%と全体の約3分の2でした。さらに、1週間に1回以下が8.2%もいます。
 また、病気のときひとりではできない家の周りの仕事などについて頼れる人はいるかという問いに対して、頼れる人はいないと答えた人が全体では3.3%に対し、ひとり暮らし世帯では14%と全体の4倍以上の結果が出ています。
 その他の国際比較の調査においても、日本では友人、同僚、その他の人との交流が全くない、あるいはほとんどないと回答した人の割合が15.3%もおり、OECDの加盟国20カ国中、最も高い割合になっています。
 これらの結果から、高齢者の孤立化と自然発生的な地域コミュニティが失われつつある場合、公的な仕組み、仕掛けで補う必要があると私は強く感じ、西東京市が取り組んでいる、ささえあいネットワークについてお伺いしてきました。
 西東京市では平成14年に2件の孤独死が発生し、ネットワーク構築の検討が開始されたそうです。高齢者が地域の中で安心して暮らせるよう、地域の住民、事業所、民生委員や地域包括支援センター、そして市が相互に連携し合う仕組みをつくり上げたそうです。
 ささえあい協力員は何か特別な活動を行うのではなく、日ごろの生活の中で気になる高齢者がいた場合や異変に気づいた場合に、担当の地域包括支援センターまたは西東京市地域サポートに連絡する個人の方で、ささえあい協力団体は、日ごろの業務や活動の中で高齢者の異変などに気づいたときに連絡します。
 週1回、新聞受けや郵便受け、照明の点灯などの状況から安否を確認し、お宅を訪問して玄関先でお話を伺う、ささえあい訪問サービスがあります。協力員、協力団体、訪問サービス協力員全て登録制として、活動の手引などできちっと研修も行っており、取り組みの成果を上げています。
 本市においても見守り推進プロジェクトとして、福岡見守るっ隊、福岡市見守りダイヤル、出張講座、見守りサービス登録事業に取り組んでいますが、そのスピードはいかがなものでしょうか。
 私が平成25年議会においても、遠方にいる友人のお母さんのケースで、新聞配達の方の連絡で駆けつけたところ、既に亡くなっていたことを話題にして、これからの社会はこういったひとり暮らしをされる高齢者の方々が必然的にふえていき、高齢者の見守り支援に取り組んでいくことは非常に重要なことであると強く要望してまいりました。
 現在、福岡市において高齢化率は20.9%ですが、さらに増加していくことが予想されています。
 そこで、見守り推進プロジェクトの成果と課題についてお尋ねいたします。
◯保健福祉局長(永渕英洋) 見守り推進プロジェクトについてでありますが、電気、ガス、宅配事業者などの民間企業などに、孤立死の疑われる異変時に通報してもらう仕組みである福岡見守るっ隊と、異変に気づいたときの通報先として、365日24時間受け付けを実施している福岡市見守りダイヤルがございます。
 事業の成果といたしましては、事業開始から平成29年6月末までに地域の方や見守るっ隊などから644件の通報を受け、453件の現場対応を実施しております。このうち室内で動けなくなっている状況の方などを発見し、救急搬送等に至った救命事例が59件ございます。
 次に、課題でございますが、通報件数等は堅調に増加しているものの、見守り推進プロジェクトについていまだ十分には知られているとは言えない状況にあるため、事業のさらなる周知を図ることが必要であると考えております。以上でございます。
◯40番(三角公仁隆) また、見守り推進プロジェクトにおいて、孤立死の未然防止につながった事例についてあればお尋ねいたします。
◯保健福祉局長(永渕英洋) 孤立死の未然防止につながった救命事例でございますが、対象者の姿を見かけなくなったことや、数日前に投函されたはずの配布物が回収されていないことを近隣住民が不審に思った事例や、対象者宅の新聞がたまり、さらに玄関前に手つかずの宅配弁当が放置されていたことを新聞配達員が不審に思った事例などにおいて、見守りダイヤルへの通報により、宅内で動けなくなっていた対象者の救出に至ったものがございます。以上でございます。
◯40番(三角公仁隆) 数は少ないようですが、成果は出てきているようです。この大切な見守り推進プロジェクトについては、先ほど言われた課題のように、広く市民の皆さんに知っていただくための継続的な活動に取り組んでいくことが必要だと考えております。
