浜崎 議員の質疑と答弁

◯浜崎委員 みらい福岡市議団を代表し、生活保護制度における住宅扶助の適正な支給、市立体育館の駐車場料金、重度障がい者向けのグループホーム、待機児童問題について質問する。まず、生活保護制度における住宅扶助の適正な支給について、尋ねる。本市で生活保護に要する金額は約800億円に上り、一般会計の約1割を占め、本市財政に重くのしかかる状況が続いている。800億円というのは途方もない金額でなかなかぴんとこないが、福岡都市圏の春日市や大野城市、太宰府市の一般会計予算の合計額が約900億円であることを考えると、この金額がいかに大きいか見当がつく。また、生活保護を受給する方は約4万4,000人で、推計人口で156万人を超える全福岡市民の2.8%に当たると聞いている。必要なコストではあるが、4万4,000人に年間800億円が支給されているため、1人当たりで計算すると約180万円。このような金額を念頭に置きながら、質問を続ける。生活保護は憲法第25条に定める生存権を具体化したもので、全ての日本国民を対象としていることから、ユニバーサルな制度でなければならない。このため、生活保護の実施は住民の福祉をあずかる地方自治体が担うにしても、その財源は国の責任において措置する必要があると考えるが、生活保護費に対する現在の国庫負担割合はどうなっているのか尋ねる。また、どのような根拠で国庫負担割合が決められているのか、あわせて尋ねる。
△保健福祉局長 生活保護費に関する国庫負担割合は4分の3となっており、その根拠は生活保護法第75条に規定されている。
◯浜崎委員 生活保護費に占める本市の負担割合は4分の1ということになるが、それでも800億円のうち200億円を負担している。国に対して生活保護に要する負担割合を引き上げるよう求めるべきと考えるが、見解を尋ねる。
△保健福祉局長 全国市長会や全国指定都市市長会の提言活動において、生活保護費を全額国庫負担とするよう国に要望している。
◯浜崎委員 生活保護制度を国の責任において安定的に運用していくためにも、今後もさまざまな機会を捉えて国に負担を求めていくよう要望しておく。生活保護は国民の命を守る最後のセーフティネットとして機能を担うものであり、必要かつ極めて重要な制度であるというのは論をまたない。一方で、生活保護に要する費用は国民の血税で賄われており、制度の運用に当たっては、国民の信頼と理解が欠かせない。生活保護法では生活保護に関する基本原理が定められているが、改めてその概要を尋ねる。
△保健福祉局長 生活保護法第1条から第4条において基本原理が定められており、その内容は、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長する制度であること、全て国民は、生活保護法の要件を満たす限り、無差別平等に保護を受けることができること、保護は、利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、最低生活維持のために活用することが要件であること、扶養義務者の扶養及びその他の法律に定める扶助は、保護に優先して行われること、である。
◯浜崎委員 それらの基本原理が全ての生活保護の現場に行き渡るような運用を心がけていく必要があると考える。生活保護は、血が通った温かい制度とすると同時に、その財源を税に求めていることから、厳格な運用が求められるが、果たして本市では市民の信頼と理解が得られるような運用が図られているか。本日はとりわけ家賃相当を支給している住宅扶助を中心にただしていく。初めに、本市の住宅扶助費の支給総額に関して、リーマンショックにより生活保護世帯が急増する前の20年度と28年度を比較すると、どう変化しているか。また、同じく生活保護費全体ではどう変化しているか尋ねる。
△保健福祉局長 住宅扶助費の決算額は、20年度が66億9,661万円余で、28年度は121億1,357万円余である。次に、生活保護費全体では、20年度が533億1,621万円余で、28年度は795億1,518万円余である。
