国分 議員の質疑と答弁

◯46番(国分徳彦)登壇 私は、みらい福岡市議団を代表して、災害時に緊急派遣される消防隊員の非常用食料について、高宮南緑地及び旧高宮貝島家住宅の活用について、民生委員の活動しやすい環境づくりについて、以上3点について質問してまいります。当局の明快な回答を期待いたします。
 まず、災害時に緊急派遣される消防隊員の非常用食料についてお尋ねします。
 ことしの7月5日から、記録的な豪雨により甚大な被害をもたらした九州北部豪雨災害では、福岡県と大分県を合わせて38名ものとうとい命が失われ、今なお3名の行方不明者が発見されていない状況です。
 気象庁の発表によると、この記録的な大雨は、九州北部に停滞した梅雨前線に向かって暖かい湿った空気が流れ込み、福岡県と佐賀県にまたがる脊振山地にぶつかって、次々に積乱雲が発生し、線状降水帯と呼ばれる帯状の雨雲が長時間同じ地域にかかり続けたことによるものです。
 福岡県では7月5日だけでも、朝倉市や東峰村などで、午後1時半から約7時間の間に15回もの記録的短時間大雨情報が発表され、福岡、大分両県には、数十年に一度の降雨量が予想される場合に出される大雨特別警報が発表されております。最も被害が大きかった朝倉市においては、最大24時間降水量が545ミリとなり、平年の7月一月分の降水量を超えるなど、気象庁による観測史上1位を更新する記録的な豪雨となりました。
 このとき、被災地では川の支流が瞬く間に激流に変貌し、橋が流されたり、道路が埋没するなどの被害が市内で約400カ所も発生しており、多くの住民が孤立し、生命に危険を及ぼしかねない状態に長時間さらされておりました。
 このような状況において、被災地から福岡市に対し、人命救助などの消防活動のための応援要請があり、福岡市消防局からは、朝倉市、東峰村、大分県に合わせて延べ約1,000名の消防隊員を派遣し、活動を行っております。最初に派遣された消防隊員の中には、降りしきる大雨の中、川の氾濫により隊員自身も危険にさらされながら、孤立した住民の救助活動を行っており、一昼夜、食事もとることができずに活動を続けていたと聞いております。
 また、近年の災害を顧みると、平成26年8月には、広島市北部の住宅地を襲った大規模な土砂災害、同年9月には、58名もの死者が発生した長野、岐阜両県にまたがる御嶽山の火山噴火災害、28年4月には、震度7が2回も観測され、死者200名、重軽傷者2,500名を超える広範囲で甚大な被害をもたらした熊本地震、同年12月には、発生から約30時間も燃え続けた新潟県糸魚川市の火災など、全国各地において大規模な災害が発生しており、被災地になった自治体から緊急消防援助隊の応援要請を受けて、消防隊による活動が行われております。
 言うまでもなく、人命救助を行うためには一分一秒の一刻を争う迅速性が最も重要となりますので、最低限必要な食料などの十分な準備を整える余裕などない中で、被災地に向けて出発しなければならないわけです。例えば、自衛隊においては、日ごろから有事への対応のために、飲み物や缶詰など一定量の食料を備蓄されており、緊急で災害派遣を行う場合、派遣する隊員に食料を持参させるなどの体制が組織的に構築されております。消防局においては、緊急消防援助隊として他県へ消防隊を派遣する場合の隊員の食料などは、消防署などに非常用として備えておくべきではないでしょうか。
 そこで、応援要請があった場合には、必要な資機材の装備とあわせて最低限の食料を用意し、迅速に出動ができる対策が必要であると思いますが、本市の現状についてお尋ねします。
 以上で1問目の質問を終わり、2問目からは自席にて行います。
◯消防局長(山下周成) 緊急消防援助隊として他県へ出動する場合につきましては、福岡県内の消防機関が福岡県大隊として編成されることから、福岡県が福岡県生活協同組合連合会と食料の供給について協定を結んでおり、その手配をすることとなっております。
 しかし、迅速に出動しなければならない消防隊員の非常用食料につきましては、組織的な備蓄は行っておらず、日ごろから個々の消防隊員が自主的に食料などを準備し、迅速な出動に対応しているところでございます。以上でございます。
◯46番(国分徳彦) 福岡市では、熊本地震の被災地支援で得た知識や経験を踏まえ、福岡市地域防災計画の見直しを進められております。熊本地震では、交通の寸断等により、国などからの支援物資が届くまでに3日間を要したため、公的備蓄を拡充するとともに、日ごろから家庭や企業においても必要な物資を備蓄することが重要であるとし、9月1日の防災の日から1週間を備蓄促進ウイークと定め、市民の防災意識の高揚に努めているところです。