 ICT活用による取り組みも現代社会においては必要ですが、やはり人と人をつなぐのは地道なコミュニケーションであり、人とのかかわりではないかと考えます。
 高齢者の見守り活動の充実に緊急性とスピード感を持って取り組むとともに、それを絶やさずに継続して実施していくよう要望し、この質問は終わります。
 次に、子どもの貧困対策について質問してまいります。
 国の平成28年国民生活基礎調査の結果から、18歳未満の子どもの7人に1人という貧困の深刻さが明らかとなりました。また、貧しさのせいでおなかをすかせている子どもや、食事は給食の1食だけという子どもも少なくないとの声も聞いており、特にひとり親家庭の貧困率が高いようです。
 政府は、平成25年6月に子どもの貧困対策の推進に関する法律を制定し、その目的として、「子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境を整備するとともに、教育の機会均等を図るため、子どもの貧困対策に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにし、及び子どもの貧困対策の基本となる事項を定めることにより、子どもの貧困対策を総合的に推進する」としています。
 そして、生活困窮者自立支援法が平成27年4月に施行され、生活困窮者の支援制度が始まりました。生活困窮世帯の子どもの学習支援についても、子どもの明るい未来のサポートとして、子どもの学習支援を初め、日常的な生活習慣、仲間との出会い活動ができる居場所づくり、進学に関する支援、高校進学者の中退防止に関する支援等、子どもと保護者の双方に必要な支援を行っていきます。
 私は、3月の補足質疑において、子どもの食と居場所づくりの支援事業について、その取り組みの充実を図る要望をしてまいりました。本市においても各部局で取り組みがそれぞれ始まっています。
 そこで、子どもの学びと居場所づくり事業とふれあい学び舎事業についてお尋ねいたします。
 まず、子どもの学びと居場所づくり事業についてです。この事業の目的は何でしょうか。まずお尋ねいたします。
◯保健福祉局長(永渕英洋) 子どもの学びと居場所づくり事業は、生活保護世帯や生活困窮世帯の子どもたちを対象に、居場所の提供や学習支援を行うことで貧困の連鎖を防止することを目的としております。以上でございます。
◯40番(三角公仁隆) この事業の中で、小学校1年生から中学校3年生を対象とした居場所づくりと中学校2年、3年生を対象とした学習支援とがあります。
 それぞれの実施内容と対象者、平成28年度の登録人数と平均参加人数及び登録者の生活保護世帯と生活困窮世帯の人数の内訳をお尋ねいたします。
◯保健福祉局長(永渕英洋) まず居場所づくりでは、子どもが安心して通える居場所を提供するとともに、学力のおくれを取り戻すための支援や学習習慣づくりなどを行っております。対象者は、原則として実施箇所の中学校区に居住する生活保護世帯や生活困窮世帯の小中学生でございます。平成28年度は東区、博多区、南区、西区の中学校区4カ所での実施で、4カ所合計で定員60名のところ、延べ登録人数は47名、1回当たりの平均参加人数は4.3名、登録者47名のうち、生活保護世帯は38名、生活困窮世帯は9名となっております。
 次に、学習支援では、高校進学に向けた個別学習指導や進路等に関する相談対応などを行っております。対象者は、原則として実施箇所の区に居住する生活保護世帯や生活困窮世帯の中学2年、3年生でございます。平成28年度は南区、西区の2カ所で実施で、2カ所合計で定員40名のところ、延べ登録人数は46名、1回当たりの平均参加人数は14.2名、登録者46名のうち、生活保護世帯は38名、生活困窮世帯は8名となっております。以上でございます。
◯40番(三角公仁隆) 居場所づくりについて私が調べたところによると、登録人数や参加人数が26年度から毎年減少していますが、その原因はどこにあると考えられているのでしょうか。また、今年度から博多区で事業が廃止されたと聞きますが、その理由もあわせてお尋ねいたします。