◯浜崎委員 20年度と28年度を比較すると、生活保護費全体の伸びは約5割であるのに対して、住宅扶助費は約8割も伸びている。21年度から急増したホームレス状態からの保護申請や単身者の割合がふえていることが背景にあると考えるが、いずれにしろ、住宅扶助費の急増は生活保護費全体を押し上げる結果となっているようである。急増している住宅扶助の適正化について、本市の現状と取り組みを確認していく。まず、住宅扶助の額はどのように定められているのか尋ねる。
△保健福祉局長 保護受給世帯の世帯員の数等に応じて住宅扶助の月額上限額が定められている。この上限額の範囲内かつ実際の家賃の範囲内で住宅扶助を支給している。
◯浜崎委員 具体的な金額を尋ねる。本市の住宅扶助の上限額はどうなっているか。
△保健福祉局長 単身世帯が3万6,000円、2人世帯が4万3,000円、3人から5人世帯が4万7,000円、6人世帯が5万円、7人以上の世帯が5万6,000円である。なお、世帯員に車いすを使用する障がい者がいて、通常より広い居室を必要とする場合などには、上限額を超える特別基準の適用が認められている。
◯浜崎委員 最近インターネットなどで賃貸住宅の情報を検索すると、安価な賃貸物件をしばしば目にする。中には博多区のワンルームマンションで家賃月額1万5,000円、敷金や礼金、権利金なしのような格安の物件もある。本市ではこのような賃貸住宅の実態を調査しているか尋ねる。
△保健福祉局長 保健福祉局としては実態調査を行っていないが、近年、賃貸住宅の契約のあり方が多様化していることは認識している。
◯浜崎委員 賃貸住宅の実態に合った住宅扶助にすべきと考えるが、住宅扶助の金額の上限額は誰が定めるのか。また、近年、上限の見直しは行われたか。
△保健福祉局長 住宅扶助の上限額は、厚生労働大臣により基準が定められている。次に、近年の住宅扶助の上限額の見直しは、27年度に上限額が見直されている。見直しの内容は、まず、単身世帯に関しては3万7,000円から3万6,000円に引き下げられるとともに、住宅の床面積が15平方メートル以下の場合、面積に応じて上限額を減額することとされた。また、2人以上6人までの世帯に関しては一律4万8,000円であったところを4万3,000円から5万円まで、世帯員の数に応じた上限額とされるなどの見直しが行われた。なお、23年度には転居時に支給する敷金等の上限額についても家賃の5カ月分から4カ月分に引き下げられている。
◯浜崎委員 今後も本市の実態に合った住宅扶助の見直しが行われるよう、必要に応じて国に働きかけなどを行うよう要望する。先日、市民から我が会派に電話が入り、偶然電話を受ける機会があった。その電話は、生活保護受給者に対してほかより高い家賃を設定して貸している不動産業者がいるという内容であった。具体的な通報であったので、該当する区役所の保護課に確認したところ、住宅の賃貸借契約に基づき住宅扶助を支給しているとの回答であったが、見解を尋ねる。
△保健福祉局長 民間の賃貸住宅の家賃については、借り主と貸し主間の賃貸借契約により決定されるものと認識しており、契約内容を精査した上で住宅扶助を支給している。なお、保護受給世帯の自立助長の観点から、世帯にとって不利な契約とならないよう、必要に応じて助言を行っている。また、保護受給世帯の希望に応じて優良な賃貸物件の情報を提供するとともに、不動産業者への同行などの支援を行う居住の安定確保支援事業に取り組んでいる。
◯浜崎委員 ホームレス保護申請が急増した時期に、本市においては複数の不動産仲介業者が介在する住宅扶助の不正受給事案が発生し、関係者が逮捕されることがあった。貧困ビジネスとしてマスコミに取り上げられていたのを記憶している。そのような教訓を踏まえて、現在、住宅扶助を適正に支給するため、どのような手続がとられているか尋ねる。
△保健福祉局長 住宅扶助については、賃貸住宅の家主や管理会社による家賃証明書及び賃貸借契約書の提出を求めるとともに、その内容について、家主や管理会社に電話で確認した上で支給している。また、転居の際には、入居後、現地調査を行い、居住の実態を確認しているところである。
◯浜崎委員 住宅扶助の決定や支給に関して適正に支給するための手続は踏んでいるようだが、果たして確実に家賃として支払われているかどうかはわからない。ギャンブルとか遊興費に使い込んでしまうということもあるのではないか。その結果、家賃の滞納が続き、最悪家主から退去を求められることも考えられる。自立を助けるために住宅扶助を支給してもホームレスになってしまっては元も子もない。受け取った住宅扶助を確実に家賃として支払わせる取り組みは行われているか。