 あわせて、他都市から応援に来ていただく職員については、自分たちで食料などを持参してもらう自己完結の取り組みをお願いするなど、他都市に比べても、本市は災害発生時の対策が進んでいると思います。
 また、消防局においては、福岡都市圏にある5つの消防本部の指令センターを一本化し、119番通報を全て受け付ける福岡都市圏消防共同指令センターの運用が開始されております。これにより、福岡都市圏内で災害が発生し、119番通報が集中した場合でもつながりやすく、災害状況をいち早く把握することができるため、自治体から応援要請を受けた際には、迅速に対応することが可能になっております。
 以上のとおり、本市においては、防災、減災対策を初め、火災などの災害が発生した際の消防対策について、さまざまな対応が講じられていると思いますが、一方で、他県で発生した災害に緊急派遣する際の消防隊員への非常用食料などの準備については、さらに充実していく必要があるのではないかと思います。先ほどの答弁では、災害発生時に派遣される隊員の非常用食料は、組織的には準備していないとのことでした。
 そこで、少なくとも食料の供給体制が万全に整うまでの対応として、最初に派遣する消防隊員の非常用の食料を日ごろから組織的に準備しておき、出動時に持参できる体制を構築する必要があると思いますが、今後の取り組みについて御所見をお伺いします。
◯消防局長(山下周成) 応援要請直後に、最初に派遣する消防隊員につきましては、情報が錯綜する中、食料の供給体制が整うまでの間も過酷な災害現場で長時間活動することなどが求められることから、人命救助活動などに全力で従事できるよう、非常用食料の確保は大変重要であると考えております。
 現在は、消防隊員が個々に日ごろから準備している食料などで対応しておりますが、より万全を期すため、議員御指摘のとおり、非常用食料を組織的に準備しておく体制を構築することについて、他都市の制度などを調査し、関係局と協議を進めつつ、実現に向けて取り組んでまいります。以上でございます。
◯46番(国分徳彦) 大規模災害が発生した場合、被災地は先進的な取り組みを進めている福岡市からの助けをいち早く望んでいます。消防局以外の職員が行う避難所運営やライフラインの復旧などの災害支援の活動に当たっては、被災地で安全な支援活動ができる状況を確認した上で、支援に必要な資機材や派遣職員の食料などの準備を十分に行い、万全の体制で職員を派遣していると思います。
 一方、いち早く人命救助を行わなければならない消防隊員は、応援要請があれば直ちに準備を行い、1時間程度で派遣しなければならず、行政の各部署の中でも特にスピード感が求められます。災害が発生している現場の最前線で昼夜を問わず救助活動を行う消防隊員が、安心して安全な活動ができる環境をぜひ整備していただきたいと思います。体力が消耗してしまっては、完璧な活動ができなくなるだけではなく、隊員みずからも危険な状況に陥るおそれもあります。非常用食料などの準備については、さまざまな工夫を行い、早期に実現してもらいたいと思います。また、非常用食料を公費により準備することについては、他都市の事例も調査を行い、関係部署とも十分に調整し、協議を進められるよう要望して、この質問を終わります。
 次に、高宮南緑地及び旧高宮貝島家住宅の活用についてお尋ねします。
 旧高宮貝島家住宅が所在する場所は、西鉄高宮駅から徒歩でわずか5分ほどの場所に位置し、その広大な敷地は周りが厚い樹林で囲まれております。外部からは敷地の内部の様子がうかがえない状況になっていますが、その樹林の奥にある建物が、近代の炭鉱業隆盛期に筑豊御三家と言われた貝島一族の邸宅で、市内有数の近代和風建築であり、大変価値があると伺っており、私も一度拝見させていただきました。
 建物は一部が解体され、傷みがあるものの、木造平家の建物内部には、鳳凰を描いた欄間や細部まで凝ったデザインの天井など工夫が凝らされており、100年前の往時をしのぶ面影が至るところに見られます。これらは福岡市にとって大変貴重な資産であり、私は、工夫次第でいろんな活用ができると考え、これまでも議会で何度か活用案を提案し、その見通しについてお尋ねしてまいりました。
 そこで、現在、市はどのような活用を想定しているのか、お尋ねいたします。