◯保健福祉局長(永渕英洋) 居場所づくりにつきましては、生活保護のケースワーカーや学校から個別に参加勧奨を行っておりますが、対象者を経済的困窮で限定しているため、貧困に向けられた社会からの偏見、いわゆる貧困のスティグマに対する保護者や子どもたちの抵抗感があり、参加者が減少しております。
 博多区につきましては、同様の理由により参加者が減少し、29年度は参加者なしとなることが見込まれたため、28年度をもって廃止したところでございます。以上でございます。
◯40番(三角公仁隆) それでは、居場所づくり、学習支援の事業効果と課題、今後の方向性についてお尋ねいたします。
◯保健福祉局長(永渕英洋) 事業効果といたしましては、居場所づくりでは、参加者に落ちつきや集中力が出てきた、学習に取り組む姿勢があらわれてきたなどの変化が見られるようになっております。また、学習支援では、高校受験をした生徒全員が合格し、高校進学を果たしております。
 このように、個別の子どもの支援としては一定の成果が出ておりますが、対象者を経済的困窮で限定していることによる貧困のスティグマへの抵抗感など、事業手法としては課題が大きいと認識しております。
 このようなことから、今後の方向性といたしましては、支援が必要な子どもに貧困のスティグマへの抵抗感が生じない形での事業のあり方について検討を進めているところでございます。以上でございます。
◯40番(三角公仁隆) 私は、同種の事業である横浜市の寄り添い型生活支援事業の取り組みをお伺いしてまいりました。生活困窮者自立支援法に基づき、生活困窮の状態にあるなど養育環境に課題があり、支援を必要とする家庭に育つ小中学生などに対して、将来の進路選択の幅を広げ、生まれ育った環境によって左右されることなく、一人一人が基本的な生活、学習習慣を身につけ、自立した生活を送れるよう生活支援、学習支援などを実施する事業です。
 登録制で対象選定を行い、現在157名。支援内容は、手洗い、歯磨きの練習、簡単な調理、食卓の準備、洗濯や掃除などの指導、宿題や復習などを中心とした学習支援や保護者への相談支援です。
 施設は、一軒家もしくは集合住宅の1室、原則週2回。18行政区のうち8区で実施。予算合計は9,000万円です。平成31年度までには全区に実施できるよう検討しているようです。
 対象者選定などにおける情報把握の難しさや、施設が区に1つなので受け入れに限界があることが課題のようでした。
 本市においては、先ほどの答弁にもありましたが、居場所づくりについては、原則として中学校区に居住する世帯として非常に利用しにくい現実があるように私は思います。
 区に1つと考えるなら、通いやすい場所やもっと必要性の高い地域を考えることが必要ではないでしょうか。現状だと福岡市内で3カ所と、かなり限られた取り組みになっているような気がします。また、生活困窮世帯にまで拡大しながらも、その利用がほとんどない現状について対策を講じ、貧困のスティグマへの抵抗にならないような配慮と積極的な呼びかけを要望しておきます。
 学習支援については、現在、西区では定員20人の定員いっぱいになっているようです。高校受験をした生徒全員が合格し、高校進学を果たしているという効果は大変大きいと考えます。この取り組みは現在2カ所ですが、貧困のスティグマに配慮しつつ、各区に1カ所というような拡充ができる手法がないかの検討を強く要望しておきます。
 次に、ふれあい学び舎事業についてです。
 私は28年6月議会で、この事業が子どもの貧困対策に関する大綱において、学校教育による学力保障として、家庭環境や住んでいる地域に左右されず、子どもの学力が保障される取り組みとしての事業の検証と発展的な取り組みを要望しておきました。その後、教育委員会からお聞きして、この事業が全ての子どもたちの学力向上のための取り組みであることは承知しておりますが、どのような取り組みをされているのか、改めてお尋ねします。
 ふれあい学び舎事業については、平成28年度から小学校35校を取り組み重点校とし、教職経験がある地域の方などに学習支援員として児童の学習をサポートしていただきながら放課後補充学習をスタートさせました。対象児童については30名程度、児童本人の希望だけではなく、本事業の目的を踏まえ、学力に課題のある児童に対しても、保護者と相談して積極的な参加を促していくという事業だったかと思います。
 そこで、平成29年度においては何校で実施していらっしゃるのでしょうか。また、平均で何人参加していますか、指導体制は変わらないのか、お尋ねいたします。