△保健福祉局長 住宅扶助の適正使用のための取り組みとしては、住宅扶助を家主や管理会社に直接支払う住宅扶助費の代理納付制度を導入し、その利用を促進している。
◯浜崎委員 家賃とともに共益費なども請求される場合もあるが、住宅扶助費の代理納付の対象となるか。
△保健福祉局長 共益費は生活扶助費の中で賄うものであるため、住宅扶助費の代理納付制度の対象外となっている。一方で生活保護法施行規則の改正により、共益費も代理納付の対象とされたことから、生活保護システムを改修するなど、今年度中に共益費の代理納付を導入するための準備を進めているところである。
◯浜崎委員 本日は住宅扶助の現状と適正化の取り組みについて尋ねたが、さまざまな工夫もあった。今後もこのような取り組みを継続して、さらなる適正化を図ってもらいたいと考えるが、所見を尋ねてこの質問を終わる。
△保健福祉局長 生活保護は憲法第25条に規定する理念に基づき健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的とする制度である。その財源は指摘のとおり税に求めていることから、市民の理解と信頼が得られるよう、不正を排除するなど適正に運用していく必要があると考えている。今後も住宅扶助に限らず創意工夫した取り組みなどを通じて、生活保護の適正化に努めていく。
◯浜崎委員 次に、市立体育館の駐車場料金について尋ねる。平成23年12月と平成24年9月議会で公共施設利用料適正化として、区役所などの駐車場において目的外利用者の排除や駐車場の有効利用の観点から駐車料金を徴収すべきと議会質問をしたが、その後、市民が利用するさまざまな施設において駐車場が有料化されている。そこで、まず多くの市民の利用があり、既に有料化を実施している公園の駐車場にかかる、28年度決算における駐車場料金の徴収額を尋ねる。
△住宅都市局長 公園における有料駐車場については、28年度末までに雁の巣レクリエーションセンターや舞鶴公園など9つの公園駐車場を有料化しており、28年度の収入額は合計で1億4,190万円余である。
◯浜崎委員 駐車場料金や割引はどのような設定となっているか尋ねる。
△住宅都市局長 公園駐車場の料金については、公園の利用形態や立地に応じて、時間単位で設定しているものと、1回当たりで設定しているものがある。例えば、時間単位で設定している西部運動公園では、普通車1台1時間当たり100円で、1日の上限額を300円としている。また、1回当たりで設定している雁の巣レクリエーションセンターについては、普通車1台1回当たり300円としている。次に、割引などの設定であるが、施設利用者のうち市内在住で療育手帳、身体障害者手帳、または精神障害者保健福祉手帳を持つ方は料金の全額を免除するほか、一部の公園では送迎のための一時駐車などについて、施設の規模に応じ入庫後一定時間を無料としている。また、雁の巣レクリエーションセンターや西部運動公園などでは頻繁な利用などを考慮し、300円券10枚つづりを2,000円で販売する回数券割引を実施している。
◯浜崎委員 割引サービスとして、公園では雁の巣レクリエーションセンターや西部運動公園では回数券がある。次に、区役所の駐車場については、適正な利用による市民サービスの向上及び有効活用を図るため、民間に貸し付け、有料化を図っていると聞くが、28年度決算において区役所駐車場の貸付金額を尋ねる。
△市民局長 区役所駐車場については、博多区、南区、城南区、西区の4区役所で駐車場を民間に貸し付けており、区役所駐車場の貸し付けによる収入額については、28年度は合計で967万円余となっている。
◯浜崎委員 駐車料金の割引はどのような設定となっているか尋ねる。
△市民局長 区役所を利用した方の駐車料金については、手続にかかった時間として、原則90分までの駐車料金を減免することとしている。また、区役所の開庁日の8時から18時までは来庁者以外の利用者を抑制するため、周辺の駐車場より料金を高く設定するよう民間と貸付契約を締結している。例えば、博多区役所では30分300円で最大料金の設定はない。区役所が閉庁している時間については、周辺駐車場と同程度の料金が設定されている。例えば、博多区役所では60分200円で最大料金は1,000円である。