◯住宅都市局長(光山裕朗) 高宮南緑地につきましては、南区の高宮五丁目に位置し、約1.9ヘクタールの敷地に、地域のシンボルである豊かな緑と築100年以上の歴史を有し、平成29年6月に福岡市登録文化財として登録された旧高宮貝島家住宅がございます。福岡市では、この都市の貴重な緑の空間を保全するため、特別緑地保全地区として用地を取得し、寄附を受けた歴史的建築物を活用して、市民を初め、多くの来訪者の皆様に喜んでいただけるおもてなしや交流、癒やしの場となるような魅力的な公園の整備、運営を目指してまいりたいと考えております。
 具体的な施設や活用のイメージにつきましては、歴史的建築物を活用した日本文化の体験や、来訪者をもてなしたり、国際会議などMICE開催時のレセプション会場となるような施設、また、市民がくつろぎながら落ちついて利用できる飲食施設や、自由に鑑賞、散策でき、緑と歴史を楽しめる庭園などを想定しております。以上でございます。
◯46番(国分徳彦) 旧高宮貝島家住宅を含む周辺の住宅地は、平成21年度に多賀一丁目・高宮五丁目地区地区計画として都市計画が決定されています。周辺住民が中心となって住環境を守っておられ、この旧高宮貝島家住宅を含む樹林地が、そのシンボルとして位置づけられています。当該地にゆかりのある方や愛着を持っておられる方も多く、本事業に対する住民の期待の声を聞く一方で、心配の声も耳にしております。
 私も、これまで地域に喜ばれる公園として早急に整備し、一般公開されることを要望してきたところです。しかし、当局から聞いていた完成時期を過ぎても、いまだ整備には至っておりません。地域からは、随分前から公園ができると聞いているが、ずっと放置されている。樹木が鬱蒼と茂り、暗くて怖い、防犯上からも早く整備を進めてもらいたいといった声が上げられております。
 そこで、これまでの取り組み状況とおくれている原因についてお尋ねをいたします。
◯住宅都市局長(光山裕朗) 高宮南緑地につきましては、用地取得を完了後、旧高宮貝島家住宅の保存、活用に向け、平成27年4月に施行されました福岡市歴史的建築物の保存及び活用に関する条例に基づき、保存活用計画を策定し、歴史的価値を保全しながら、多くの市民に活用いただける方策を検討してまいりました。
 また、魅力的な整備、運営を図るため、民間の資金や運営ノウハウを導入することとし、多くの事業者に魅力的な提案をいただけるよう、さまざまな民間事業者の意見を聞きながら、事業スキームを検討しているところでございます。これらの検討に時間を要し、地域の皆様には御心配をおかけしておりますが、多くの市民や来街者などに親しまれる施設となるよう取り組んでまいります。以上でございます。
◯46番(国分徳彦) 文化財である旧高宮貝島家住宅を民間の資金と運営ノウハウを導入しながら活用し、地域や市民、来街者に喜ばれる魅力的な施設とするためには、さまざまな検討すべき課題があるかとは思いますが、地域は今か今かと待ち望んでいます。ぜひともスピード感を持って進めてほしいと思います。
 本事業では、民間の資金と運営ノウハウを導入し、整備、管理運営を行うとのことですが、多くの事業者に魅力的な提案をいただけるような事業スキームとはどのような事業スキームで、そのメリットは何か、お尋ねいたします。
◯住宅都市局長(光山裕朗) 高宮南緑地には、歴史的建築物であります旧高宮貝島家住宅を初め、園地及び樹林地などがあり、加えてこの事業では、都市公園法の規定に基づき、公園の魅力をさらに高める民設民営施設の提案をいただくことを考えております。
 事業スキーム案といたしましては、これらの施設の整備から管理運営までを一体的に行える事業者連合体を公募により決定することを考えております。そのメリットといたしましては、民間事業者に整備から活用までのトータルプランを御提案いただくことで、歴史的建築物としての旧高宮貝島家住宅の復元に加え、民間資金によりさらに高質な整備が可能となるとともに、新たに整備される民設民営施設と旧高宮貝島家住宅が連携し、市民にとってより魅力的で多彩な整備や運営が期待できるものと考えております。以上でございます。
◯46番(国分徳彦) 福岡市には、友泉亭や松風園、楽水園など、日本庭園を備えた立派な公園が3つあります。指定管理者によって、抹茶の提供や観月会の開催などさまざまなイベントが開催され、奥ゆかしき日本の風情を味わえる公園として市民に親しまれています。
 旧高宮貝島家住宅では、事業者に民設民営施設の提案をいただき、整備から活用までのトータルプランを民間事業者に提案してもらうとのことです。旧高宮貝島家住宅や園地と民間施設が連携し、これまでにない魅力的で多彩な運営が期待できるという意味では非常に楽しみです。