◯教育長(星子明夫) ふれあい学び舎事業は、学校が地域や保護者と連携、協力し、放課後に補充学習を行うことにより、児童の学力の向上を図る事業でございます。平成29年度は小学校70校で実施しており、計画的に実施校数をふやしてまいりたいと考えております。
 参加人数につきましては、小学校3年生と4年生を中心に各学校平均して35名でございます。
 また、指導体制につきましては、昨年同様、教職経験者や地域の方が学習支援リーダー、学習支援員として児童の学習指導を行っております。以上です。
◯40番(三角公仁隆) ただいまお聞きしたところ、実施校数が昨年の倍ほどの数に膨れ上がっていますが、この事業の取り組みの成果と課題についてお尋ねいたします。
279 ◯教育長(星子明夫) ふれあい学び舎事業は、授業の復習など補充的な学習を中心に行っており、児童が今までできなかった問題ができるようになるなど、学習に対する理解が深まってまいりました。また、日常の授業とは違う雰囲気の中で、仲よしの友達と一緒に学習したり、一人一人に応じたきめ細やかな指導を受けることで学習意欲が高まり、積極的に学習に取り組むことができるようになりました。その一方で、学力に課題があるものの、放課後学習に参加していない児童もおり、より多くの児童を放課後学習に参加させるための工夫が必要であると考えております。以上です。
◯40番(三角公仁隆) この事業により、学習意欲が高まった、学習内容の理解が深まったといった成果が出ているということですが、それは大変本当にすばらしいことだと思います。
 では、その成果についてどのようにして出ていると判断されたのでしょうか。例えば、テストなどを行って判断されたのでしょうか、お尋ねします。
 また、成果を出すために具体的にどのような工夫や取り組みをされているのでしょうか、あわせてお尋ねいたします。
◯教育長(星子明夫) ふれあい学び舎事業の成果につきましては、小学校3年生は、これまで習った学習内容を繰り返し学習したことで算数のプリントや宿題ができるようになり、基礎、基本がしっかりと定着してまいりました。また4年生は、1学期に実施した学習定着度調査の算数の問題をもう一度2学期の終わりに試験を行ったところ、平均正答率が1学期に比べて6.6ポイント向上いたしました。各学校では算数の電子教材を活用して一人一人に応じた練習問題を作成し、学習させるなどの工夫を行っており、さらには、学習支援リーダーと学習支援員が児童一人一人の課題に応じた1対1のきめ細やかな指導を行っております。これらの工夫と取り組みが成果につながっているものと判断しております。以上です。
◯40番(三角公仁隆) 私は、ふれあい学び舎事業の取り組みをされている東区のある小学校に訪問させていただきました。子どもたちは競い合うように意欲的にプリントをやっていました。また、採点者として協力していただいている地域の方々も、採点している子どもたちとの会話が弾み、例えば、点数は満点やけど、字をもっと上手に書いとったらね、200点満点やったねと子どもたち一人一人に優しくやる気が出る声をかけていただいて、私もすばらしいなと感じました。子どもの学力向上だけではなく、地域の方との触れ合い交流になっているとつくづく思いました。
 また、以前、私が要望し実現した算数、数学に特化した共通教材、学習プリントも活用していただいているようでうれしく思います。今後も活用をお願いしておきます。
 実際に訪問させていただき、現場で子どもたちの様子を見て、この事業はしっかり成果が出るだろうと実感してまいりました。
 そこで、ふれあい学び舎事業について、今後どのように取り組まれていくのか、方向性についてお尋ねします。
◯教育長(星子明夫) ふれあい学び舎事業につきましては、社会全体で子どもを育む共育の観点から、学校が中心となって地域や保護者と連携、協力し、放課後にきめ細やかな補充学習を行うことにより、児童が今までできなかった問題ができるようになるなど着実に成果を上げてまいりました。今後とも、この取り組みをさらに充実させ、福岡市全体の学力を向上させてまいります。以上です。