◯浜崎委員 公園や区役所の駐車場を有料化したことによる効果はどう考えているか尋ねる。
△住宅都市局長 公園駐車場を有料化したことによる効果については、有料駐車場のある公園の利用者を対象としたアンケートの中で、公園利用者以外の駐車が減り、駐車場が利用しやすくなった。また、ごみやたばこの吸い殻が減り、駐車場がきれいになったなどの声があり、公園の適正利用につながっていると認識している。
△市民局長 区役所の駐車場を有料化したことによる効果については、区役所に用件のない方の利用が抑制され、来庁者が駐車場を利用しやすい状況になったことや、区役所閉庁時の駐車場の有効活用による一定の歳入確保ができたことなどがある。
◯浜崎委員 駐車場を有料化することで、公園や区役所では目的外の駐車が排除され、施設の本来の利用者が安心して使える状況になるなど、効果が上がったと思う。平成29年3月議会で、各区の地区体育館や市民センター、地域交流センターについて新たに駐車場を有料化するという条例改正がなされ、10月から順次有料化されることになっている。各区の地区体育館などで駐車場の有料化を導入する目的を尋ねる。
△市民局長 体育館等の駐車場有料化の目的については、まず、施設利用者以外の駐車を抑制し、施設利用者が駐車場を利用しやすい環境を整えることと考えている。また、受益者負担の適正化を図る観点から、駐車場利用者に応分の負担をしてもらうことで負担の公平性を図るとともに、一定の歳入を確保し、施設の管理費や改修費用の一部に充てたいと考えている。
◯浜崎委員 各区の地区体育館などの駐車場料金はどのような設定となっているか尋ねる。
△市民局長 10月2日から駐車場の有料化を開始した東市民センター、西市民センター、博多南地域交流センター、西部地域交流センターの4施設の駐車場料金については、施設利用者は60分当たり100円で上限が300円、施設利用者以外は60分当たり500円で上限はない。地区体育館については、今後規則を改正し、駐車場料金を定めていくこととしており、市民センターと同様の料金を考えている。
◯浜崎委員 各区の地区体育館などで駐車料金の割引や無料サービスなどがあるか尋ねる。
△市民局長 10月2日から駐車場の有料化を開始した4施設については、施設利用者は入庫から最初の60分までの駐車場料金を減免することとしている。また、施設利用者のうち市内在住で療育手帳、身体障害者手帳、または精神障害者保健福祉手帳を持つ方は、料金全額を免除することとしている。
◯浜崎委員 割引や無料サービスとして、市民センターや地域交流センターでは施設利用者が入庫から最初の60分の料金が減免されるほか、市内居住の身体障がい者の方や精神障がい者の方などが全額減免される。公園では頻繁な利用を考慮し回数券を販売しているが、各区の地区体育館などをよく利用する方から配慮を求める声はなかったか尋ねる。
△市民局長 体育館や地域交流センターを頻繁に利用する方からの意見については、利用した際の駐車場料金については割引制度を設けるなど柔軟に考えてほしいといった意見もあっている。
◯浜崎委員 施設の利用に対し、応分の負担をしてもらうという考え方はとても重要なことだと思う。答弁にあったように、施設をよく利用する方から配慮を求める声もあるようだが、その中には高齢者も多数含まれるのではないかと考える。保健福祉局の取り組みで健康寿命を延伸する取り組みが行われているが、その舞台となるのが体育館である。地元のさざんぴあ博多にあるトレーニング室にたまに行くが、夕方に行くと、若い方もたくさんいるし、高齢の方も多くトレーニングをしている。利用料は、一般の方は2時間260円、65歳以上は無料である。また、県の施設であるアクシオン福岡のトレーニング室にも行くが、ここは器具も多く、また湯船とサウナがあり、多くの利用者でいつもにぎわっている。毎回個人の記録簿に血圧、体重、何を何回行ったか記録するので、自分がここに何回来たのかわかる。多くの方が2,000回や3,000回と、オープン当初から毎日のように利用しているとのことであった。