 ところで、余談になりますが、この事業でも指定管理制度を導入するとのことですが、私は、市が所有する公共施設の指定管理者から、管理料が毎年同額であるという話を聞き、違和感を覚えました。施設は老朽化し、人件費は上がるわけですから、毎年、指定管理料を増額していく仕組みも必要だと思いますが、この件はまた別の機会に質問したいと思います。
 先ほど答弁されたように、具体的な活用方法は事業者の提案によるわけですが、閑静な住宅街の中にこのような施設ができることについて、地域からは期待と不安、両方の声が上げられております。魅力ある公園として永続的に運営していくためには、地域の理解と協力のもと、市民に喜ばれ、愛される施設であることが不可欠です。
 そこで、市は事業者選定に当たり、地域への配慮や貢献などについてどのように考えているのか、お尋ねします。
◯住宅都市局長(光山裕朗) 事業者選定に当たりましては、交通や環境面に関する周辺への配慮について提案を求めるとともに、事業者と地域の代表者などから成る協議会を設置し、地域活動での利用や周辺環境対策などについて定期的に協議することなどを公募条件とする検討を進めております。以上でございます。
◯46番(国分徳彦) しっかり地域と連携しながら進めていただきたいと思います。
 また、本市が想定している活用のイメージとして、歴史的建築物を活用した日本文化の体験や、来訪者をもてなしたり、国際会議などMICE開催時のレセプション会場となるような施設、また、市民がくつろぎながら落ちついて利用できる飲食施設や、自由に鑑賞、散策ができ、緑と歴史を楽しめる庭園などを想定しているとの答弁でした。
 そこで、これまで福岡市において、歴史的建築物や文化施設などをMICEや観光面で活用した事例についてお尋ねします。
◯経済観光文化局長(高島 収) 福岡市において、歴史的建築物や文化施設などをMICEや観光面で活用した事例についてでございますが、MICEにおいて特別感や地域特性を演出し、おもてなしを行う場をユニークベニューと呼んでおります。福岡市では、アジア美術館などの文化施設や赤煉瓦文化館などの歴史的建築物、川端商店街などの公道活用で、MICE開催時のレセプションやシンポジウムを実施しております。
 次に、観光客が文化を知る場として、また、体験できる場として、「博多町家」ふるさと館において、博多独楽や博多人形などの絵つけ、松風園などの日本庭園において、着つけやお茶の体験を行っております。以上でございます。
◯46番(国分徳彦) 施設や空間を本来の用途以外でも活用することにより、これまで接点が余りなかった人々に施設を知ってもらうことで、来館者や支援者の増加が期待できます。また、イベント開催やスマートフォンを活用した情報発信など、観光資源としての魅力向上を図り、PRすることで集客促進につながります。そのような活用を通じてブランド力をつけることが、施設の運営を行う上では大事な要素になります。旧高宮貝島家住宅でも、そのような活用を福岡市として後押ししていただきたいと思います。
 そこで、旧高宮貝島家住宅におけるMICEや観光面での活用に向けた今後の取り組みについてお尋ねします。
◯経済観光文化局長(高島 収) 旧高宮貝島家住宅におけるMICEや観光面での活用に向けた今後の取り組みでございますが、ユニークベニューは国際会議や学術会議におけるイベントやレセプション会場としての利用ニーズが高く、当該施設につきましても、歴史的建築物としての価値が高いと考えられることから、MICE誘致時におけるレセプションなどの利用を広くPRして、促進してまいります。
 また、観光面におきましては、当該施設は高宮地区をめぐるまち歩きコースに組み込まれており、今後一層のまち歩きや文化体験の場としての活用をPRしてまいります。以上でございます。
◯46番(国分徳彦) かつて筑豊の炭鉱王として栄えた貝島家の旧邸宅を、民間の柔軟な発想とノウハウによって、日本の伝統文化を体験できる場として、また、MICE等で活用できる施設として、市民を初め、国内外の来街者やMICE参加者が利用しやすい施設として再生されることが重要です。地域のシンボルである豊かな緑と歴史的建築物を、市民に親しまれ、来街者なども日本文化を体験できる、おもてなしや交流、癒やしの場とするためには、多くの事業者に公募に参加いただき、魅力的な提案をいただく必要があると思います。ぜひとも多くの事業者に魅力的なプランを提案していただけるよう、また、事業者が継続して運営できるよう、事業スキームを整えてほしいと思います。