◯40番(三角公仁隆) このふれあい学び舎事業は、先ほど答弁にあったように、子ども一人一人の学力を向上させることに大きな成果が出ています。現在、70校で実施し、今後は計画的にふやしていくということですが、福岡市の全ての子どもたちの学力を向上させ、そして全ての子どもたちを笑顔にするためにも、全小学校区で取り組むべきだと考えます。ぜひ全小学校区に拡大していただきますよう強く要望しておきます。
 子どもの貧困、孤食、学力保障、居場所づくりは全て関連し合っています。こども未来局では、いわゆる子ども食堂の支援、保健福祉局では子どもの学びと居場所づくり事業、教育委員会ではふれあい学び舎事業に取り組んでいます。このように、子どもたちにとっていろいろな場所があることはよいことですが、連携という面についてはどうでしょうか。例えば、子どもと家庭の状況をよく知っているスクールソーシャルワーカーや新設されたスクールソーシャルコーディネーターが、先ほどの保健福祉局やこども未来局が行っている事業についてもっとよく知り、参加者を拡充するための連携ができるようになれば事業効果がさらに上がるのではないかと私は考えます。
 また、各部局が単独で縦割り的な事業を展開するのではなく、福岡市として子どもの貧困についてどう取り組むのがよいのかを、各部局が横断的に全ての子どもたちの安心と希望のプロジェクトチームとして、副市長と関係局長等で構成する子どもの貧困対策に関する推進本部がありますが、そこでぜひ、こども未来局、保健福祉局、市民局、教育委員会及び区役所が連携して子どもの貧困対策を推進していただきたいと思いますが、御所見をお伺いし、この質問を終わります。
◯副市長(荒瀬泰子) 子どもの貧困対策につきましては、三角議員からの御質問の中にございましたように、子どもたちの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境を整備いたしますとともに、教育の機会均等を図っていくことが重要であると考えております。
 そのため、福岡市といたしましても教育の支援、生活の支援、保護者に対する就労の支援、経済的支援など、さまざまな方面から総合的に施策を推進してまいりました。平成27年度には、ひとり親に対する高卒認定試験合格のための講座費用の助成や保育料等における寡婦控除のみなし適用などを開始するとともに、また、28年度からは、いわゆる子ども食堂への支援やひとり親に対する高等職業訓練促進支援資金の貸し付け、スクールソーシャルコーディネーターの配置などに新たに取り組んだところでございます。
 今後とも、貧困が世代を超えて連鎖することがないよう、引き続き、私をトップに関係部局長で構成しております推進本部を中心といたしまして、関係部局が相互に連携をとりながら、福岡市として子どもの貧困対策はしっかりと推進してまいります。以上です。
◯40番(三角公仁隆) よろしくお願いしておきます。
 それでは、最後の質問項目になります。博多港の機能強化に向けた戦略的な取り組みについて質問してまいります。
 本題に入る前に、まずヒアリ対策についてです。
 ことし6月に兵庫県尼崎市でヒアリが国内で初めて確認されたとの報道がなされて以降、国内各地での発見が相次ぎ、博多港においても7月21日にアイランドシティコンテナターミナルでヒアリが発見され、その後も中国から輸入されたコンテナからヒアリが確認されています。
 そこで、博多港におけるヒアリ対策は具体的にどのように行われているのか、お尋ねいたします。
◯港湾空港局長(中村貴久) ヒアリ対策としましては、コンテナターミナルの関係事業者への注意喚起のほか、コンテナ船から陸揚げされる全てのコンテナに対する目視による外観確認や、コンテナターミナル外周への薬剤散布を実施するなどしっかりと対応しております。今後も環境省や国土交通省と連携しながら、ヒアリの早期発見とターミナル外への拡散防止に取り組んでまいります。また、市民に対しても保健福祉局が中心となって公民館や学校へ注意喚起のチラシを配布しているところであり、今後も関係局区と連携してしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
◯40番(三角公仁隆) 私もコンテナターミナルの現場を見てまいりましたが、ヒアリ対策は水際対策が一番重要であり、しっかり対応されていると感じました。港湾管理者として、今後もしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 それでは、博多港の機能強化に向けた戦略的な取り組みについて質問してまいります。