ある方は本当に病院知らずで、医療費と介護費に貢献をしていると胸を張って言われる。利用料は、一般が2時間410円と少し高目、65歳以上は無料であるが、ロッカー代として50円、駐車場は無料である。先日、ある高齢者の方からメールがあった。この方は、8月1日発行の市政だよりの各市民センターなどの駐車料金が有料になるという記事を見て、なぜ有料になったのかをネットで調べた結果、私の議会質問が発端だということで私にメールしたとのことであった。この方いわく、区役所や市民センター、図書館などは表記のとおり、入庫から60分は無料、120分まで200円、120分を超えたら最大300円、施設利用者以外は60分500円、これでいいと思う。しかし、体育館利用は個人利用が2時間単位になっている。その方は団体利用で卓球をしていて、団体利用は4時間となるので、必然的に駐車料金は上限の300円になるとのことである。高齢者がスポーツに励んで健康寿命を延ばしているのにということであった。利用実態に即した料金設定が必要なのではないかということである。この方が言うことも一理あると思う。団塊の世代が75歳になる2025年、75歳以上の国民1人当たりの医療費は2012年の89.2万円から134万円に増加、1人当たりの介護給付費は2012年の46.1万円から83万円に急上昇する推計が出ている。さて、少子高齢化への対策はいろんな角度から見つめていかなければならず、利用しやすい環境づくりが大切になる。最後に、繰り返しになるが、施設利用に対する応分の負担は重要である。まだ始まったばかりの制度ではあるが、区の体育館の駐車場料金の設定について何らかの手だてを検討するよう要望してこの質問を終わる。次に、重度障がい者向けグループホームについて尋ねる。障がい者グループホームは、障がいのある方が地域のアパートや戸建て住宅などで家庭的な環境の中で支援を受けながら共同生活を送る住まいであるが、障がい者や介護者の高齢化や、親亡き後の生活不安に対応するため、地域での居住の場である障がい者グループホームの設置促進は大変重要であると考える。特に重度の障がいを抱えた方の地域生活の場の確保については喫緊の課題であると考える。そこで、本市の障がい者グループホームの設置促進の現状について尋ねるとともに、重度障がい者のグループホームへの入居促進に向けた施策の充実について所見を尋ねる。まず、本市における障がい者グループホームの設置数及び定員は5年前と比べてどうなっているか。
△保健福祉局長 本市内に設置されている障がい者グループホームについては、23年度末は71カ所、定員が415人で、28年度末は115カ所、661人となっており、設置数は44カ所、定員は246人増加している。
◯浜崎委員 次に、本市における障がい者グループホーム設置促進事業の28年度の決算額とその主な内訳について尋ねる。
△保健福祉局長 28年度の障がい者グループホーム設置促進事業の決算額については、合計で4,728万4,000円余となっており、主な内訳は、グループホームの創設や大規模改修を対象とする国の施設整備補助金として3,733万7,000円、グループホーム開設時の備品購入や消防用設備の整備に対する本市独自の設置費補助金として990万1,000円余となっている。
◯浜崎委員 障がいのある方が地域で安心して生活していくための居住の場であるグループホームについては、障がいの程度が軽度の方から重度の方までさまざまな方が入居しているが、重度障がい者が利用できるグループホームは不足していると聞く。現在自宅で介護を受けながら生活をしている重度の障がい者は、介護者の高齢化や介護者が急病などの場合に地域での生活が継続できなくなる不安を日々抱えている。重度障がい者が入居できるグループホームの設置は待ったなしと考えている。そこで、市内の重度障がい者のグループホームの入居の現状について尋ねる。まず、グループホームに入居している方の人数と、支援の度合いを示す障がい支援区分ごとの内訳はどうなっているか尋ねる。