 地域の皆さんは長年待たされて、開園はいつになるのかと首を長くして待っております。地域の不安解消のためにも、早急に事業者公募を開始し、工事、開園を実現していただくよう強く要望いたします。
 それでは、最後に、今後の見通しと本事業への意気込みをお尋ねして、この質問を終わります。
◯住宅都市局長(光山裕朗) 今後の取り組みにつきましては、公募要項等の検討を進め、平成30年2月ごろに公募を開始してまいりたいと考えております。
 高宮南緑地につきましては、都市の貴重な緑や歴史的建築物を生かしながら、多様なニーズに応え、おもてなしや交流、癒やしの場として、多くの市民や来街者などに喜ばれる公園となるよう、2021年度の開園を目指してしっかり取り組んでまいります。以上でございます。
◯46番(国分徳彦) 次に、民生委員の活動しやすい環境づくりについてお尋ねします。
 民生委員については、昨年12月に3年に一度の一斉改選が行われており、福岡市では本年6月1日現在で、2,405名の民生委員が地域の方々の相談を聞いたり、子育て家庭を訪問したりと、さまざまな活動をしていただいております。
 民生委員制度は、大正6年に岡山県でその源となる済生顧問制度が創設されて以来、100年の長きにわたって我が国の社会福祉を支えてきたものです。ことしは民生委員制度創設100周年に当たり、全国で100周年を記念した事業が行われておりますが、福岡市においても、5月12日の民生委員・児童委員の日から1週間の活動強化週間に合わせた街頭キャンペーンの実施や、福岡県と福岡市の民生委員・児童委員協議会共同での博多どんたくパレードへの参加、また、11月には市内の全民生委員が参加して、福岡市民生委員・児童委員大会が盛大に開催されるなど、さまざまな記念事業が行われていると伺っております。
 一方では、少子・高齢化の進展などの社会状況の変化に伴い、民生委員の活動内容も昔と比べて複雑多岐になってきているのではないでしょうか。また、地域では、民生委員が誰だかわからない、何をしてくれるのかよくわからないといった声も聞かれますし、民生委員の仕事は大変だというイメージがあるため、なり手がいないといった声もよく耳にします。
 そこで、地域での福祉活動の最前線に立って御尽力いただいている民生委員の活動のあり方について質問してまいります。
 前回、平成26年9月議会において、民生委員の負担軽減に向けた見解について質問を行った際に、災害時要援護者台帳の調査を初めとして、早急に負担軽減に向けて見直しを図るとの答弁をいただいておりました。
 そこで、民生委員の活動の根拠と、これまで具体的にどのような業務を減らしたのか、お尋ねいたします。
◯保健福祉局長(永渕英洋) 民生委員の職務につきましては、民生委員法第14条の規定にございますとおり、住民の生活状態を必要に応じ適切に把握しておくこと、援助を必要とする者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、生活に関する相談に応じ、助言その他の援助を行うこと、援助を必要とする者が福祉サービスを適切に利用するために必要な情報の提供その他の援助を行うこと、社会福祉を目的とする事業を経営する者または社会福祉に関する活動を行う者と密接に連携し、その事業また活動を支援すること、社会福祉法に定める福祉に関する事務所その他の関係行政機関の業務に協力することと規定されております。
 これらの中で、福岡市として負担軽減に向けて見直した業務でございますが、民生委員の皆様が最も負担に感じておられた行政との共同事業でございます要援護者台帳調査については、平成27年度で終了し、また、行政からの依頼事項である敬老祝い金及びシルバー手帳の配付につきましては、平成28年度に終了いたしたところでございます。以上でございます。
◯46番(国分徳彦) いろいろ見直しが行われたようですが、現在の民生委員の活動状況はどのようになっているのか、お尋ねします。
◯保健福祉局長(永渕英洋) 民生委員の活動状況につきましては、災害時要援護者台帳調査の終了により、調査件数が前年度と比べて47%減るなど、行政からの依頼事項を適宜見直している効果があらわれてきているところでございます。