 本年6月議会において、当会派の浜崎議員が港湾機能の整備促進について質問いたしました。まずは、その際にお伺いした内容について、その後の状況を確認したいと思います。
 平成29年の博多港における国際海上コンテナ取扱量については、6月の答弁では過去最高を上回るペースで推移しているとのことでしたが、現在の状況はどうなのか、お尋ねいたします。
◯港湾空港局長(中村貴久) 博多港における平成29年の国際海上コンテナの取り扱いにつきましては順調に推移しております。7月時点で、過去最高を記録した平成26年を上回るペースで推移しておる状況でございます。以上です。
◯40番(三角公仁隆) コンテナ取扱量については、現在でも過去最高を上回るペースで増加しているとのことですが、これまでにはコンテナ取扱量が増加したことに伴い、コンテナターミナルが混雑し、また、ターミナル周辺で渋滞が発生したこともありました。コンテナの取扱量が増加する中、現在のコンテナターミナルの状況はどのようなものでしょうか。私も先日、コンテナターミナルを見てまいりましたが、そこではコンテナが3段積みもしくは4段積みと高く積み重ねられていました。
 そこで、これら積み重ねられた保管されているコンテナについて、効率的な荷役作業の面からはどの程度が適しているのか、お尋ねいたします。
◯港湾空港局長(中村貴久) コンテナの効率的な荷役作業を行うためには、アイランドシティでは平均3段積み、香椎パークポートでは平均2段積みが望ましいと荷役事業者から聞いております。以上でございます。
◯40番(三角公仁隆) 現在のコンテナターミナルでは何とか対応している状態のようですが、コンテナ取扱量が増加している中、一時香椎パークポートのコンテナターミナルが混雑していたと聞いておりますし、気がかりです。
 そこで、現在の香椎パークポートコンテナターミナルの状況についてお尋ねいたします。
◯港湾空港局長(中村貴久) 香椎パークポートについてのお尋ねです。
 荷役事業者によりますと、効率的に荷役作業ができる状態は平均2段積みと聞いておりますが、平成28年度まではコンテナ取扱量が増加したことにより、香椎パークポートでは常に4段積みの状況でございました。平成29年4月に供用開始したアイランドシティのC2コンテナターミナルの拡張部分を活用し、それまで香椎パークポートに着岸していたコンテナ船の一部をアイランドシティに配船がえするなどの取り組みにより、現在では平均3段積みとなっておりますが、依然として一時的に混雑が発生しやすい状況にございます。以上でございます。
◯40番(三角公仁隆) 香椎パークポートの混雑は若干緩和されたものの、まだ現在も混雑している状況のようです。香椎パークポートに着岸していたコンテナ船の一部をアイランドシティへシフトしたとのことですが、それではアイランドシティコンテナターミナルは余裕があるということでしょうか。
 そこで、アイランドシティコンテナターミナルの状況はどうなのか、お尋ねいたします。
◯港湾空港局長(中村貴久) ターミナル拡張前の平成28年度までは、アイランドシティにおきましては全体的に4段積みであり、混雑が発生している状況でございました。ことし4月にターミナルを拡張したことにより、現時点では平均3段積み程度となっており、混雑が一定程度緩和されております。しかしながら、今後のコンテナ取扱量の増加への対応や、より効率的なターミナル運営のためには、現状のアイランドシティコンテナターミナルにおいても余裕があるとは言えない状況であると認識しております。以上でございます。
◯40番(三角公仁隆) アイランドシティの拡張ヤードが供用したものの、博多港のコンテナターミナル全体としては余裕があるわけではなく、暫定的な措置などやりくりしているのが現状のようですね。とはいえ、福岡市がさらなる飛躍を遂げるためには博多港の発展が必要であり、順調に伸びているコンテナ取扱量をこれまで以上にふやしていくことが肝要だと考えます。博多港の国際海上コンテナ取扱量については、平成28年が約90万TEUですが、平成30年代後半には130万TEUという大きな目標があります。一方で、博多港の背後圏である九州域内で取り扱われている貨物の半数以上が既に博多港を利用している状況と聞いております。今後とも、コンテナ取扱量をふやしていくためには、さまざまな取り組みを行っていく必要があると考えます。