△保健福祉局長 障害支援区分については、障害者総合支援法に基づき、障がいの多様な特性や心身の状態に応じて必要とされる標準的な支援の度合いを総合的に示すもので、区分1から6まであり、区分6が最も支援を必要とされるものである。利用人数については、28年度末現在、本市市民が市外のグループホームを利用することも含め、1月当たり800人であり、その内訳は、区分1が14人、区分2が153人、区分3が144人、区分4が112人、区分5が70人、区分6が60人、区分なしが247人となっている。
◯浜崎委員 本市市民のグループホームの利用者は市内、市外のグループホームを合わせて800人ということだが、そのうち支援の必要性が高い、いわゆる重度障がい者と思われる障害支援区分5と6の方は合計で130人いるようである。先ほどの答弁では28年度末時点で市内のグループホーム115カ所があり、定員は661人とのことだが、市内のグループホームにおける重度障がい者の受け入れ状況はどうなっているか。本市内のグループホームにおいて重度障がい者と思われる障害支援区分5と6の方の受け入れを行っているグループホームの数と受け入れ人数について尋ねる。
△保健福祉局長 本市が支給決定した障害支援区分5と6の障がい者を受け入れているグループホームは、28年度末現在で市内に28カ所あり、受け入れ人数は50人となっている。
◯浜崎委員 市内のグループホームの数115カ所に対して重度障がい者を受け入れているグループホームは28カ所、定員661人に対して受け入れは50人とのことである。重度障がい者が入居するグループホームは大変少ないという印象を受ける。なぜ重度障がい者のグループホームの入居が進んでいないのか。グループホームを運営している事業者になぜ重度障がい者の入居が進まないのか聞くと、現行の報酬体系では人員の確保が難しい、業務内容に見合った報酬制度になっていないとの声を多く聞く。重度障がい者のグループホームへの入居が進まない理由は、人材確保の問題や報酬の問題に加え、入居する重度障がい者の夜間の支援体制の問題もあるように思う。障がい者グループホームの現行の人員配置基準では、特に夜間における重度障がい者への十分な支援は困難と思われる。職員を加配し、世話人や生活支援員、夜勤職員を正規職員として雇用できる水準にまで報酬を引き上げる必要があると思う。横浜市のある障がい者グループホームでは、精神科病院を退院した高齢の障がい者が手厚い看護、介護を受けて地域生活を送っている。それが可能なのは、横浜市が独自に年間1,500万円の補助金を上乗せ支給しているからである。本市では重度障がい者向けグループホームは少なく、設置を求める声は大きいと考えられる。そこで、本市でも独自の助成制度を創設することなどにより、重度障がい者向けグループホームの設置促進に努めるべきではないかと考えるが、所見を尋ねる。
△保健福祉局長 障がい者やその家族の切なる願いである親亡き後の支援を一層進めるためには、障がい者が地域で安心して生活できるよう、グループホームの設置促進は重要であると認識している。設置促進に当たっては、障がいに応じた支援を行うことができる人員配置とそれに見合う報酬体系の整備が重要であり、来年度、国により障がい福祉サービスの制度見直しと報酬改定が予定されていることから、その状況を踏まえ、引き続き重度障がい者の受け入れも含めたグループホームの設置促進に取り組んでいく。
◯浜崎委員 現在、障害者総合支援法の制度見直しに向け、国においてさまざまな検討が行われているが、来年度には障がい福祉サービスの報酬改定も予定されている。また、障がい者の地域移行の受け皿となるグループホームについて、重度障がい者の入居に対応することが可能なように、世話人の配置が手厚い重度対応型グループホーム制度を新設するとの話もある。本市においても、国の制度改正を待つだけでなく、障がい者の高齢化、重度化に対応するため、また重度の障がいを持った方が親亡き後も地域で安心して生活できるよう、本市独自の補助制度を新設するなど、重度障がい者向けのグループホームの設置促進に積極的に取り組むよう強く要望して、この質問を終わる。次に、待機児童問題について尋ねる。本市の未来を担う子どもたちの成長を支える環境を我々はしっかりと整えていく必要がある。その一つとして保育所の待機児童問題は早急に解消しなければならない問題だというのは今さら言うに及ばずである。そこで、保育所整備にかかる過去3年間の整備数と決算額を尋ねる。