 しかしながら、単身世帯の増加など家族形態の変化や地域コミュニティの希薄化等の社会状況の変化に伴い、地域の中にさまざまな課題があらわれてきており、これらを背景として、相談などの本来業務もふえているため、1人当たりの年間活動日数は、前回お答えした平成24年度の172日に比べ、28年度は3日の減にとどまっております。以上でございます。
◯46番(国分徳彦) 業務の見直しを進めてきた一方で、近年の社会状況の変化により、民生委員の本来業務がふえているとのことです。
 そこで、さらなる負担軽減に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、お尋ねいたします。
◯46番(国分徳彦) 民生委員は、地域住民のさまざまな相談を受けて、地域におけるつなぎ役として、相談者を行政につなぐ重要な役割を果たしておられます。
 そこで、これらの民生委員活動に対して、福岡市としてはどのように評価しているのか、お尋ねいたします。
◯保健福祉局長(永渕英洋) 民生委員の方々には、日ごろから地域を見守り、地域住民のよき相談相手、行政と住民のパイプ役として御尽力いただき、深く感謝しております。
 民生委員の活動は、地域福祉活動の根幹をなすものであり、これまでも貢献していただいておりますが、今後も重要な役割を果たされるものと考えております。
 福岡市におきましては、民生委員及び民生委員の活動を地域住民の方に広く理解していただくため、民生委員制度創設100周年を機に、より一層活動の広報に努めているところでございます。
 また、あわせて地域包括支援センターやこども総合相談センターなど、民生委員からの相談を受けるさまざまな関係機関との連携を図り、民生委員の皆様からの相談により迅速に対応できるようにするなど、さまざまな負担の軽減方策を実施していきたいと考えております。以上でございます。
◯46番(国分徳彦) 民生委員には、常に地域住民の立場に立って、課題を抱える家庭等の相談などに熱心に取り組んでいただいているところであります。
 そこで、このような民生委員の活動や御労苦に対し、感謝の意を伝える制度はないのか、お尋ねいたします。
◯保健福祉局長(永渕英洋) 民生委員活動の功績をたたえる制度といたしましては、経験年数に応じて市長表彰や民生委員児童委員協議会会長表彰、社会福祉協議会会長表彰、全国民生委員児童委員連合会会長表彰、厚生労働大臣表彰などの表彰制度がございます。
 また、長年にわたる民生委員としての活動は、叙勲や褒章の対象ともなりますが、今年度は3名の方が叙勲や褒章を受けられております。
 なお、これらの受章者の方々につきましては、毎年、市や区の民生委員大会などで発表し、その功績をたたえることといたしております。
 さらに、民生委員を1期3年の短期でやめられる方も多いため、民生委員の職を継続していただく糧となるよう、2期目の方を対象に、福岡市独自の新たな表彰制度を検討しているところでございます。以上でございます。
◯46番(国分徳彦) 先ほどの答弁で、民生委員活動のより一層の周知を図りたいとのことでしたが、市民はもとより、市職員にも余り知られていないように感じております。民生委員制度創設100周年を機に、改めて民生委員活動の周知に努めていただき、民生委員への敬意を払うとともに、負担軽減については、国に対しても積極的に要望するなど、将来に向けて民生委員が活動しやすい仕組みづくりに努めていくべきだと思います。
 最後に、民生委員の活動のあり方についての今後の取り組みの方向性をお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。
◯保健福祉局長(永渕英洋) 超高齢社会を迎え、民生委員の役割はこれからますます重要になってまいります。11月の福岡市民生委員・児童委員大会において、よりよい活動に向けた今後10年の活動強化方策が採択されました。民生委員の皆様がこの方策に基づき、民生委員活動にしっかりと取り組んでいただけるようにするためにも、民生委員の負担軽減は早急に解決すべき課題であると認識しており、国に対しても負担軽減を図るなど、処遇改善の措置を講じるよう要望を行っているところでございます。
 また、民生委員制度創設100周年記念事業として行う全ての民生委員への意識調査の結果を踏まえて負担軽減に取り組むなど、今後とも、民生委員の皆様の意見をお聞きしながら、委員の皆様が活動しやすい環境づくりに努めてまいります。以上でございます。





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