 そこで、博多港の集荷拡大に向けて現在どのような取り組みを行っているのか、お尋ねいたします。
◯港湾空港局長(中村貴久) 博多港の集荷拡大に向けた取り組みにつきましては、国内外における振興セミナーの開催や荷主、船会社等への企業訪問など航路誘致や集荷活動に積極的に取り組んでおり、特に海外につきましては、博多港におけるコンテナ取扱量の多い東アジアや取扱量の増加が著しい東南アジアをターゲットとしております。
 さらに、近年では博多港の特徴的な取り組みとして、荷主企業や物流事業者による博多港の試験的な利用を支援する博多港コンテナ物流トライアル推進事業を実施しております。また、博多港物流ITシステムHiTSの機能強化にも取り組んでおり、利用者に対する博多港のサービス水準を高めることで使いやすい港、選ばれる港づくりを推進し、集荷拡大につなげておるところでございます。以上です。
◯40番(三角公仁隆) ただいまの答弁にありました博多港独自の取り組みとして博多港コンテナ物流トライアル推進事業と博多港物流ITシステムHiTSを上げられましたが、まず、博多港コンテナ物流トライアル推進事業とはどのようなものか、お尋ねいたします。
◯港湾空港局長(中村貴久) 博多港コンテナ物流トライアル推進事業は、新たに博多港の利用を検討しておられる荷主企業や物流事業者に博多港を試験的に活用していただくもので、博多港ふ頭株式会社と共同で平成27年度より実施しております。
 平成27年度及び28年度の2カ年で合計20件のトライアル輸送を実施し、そのうち18件でコストの削減やリードタイム短縮などの効果が確認され、博多港の継続利用につながっておるところでございます。このため、平成29年度も15件のトライアル輸送を実施する予定でございます。
 こうしたトライアル輸送の効果につきましては、結果を博多港利用の物流改善のモデルケースとして、各種セミナーや企業訪問などで他の荷主企業に積極的にPRし、博多港の利用促進につなげてまいりたいと考えてございます。以上です。
◯40番(三角公仁隆) ただいまお聞きしたトライアル推進事業は、博多港の利用による物流改善を検討している荷主企業や物流事業者に博多港の利便性を知ってもらい、博多港の利用増加につなげていく非常によい取り組みであると私は感じました。もっと積極的にPRしてほしいものです。
 それでは次に、博多港物流ITシステムHiTSとはどのようなものか、お尋ねいたします。
◯40番(三角公仁隆) 博多港では、誰でも利用できる情報提供サービスを行っているとのことですが、このシステムを活用することで博多港の利用者にはどういう効果があるのでしょうか、お尋ねいたします。
◯港湾空港局長(中村貴久) 博多港へのコンテナの到着日時など、コンテナの受け渡しに必要な情報を博多港利用者がいつでもどこからでも確認できることで、コンテナターミナルにおけるスピーディーな貨物の搬出入や貨物の輸送に係る定時性の確保などの効果を発揮しており、コンテナ取扱量が増加している現在においても平均15分以内で貨物の受け渡しが可能な状況でございます。なお、荷主企業や物流事業者など利用者の利便性向上のため、スマホ対応機能の追加や日本語、英語、中国語の3カ国語に対応するなど順次機能改修を重ねており、近年は博多港とコンテナの輸出入が行われる海外の港とのIT連携にも取り組んでいるところでございます。以上です。
◯40番(三角公仁隆) ただいまお聞きしたHiTSについては、実際に私もシステムの運用状況について確認してまいりましたが、HiTSの導入によって博多港の利便性が高まっているように感じます。特に渋滞の解消は博多港の利用者だけでなく、市民生活にもかかわる部分も大きく、大きな効果であると思います。また、誰でも利用できるだけでなく、誰もが使いやすいことも重視して機能改修を進めておられるようで、近年では海外連携にも力を入れているとのことでした。
 そこで、HiTSについては、先日、新聞等で9月から上海港との連携を開始すると報じられておりましたが、連携を開始する上海港とはコンテナ物流という点においてどのような港なのでしょうか、お尋ねいたします。