△こども未来局長 26年度は1,962人分の保育所等の定員増で、決算額は48億9,300万円余、27年度は1,561人分の定員増で、決算額は32億3,500万円余、28年度は1,838人分の定員増で、決算額は30億2,000万円余となっている。
◯浜崎委員 ことし4月と今現在の待機児童数を尋ねる。
△こども未来局長 ことし4月1日現在で89人、直近7月1日現在で274人となっている。
◯浜崎委員 本市の資料で最も保育所が必要で優先順位が高い地域は博多駅周辺、天神、舞鶴、大濠、唐人町、六本松、平尾など中央区がA地域、それからB、C、Dと続くが、結局は地価の高いAやB地域に待機児童が多いわけで、このA地域、ここで土地を買って建てるのはもう不可能に近いのではないか。ずしっと土地代が運営にのしかかってくるはずである。代替策として借地も認め、地上権や賃借権を設定し登記すればいいとあるが、本市の公募要項を見ると、土地賃借料がその周辺地域の適正額以下で契約することと、足を引っ張るような文面もある。この項目は本当に必要なのか、尋ねる。
△こども未来局長 従来の国の基準では、社会福祉法人が保育所を設置する場合には、原則として物件の所有権を有している必要があったが、平成12年の国通知により、既設法人の場合には民間から不動産の貸与を受けて保育所を運営することができるようになっている。その際の要件として、賃借料が地域の水準に照らして適正な額以下であることなどが必要とされていることから、本市の公募要項においても同様の要件として定めているものである。
◯浜崎委員 既存建物、いわゆる空きオフィスを賃貸しての活用も認められている。原則は賃借権を設定、登記することとなっているが、10年以上の契約か、住宅公社か、基幹的交通事業者等の信用の高い会社との契約なら登記しなくてもよいとある。内装代など総額の4分の3が補助されるので当然だが、今からは、賃貸物件を駆使しないと待機児童問題は解消されないと感じている。その要件の施設最低基準の中に、屋外遊技場が2歳以上の児童数1人当たり3.3平方メートル以上とあるが、どれほどの屋外遊技場を求めているのか、その要件を尋ねる。また、この条件が開設の妨げになっていないか尋ねる。
△こども未来局長 保育所の屋外遊技場、いわゆる園庭については、厚生労働省令で2歳以上の児童1人につき3.3平方メートル以上が必要とされており、例えば2歳児以上の児童を80人受け入れる場合には264平方メートルの園庭が必要となる。国の基準においては、敷地面積に余裕がない場合などは、付近の公園などを利用することも可能となっている。本市では園庭が子どもの心身の健康の基礎を培う上で重要であることに配慮し、必要面積の8割以上は保育所内の敷地内に確保するよう保育所園庭に関するガイドラインで定めているが、土地の確保が難しい中央区においてはその要件を緩和している。
◯浜崎委員 申し込みから開園までの流れを見てみたいと思う。まず、前の年の10月から次の4月下旬まで、数回に分けて募集があり、開設予定地の立地や平面図、資金計画や運営計画、施設長予定者などについて事前協議することとなっている。ことしでいえば、4月下旬に募集した分については6月9日までに応募書類を提出、6月、7月の専門部会で審査、ヒアリング、7月に決定、厚労省と補助金の協議の上、8月上旬に内示を通知、土地ならここから建築に入り、賃貸物件なら内装工事に入り、4月に開園する。A地域の賃貸物件でこんなに待ってくれる家主はいないのではないか。
△こども未来局長 A地域に位置づけた博多駅周辺及び中央区内においては、ことし4月に8園が開所できたところであるが、このうち7園については土地を賃借した上で開所に至ったものである。
◯浜崎委員 土地の賃借で7園とのことだが、どの園も大変苦労して開園までこぎつけたというのが実態だと思う。保育の質を確保するために慎重な認可はとても大切だが、一般企業は賃貸借契約を締結するスピードなど、世の中の状況とずれが生じていたらうまくいかないのではないか。不動産は手付が命ともいわれている。このタイムスケジュールでは進みにくいと感じるが、所見を尋ねる。