◯港湾空港局長(中村貴久) 上海港は、平成27年のコンテナ取扱量が約3,700万TEUで、世界第1位の取扱量を誇る港でございます。また、博多港にとりましてもコンテナ取扱量が第2位の相手港であり、博多港利用者からIT連携の希望が非常に多かった港でございます。以上でございます。
◯40番(三角公仁隆) 今回の上海港とのIT連携は、博多港利用者にとってどのようなメリットがあるのか、お尋ねいたします。
◯港湾空港局長(中村貴久) 今回の上海港とのIT連携によって、博多港と中国の港の輸出入コンテナのうち、情報確認が可能なコンテナの割合が35%から66%に上昇し、より高度なスケジュールの管理や作業の効率化が可能となるなど博多港利用者の利便性が向上しております。
 なお、現在、上海港におけるコンテナの情報を確認できるのは博多港のみでございますので、世界に先駆けた先進的な取り組みとして積極的にPRしてまいりたいと思います。以上でございます。
◯40番(三角公仁隆) ただいまの力強い答弁に期待したいと思います。
 世界一の港である上海港との連携は、博多港のポテンシャルをさらに高めるものであり、また、他港との差別化を図れる取り組みであると考えます。こうした博多港のアドバンテージを国内外に向けてしっかり発信していただきたいものです。
 博多港の利用促進に向けては、地道な博多港のPR活動の継続に加え、ターゲットを絞った営業活動やトライアル推進事業を活用した独自の集荷活動、選ばれる港づくりのための物流ITシステムの機能強化など目標達成に向けて積極的な取り組みがなされており、今後もコンテナ貨物の増加が期待できそうです。
 また、それらの取り組みに加えて、アイランドシティコンテナターミナルの背後に立地したベジフルスタジアムを生かした農産物の輸出促進にも積極的に取り組まれるとよいのではないでしょうか。
 一方で、基盤施設は貨物の増加に対応できる体制が整っているのでしょうか。6月の答弁では、岸壁2バースに3隻のコンテナ船が同時に着岸する状態がたびたび発生し、船社から寄せられる着岸時間や着岸位置に関する希望に十分応えられず調整に苦慮するなど、岸壁が混雑しているとのことでした。コンテナヤードにおいても、ことしの4月に拡張ヤードが供用したものの、貨物の増加に伴い余裕がない状況のようです。ハード整備には時間がかかります。ソフト面だけでなく、ハード面でも将来を見越して戦略的に取り組むことが必要であり、新たなアイランドシティDコンテナターミナルの整備に早急に着手すべきであると私は考えます。
 また、博多港は日本海側有数の拠点港湾です。将来的に南海トラフ地震や首都直下型地震が発生した場合、太平洋側港湾の代替としての機能を果たすためにも、博多港の港湾施設の整備促進が必要だと強く感じます。
 最後に、博多港の物流拡大に向けた戦略的な取り組みとあわせ、アイランドシティDコンテナターミナルの早期整備に向けた取り組みなど、博多港をさらに発展させていくための市長の思いや考えをお尋ねして、私の質問を終わります。
◯市長(高島宗一郎) 博多港は福岡市のみならず、九州全体の市民生活や経済活動を支えておりまして、発展するアジアの活力を取り込みながら、その重要性はますます大きくなっていくというふうに考えています。このため、アジアに近い博多港の地理的な優位性や、また陸海空の輸送拠点がコンパクトに集積をする交通利便性を生かしまして、利用者から選ばれ、さらに使いやすい港となるように物流ITシステムの拡充などに取り組んでおりまして、ことし9月には、今お話しがありましたとおり、世界一のコンテナ取扱量を誇る上海港とのIT連携を開始したところでございます。また、港湾機能のさらなる強化のためにはアイランドシティD岸壁の早期整備が必要不可欠でありまして、ことしの7月には、私も国交大臣に対して提言を行ったところでございます。
 三角議員御指摘のとおり、博多港をさらに発展させ、そして福岡、九州、ひいては我が国の成長を牽引できるよう、ハード、ソフト両面から活力と存在感に満ちた日本の対アジア拠点港を目指した取り組みをしっかりと進めてまいります。以上です。





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