△こども未来局長 保育所の公募においては、福岡市こども・子育て審議会の教育・保育施設等認可・確認専門部会における審査や、交付金に関する国との協議のために一定の期間は必要となる。一方で、指摘のとおり、事業者が物件を確保するための便宜も考慮して、公募期間の短縮や公募の回数をふやすなどの見直しを逐次行ってきている。今後とも保育所等の円滑な整備が進むよう、手続の見直しに努めていく。
◯浜崎委員 待機児童解消に向け、違う角度から尋ねる。認定こども園の制度があるが、子ども・子育て支援制度の施行にあわせ全国でも多くの幼稚園や保育園が移行している。認定こども園とはどのような施設か尋ねる。また、認定こども園が多くできたら、待機児童問題は解消されるか尋ねる。
△こども未来局長 認定こども園は就学前の子どもに教育と保育を一体的に提供する施設で、地域における子育て支援を行う機能をあわせ備えたものとされている。また、幼稚園が保育機能を備えて認定こども園に移行する場合には、一部保育需要の受け皿となることから、待機児童の解消に一定程度寄与するものと考えている。
◯浜崎委員 ことし5月に県が出した資料では、県内に94施設が認定こども園として認可を受けている。しかしながら、本市はまだ5件である。場所は、西区大字飯氏、同じく西区今宿、西区橋本、南区老司、そして中央区の荒戸。待機児童解消という観点から見ると、残念ながら先ほど言ったA地域では荒戸の1件だけである。なぜ移行が進まないのか尋ねる。
△こども未来局長 本市においても幼稚園から認定こども園への移行を促進するために説明会を毎年行っているが、移行に際しては保育機能を備える必要があるため、調理室を新たに整備したり、施設の開園時間を大幅に延長する必要があり、また、それに伴いこれまで以上に職員を採用することなどが必要となっている。さらに現状で定員を充足している場合には、新たに保育が必要な園児を受け入れる余裕がないこと、教育を旨とする建学の精神を持つ法人の場合にはそれとの整合を図る必要があることなど、各園において検討が必要な各種の課題があるためと考えている。
◯浜崎委員 例えば事務作業など、今までの2倍の作業が起こり得るものなのか尋ねる。
△こども未来局長 幼稚園を経営する学校法人が幼稚園型認定こども園に移行し、学校法人会計基準により計算書類を作成する場合については、幼稚園型認定こども園を一つの部門として取り扱うこととされていることから、事務作業において2倍の負担がかかることはないと考えている。
◯浜崎委員 なぜ幼稚園型が進まないのか。都心にも幼稚園がある。そこが保育機能を持てば一定数の待機児童解消になると思うが、それだけ費用面や人的な部分がクリアにならないのではないか。場合によっては、本市は少しの加担で待機児童問題を軽減できることもあり得るのではないか。今後に期待したいと思う。次に、全国の大都市ではバス送迎を使ったサービスが増加していると聞く。これは駅のそばに行政が送迎保育拠点という、例えば駅前のマンションの1室や空き店舗に拠点をつくり、そこで子どもを預かり、20分、30分離れた各保育園へバスで向かうというものである。駅から離れている整備しやすい場所に、新たな保育園をつくり、預ける親は行きやすい最寄りの駅近くの拠点に行けばよく、これなら本市の場合の地価の高い地域の希望者のニーズに応えることができるのではないかと感じる。また、東京都江東区では、交通のよい場所にある既存の保育園が郊外に分園をつくり、定員をふやして、そこにバスで送迎することも認めている。このような取り組みでもしない限り、永遠に待機児童解消には至らないと思うが、今後の取り組みについて尋ね質問を終わる。
△こども未来局長 待機児童の解消については、用地の確保が困難な都心部における事業者の応募を誘引するため、27年度から地域を限定した保育所等の公募や、28年度から中央区における園庭要件の緩和、また国家戦略特区制度による都市公園の活用など、工夫を凝らして保育所等の整備を進めてきた。さらに、28年度からは国の施策とも連動し、企業主導型保育事業のPRや事業化の支援にも取り組んできた。今後とも増加し続ける保育ニーズに的確に対応するため、多様な手法により保育所等の整備を推進していく。





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